中村萌「our whereabouts – 私たちの行方 -」 in ポーラ ミュージアム アネックス
ポーラ ミュージアム アネックスでは国内外で活躍する彫刻家・中村萌さんの国内初の大型個展「our whereabouts – 私たちの行方 -」が開催されています。一度見たら忘れられない、不思議な感覚を残すひとつひとつの作品を通じて、来場者それぞれが自分に問いかけながら、自身の中にある光を探す旅となるような場づくりがされています。このような状況下、私たちの抱える不安は人それぞれだと思いますが、訪れた誰もが、何かポジティブなエネルギーを感じことができるのではないでしょうか。
『our whereabouts -私たちの行方-』には、今、このような状況の中で、「彷徨いながら、光を見つけ出す」という中村さんの想いが込められています。
会場はまず入り口を抜けると、森の木々に見立てたようなメッセージパネルが作り出す小径の突き当りに最初の作品「Bud of hope」が待っています。そこから何となく会場をさまようと、内省的な表情やたたずまいが印象的な「inside us」に行きつくかも知れません。あるいはぐるっと一周して、出口あたりでなんだか愛嬌があって親しみがわく「I’m nobody」と向き合うようなことにもなるでしょう。来場者それぞれの“旅”が生まれるような会場構成がとても楽しめます。
今、COVID-19をはじめとした混沌とした状況の中で、私たちは新しい場所にたどり着けるのか?それとも以前の暮らしに戻っていくのか?そのどちらにも期待と不安を抱く、私たちの心情に寄り添っていただいているような気もします。
中村さんの作品は楠などを丸太の状態から削り出し、油絵具で彩色されています。特徴的な妖精のようなモチーフは、木目や皮などの木の流れがよく活かされて、木の温かみとエネルギーが同時に感じられます。
妖精のようなモチーフもとても魅力的です。瞳は軽く閉じていたり、どこか遠くを見つめる眼差しや、野の仏のように伏し目がちなものもあり、その視線の先に何を見ているかは、見ている私たちに委ねられているような不思議な感覚になります。
遊びごころも豊かです。入り口には缶バッジがカプセルに入って出てくるガチャポンがあります。この展覧会で見えた「光」やいただいた元気をカタチにして、持って帰れるうれしさがありました。いつも持ち歩くバッグにでもつけましょうか。
いろいろな表情をした妖精のようなモチーフや遊び心などからポジティブなエネルギーをもらい、どこに行くのか、今はとりあえず分からなくても前へ前へと旅を続けたくなる、そんな展覧会だと思います。
【作家プロフィール(本展フライヤーより)】
1988年東京生まれ
2012年に女子美術大学大学院美術研究科を修了。
楠に油絵具で彩色した作品を特徴としており、木という素材の中から、自身が求める形を探り当てるように掘り出していく。また、絵画と彫刻を横断的に取り組みながら、最近では、楠の板を使った平面作品へも精力的に取り組んでいる。
国内外で継続して多くの作品を発表し、活躍の場を広げている。
近年の主な個展に「GROWTH」(華山1914文創產業園區/台北)、「remember you」ギャラリー椿/東京/2019)など。
現在、神奈川県で10人のアーティストが入居するアトリエで制作を行う。
タイトル | 中村萌「our whereabouts – 私たちの行方 -」 |
会期 | 2021年9月3日(金) – 10月10日(日) |
会場 | ポーラ ミュージアム アネックス |
住所 | 〒104-0061 中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階 |
Webサイト | https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/index.html |
開館時間 | 11:00~19:00 ※入場は18:30まで |
休館日 | 会期中無休 |
料金 | 入場無料 |