はじまりから、いま。1952ー2022 アーティゾン美術館の軌跡—古代美術、印象派、そして現代へ in アーティゾン美術館
アーティゾン美術館では、1952年のブリヂストン美術館開館から70年の歴史を振り返る「はじまりから、いま。1952ー2022 アーティゾン美術館の軌跡—古代美術、印象派、そして現代へ」が開催されています。
紹介されている約170点の作品はいずれも名品揃いで、質・量ともにたいへん充実しています。美術館と石橋財団コレクションの70年の歩みというメインテーマにそって、さまざまな時代やジャンルの作品が登場するので、全体から何か傾向を見出すというより、ひとつひとつの作品にじっくり向き合うような鑑賞になるでしょう。
時間の余裕を持って訪れ、音声ガイドなどもうまく利用しながら、ゆっくり楽しむことをおすすめします。
石橋財団コレクションの現在から70年の歴史を振り返り
アーティゾン美術館が、前身であるブリヂストン美術館から5年間の休館と改名を経て、2020年に新たにオープンしたことは記憶に新しいところ。ブリヂストン美術館といえば創設者石橋正二郎による日本近代洋画や西洋近代美術、日本東洋古美術を中心とするコレクションはよく知られています。
また正二郎氏の長男幹一郎氏は、戦後フランスを中心とした抽象絵画を収集し、没後に石橋財団に寄贈され、従来のコレクションに大きな発展をもたらしました。
本展では、現在石橋財団が所蔵する約2,800点の作品から代表的な作品約170点が紹介され、古代から近代・現代、西洋から東洋・日本と多岐に渡るコレクションがどのように形成されていったのか、収集の歴史や美術館としての歩みをを遡ることができます。
作品だけでなく、土曜講座や美術映画などを通じて芸術文化の普及・啓蒙活動への取り組みも興味深く見ることができます。
国宝や重要文化財、14年ぶりとの披露となる作品も
代表的な約170点の作品以外にも、新収蔵となった作品のお披露目にも期待が高まります。
国宝《鳥獣戯画》(京都・高山寺蔵)甲巻の、もと一部であった断簡を新たにコレクションに迎え、本展で紹介されています。60 年ほど前にアメリカのコレクターの手に渡り、久しぶりの日本への里帰りとのことです。
また新収蔵作品《平治物語絵巻 常磐巻(ときわのまき)》(重要文化財)も初公開となります。「平治物語」の終盤を、全長16mに渡って描いた絵巻は大和絵の特徴を示す鎌倉時代13世紀の制作で、平清盛や常盤御前、牛若などおなじみの人物が登場します。
この他、幹一郎氏と交流のあった中国出身の画家ザオ・ウーキー氏の大作が14年ぶりに展示されています。ザオ・ウーキー氏は、東洋と西洋が融合した独自の画風で戦後のパリ画壇で確固たる地位を確立しました。長さ3.7mを超える中国紙に墨で描かれた本展出品作《無題》(1982年)は、何かがほとばしる、あるいは踊っているようにも見えるイメージで、圧倒的な迫力に引き込まれます。
コレクションの充実と新たな取り組みが見える3章構成
本展は70年の歩みを現在から開館初期へと遡るような3章の構成となっています。
第一章「アーティゾン美術館の誕生」に進むと、まず1952年のブリヂストン美術館の開館記念展から現在までの100点以上の展覧会ポスターが一堂に展示されています。
また藤島武二《東洋振り》をはじめ、日本近代洋画や印象派などの従来の中心的なコレクションの充実に加え、20世紀初頭から現代までの美術へも視野を広げた近年の収集作品が紹介されています。またアーティゾン美術館ならではの企画展、コレクションと現代美術家の共演による「ジャム・セッション」をきっかけに収蔵された作品なども紹介されています。
第二章「新地平への旅」では1998年の石橋幹一郎氏の没後、石橋財団に寄贈された個人コレクションを中心に紹介されています。また正二郎氏のコレクションと現在のコレクションをつなぐ重要な位置づけにある戦後フランスの抽象絵画も観ることができます。
第三章「ブリヂストン美術館のあゆみ」では、ブリヂストン美術館の開館初期のコレクションをご紹介し、あわせて正二郎による欧米外遊の記録を資料とともに振り返ります。
数々の名作の鑑賞を楽しむとともに、美術館のあゆみと名作をコレクションする情熱と志に触れてみてはいかがでしょうか。
タイトル | はじまりから、いま。 1952ー2022 アーティゾン美術館の軌跡—古代美術、印象派、そして現代へ |
会期 | 2022年1月29日(土) ~ 4月10日(日) |
会場 | アーティゾン美術館 |
住所 | 東京都中央区京橋1-7-2 |
Webサイト | https://www.artizon.museum/ |
開館時間 | 10:00ー18:00(2月11日を除く金曜日は20:00まで) *入館は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日(3月21日は開館)、3月22日 |
料金 | 【一般】 ウェブ予約チケット 1,200 円 *クレジット決済のみ 当日チケット(窓口販売)1,500 円 【大学生・専門学校生・高校生】 無料 要予約 ・入館時に学生証か生徒手帳をご提示ください ・予約枠には上限がありますので、上限に達した場合はご入館いただけません ・ウェブ予約をされない場合は「当日チケット」(一般)をご購入ください 【障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名】 無料 要予約 ・入館時に障がい者手帳をご提示ください 【中学生以下の方】無料 予約不要 |
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