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交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー in 東京都庭園美術館

東京都庭園美術館では、「機能と装飾のポリフォニー」展が2022年12月17日(土)から2023年3月5日(日)まで開催されています。本展は1910~30年代の絵画や彫刻のみならず、家具やファッション、デザインなど約400点を、同時代の建築である本館・旧朝香宮邸で鑑賞できるという、何とも贅沢で貴重な機会となっています。また、この時代に人々や作家たちが何を感じ、何を志向していたか、そうしたイノベーションへの機運や情熱を感じながら、ひとつひとつの作品がまとう時代性なども見どころのひとつでしょう。

 

本展では、1910~30年代のヨーロッパや日本において、作家たちが国もジャンルも越えてさまざまに交流し、装飾芸術・モダンデザインが展開した様が紹介されています。また本展は豊田市美術館・島根県立石見美術館・東京都庭園美術館の国内3館による共同企画となっており、各館の所蔵品が積極的に活用されているので作品や展示内容が非常に充実しています。

 

1910年代から30年代は、西欧を中心に世界各地で様々なモダンの形が現われた時代です。また1914年の第一次世界大戦に象徴されるように、この時代の最も大きなできごとは、世界が一気に同期し始めたということでした。その急速に変化する社会のなかで、本展ではフランス、ドイツ、オーストリア、そして日本の作家たちがときに交わり、共鳴しながら探求したいくつものモダンの形が紹介されています。

 

当時の中心的な動向である機能主義に基づく「モダニズム」の一方で、大衆消費社会が進展したこの時代は、常に新しくあるために装飾することに価値が置かれた時代でもありました。
当時の作家たちは、時間差なく情報を共有し、国やジャンルを越えて同期し合い、その範囲は 、絵画、彫刻から、家具、食器、洋服、さらにそれらを収める建築や都市まで、いわば、私たちの生活空間から暮らし方や生き方全般におよんでいます。

 

本展のタイトルにもあるポリフォニーは元々音楽用語です。複数の独立した声部からなる音楽のことで、本展とはまったく時代が異なりますが、バッハ以前の歌唱や演奏が多層に重なり合うような合唱や合奏のイメージは、作家たちが共鳴していった1910~30年の空気感をよく表している言葉だと感じます。また、本館・旧朝香宮邸の建築・内装と作品たちとの共鳴もまた優雅であり、本展の魅力を大きくふくらませているようです。

 

【展示構成】
※展示会場は、1階の入り口付近にハイライト展示が展開され、Chapter1は本館の2階から始まり、その後新館へと続き、再び本館にもどってくる構成になっています。

Chapter1:1900~1913
場所やジャンルを超えて、同期し、影響しあう起点となった1900年代半ばのドイツ応用芸術と生活の美化をうたったオーストリアのウィーン工房や、これを積極的に参照した芸術国家フランスの室内装飾が紹介されています。特にコルセットから女性を解放し、現代生活に相応しい服をつくったポール・ポワレの取り組みにフォーカスされています。
1-1 ドイツ応用芸術とウィーン工房の転換期
1-2 ポール ・ ポワレとウィーン工房
1-3 ポール ・ ポワレとフランスファッション
1-4 フランスにおける室内装飾の新傾向

 

Chapter2: 1914~1918
1914年に勃発した人類史上初の世界大戦は、世界は決して安定し、固定化しないことを知らしめました。大戦中にダダイズムの運動が起こり、社会の胎動期を迎える一方で、戦地に赴いた男性たちに代わり、女性が社会の主要な活動を担うようになりました。後のウィーン工房を方向づけていく、美術工芸学校で学んだ女子学生たちのデザインなどに目を惹かれます。
2-1 ダゴベルト・ペッヒェと大戦期ウィーン工房
2-2 フランツ ・ チゼックとウィーン美術工芸学校

Chapter3: 1919~1925
フランスにおける新しい時代の女性に相応しいファッション、室内装飾などや、戦後に設立されたバウハウス。そして、日本では生活改善運動が掲げられ、斎藤佳三や森谷延雄らが古い習慣と折り合いをつけながら近代社会に相応しい服や家具を模索した多面的に展開された様子がうかがえます。
3-1 女性作家たちのウィーン工房
3-2 日本における生活改善運動
3-3 フランスにおける新旧室内装飾
3-4 戦後フランスファッションの展開
3-5 都市芸術 通りの芸術
3-6 装飾と抽象
3-7 初期バウハウス

 

Chapter4: 1926~1938
合理化の方針がいっそう強化されたバウハウスや、ブルク・ギービッヒェンシュタイン美術工芸学校に対し、フランスでは現代生活に相応しい建築・応用芸術の創造を目的にした現代芸術家連盟 (UAM) が結成されます。バウハウス留学経験者の 山脇巖道子らがバウハウスの理念を日本に持ち帰り、日本におけるモダンデザインが展開される様子が紹介されています。
4-1 デッサウ以降のバウハウス
4-2 バウハウスから離れて
4-3 UAM フランスのモダンデザイン
4-4 ファッションのモダニズム
4-5 日本におけるモダンデザインの動向

 

タイトル 交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー
会期 2022年12月17日(土)~ 2023年3月5日(日)
会場 東京都庭園美術館
住所 東京都港区白金台5-21-9
Webサイト https://www.teien-art-museum.ne.jp/
開館時間 10:00–18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日 毎週月曜日(ただし1/9は開館)、年末年始(12/28-1/4)、1/10
料金 一般:1,400円 (1,120円)
大学生(専修・各種専門学校含む):1,120円(890円)
中学生・高校生:700円(560円)
65歳以上:700円(560円)
料金(備考) *( )内は団体料金。団体は20名以上(事前申請が必要)
*小学生以下および都内在住在学の中学生は無料
*身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその介護者2名は無料(手帳の提示をお願いします)
*教育活動として教師が引率する都内の小・中・高校生および教師は無料(事前申請が必要)
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