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マリー・ローランサンとモード in Bunkamura ザ・ミュージアム

Bunkamura ザ・ミュージアムでは「マリー・ローランサンとモード」が2023年2月14日(火)から4月9日(日)まで開催されています。ともに1883年に生まれたマリー・ローランサンとココ・シャネルは、1920年代パリを生きた女性たちの代表ともいえる存在です。
この二人の活躍を軸に、ポール・ポワレ、ジャン・コクトー、マン・レイ、そして美しいバイアスカットを駆使したマドレーヌ・ヴィオネなど、時代を彩った人々との関係にも触れながら、両大戦間パリの芸術界を俯瞰します。マリー・ローランサンとココ・シャネルの生誕140年を記念するこの展覧会は、ふたりの創作の現代における意味や真価を感じることができるアート体験になるでしょう。

日本でも人気が高いマリー・ローランサン
マリー・ローランサン(1883-1956)はパリに生まれ、アカデミー・アンベールで絵画を学びます。パブロ・ピカソ(1881-1973)やジョルジュ・ブラック(1882-1963)との交流から、初期にはキュビスムの影響色濃い作風でしたが、しだいにパステル調の淡い色調と優美なフォルムが特徴の女性的な作風に変わっていきます。


1920年代にはパリの上流婦人の間ではローランサンに肖像画を注文することが流行になるなど、エコール・ド・パリの女流画家として活躍し、死ぬまで女性的な作風を追求した作品を制作しました。その柔らかい色調とおだやかな作風から、日本人にも人気の高いアーティストのひとりです。

女性が社会へ進出を始めた時代
第1次世界大戦が終結する1918年から第2次世界大戦がはじまる1939年の間、つまり1920年代に新しい女性たち、“モダンガール”が登場します。第一次世界大戦では男性たちが戦場に赴いた後、その代りを務めるために社会のさまざまな場面に女性が進出しました。戦後復興とともに都市に花開いた大衆文化や消費文化を背景に、短髪のヘアスタイル、ストレートなシルエットのドレスをまとった女性が街を闊歩しました。これら“モダンガール”たちは欧米各国に出没し、アジアにまで波及し世界的な現象となります。


加えて、1920年代のパリを語るうえで欠かせないキーワードが「越境」です。そこにはふたつの意味が込められています。ひとつには国境を越えること。スペインからピカソ、アメリカからはマン・レイ(1890-1976)など、世界中から多くの若者がパリに集まり、その才能を開花させました。そしてふたつめは、ジャンルを越えること。美術、音楽、文学、そしてファッションなど、別々の発展を遂げてきた表現が、新たな総合的芸術を生み出すために、垣根を越えて手を取り合いました。
ふたつの世界大戦に挟まれた1920年代のパリ。それは様々な才能がジャンルを超えて交錯し、類まれな果実を生み出した、奇跡のような空間でした。

同じ時代を生きたココ・シャネル
この熱気渦巻くパリに、マリー・ローランサンとともに確かな足跡を残した女性がもうひとりいました。それはココ・シャネル(ガブリエル・シャネル/1883-1971)です。ふたりは美術とファッションという異なる分野ではありながら、互いに独自のスタイルを貫き、まさに1920年代のパリを象徴する存在でした。


ファッションの世界では、女性の身体の解放や服飾の簡素化は、すでに世紀末やアール・ヌーヴォーの時代から始まっており、1910年代にはポール・ポワレ(1879-1944)が、コルセットから解放したエキゾチックなスタイルを提案し、注目されます。1920年代に入ると、ポワレの優雅なドレスよりも、より活動的で実用的な服装が打ち出され、中でもココ・シャネルのリトル・ブラック・ドレスは時代を代表するスタイルになっていきます。シャネルの服をまといマン・レイに撮影されることはひとつのステータス・シンボルとなったといわれます。

今も受け継がれるマリー・ローランサンの色彩
ココ・シャネルと同じ年に生まれ、同じ時代の空気感の中で創作を続けたマリー・ローランサンが描く女性像にもまた、20世紀を主体的に生きる自信のようなものが感じられます。この時期、女性の芸術家やデザイナーがようやく社会の表舞台に現れてきます。もともと女性の職場であったファッションの世界でも、ココ・シャネルのほかに、ジャンヌ・ランバン(1867-1946)やマドレーヌ・ヴィオネ(1876-1975)らが活動的なドレスを考案し、その創作を女性のお針子たちが支えました。


1983年から30年以上にわたりシャネルのデザイナーを務めたカール・ラガーフェルド(1933-2019)は、マリー・ローランサンからインスピレーションを受けています。デザインに取り入れられた巧妙で透明感のある色彩は、彼女の色使いから着想を得たことを彼自身が語っています。本展で展示される、彼がマリー・ローランサンにオマージュを捧げた21世紀の作品は大きな見どころでしょう。

21世紀にも生きるマリー・ローランサンの色彩。「ファッションは移り変わるが、スタイルは永遠」という言葉を残したココ・シャネル。女性が女性として、自分が思うように生きることへの願いは、1920年代のパリと今日の私たちの社会では何が違うのでしょうか?本展の会場にて、肌で感じてみてはいかがでしょうか。

タイトル マリー・ローランサンとモード
会期 2023年2月14日(火) ~ 4月9日(日)
会場 Bunkamura ザ・ミュージアム
住所 〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1 B1F
Webサイト https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/23_laurencin/
開館時間 10:00-18:00(入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
※金・土の夜間開館につきましては、状況により変更になる場合がございます。
休館日 3月7日(火)
チケット情報 オンラインによる事前予約はこちら
※ご予約なしでもご入場いただけますが、混雑時にはお待ちいただく場合がございます。
料金 【当日券】

一般 1,900円
大高 1,000円
中・小 700円