特別企画展「熊谷守一美術館38周年展」 in 豊島区立 熊谷守一美術館
豊島区立 熊谷守一美術館では、特別企画展「熊谷守一美術館38周年展」が2023年4月11日(火)から2023年7月2日(日)まで開催されています。本展は、各地で所蔵されている熊谷守一の作品を紹介する機会として、毎年の開館記念日(5月28日)に合わせて開催されています。今年は、愛知県美術館が所蔵する「木村定三コレクション」より作品20点が、熊谷守一美術館の収蔵作品とともに紹介されます。 作品のみならず、その生き方も魅力だった熊谷守一の人柄も含めて楽しめるアート体験になるでしょう。
作品とともに、その生き方や人柄にふれたい作家
熊谷守一(1880~1977)の二女であり、熊谷守一美術館の館長だった熊谷榧(1929~2022)は、同館のホームページで、熊谷守一はいい絵を描いて褒められようとも、有名になろうとも思わず、たまに描いた絵も売れず、後年には内示があった文化勲章も辞退するほど権威主義を嫌いだったという主旨のことを述べられています。そうした富や名声にはこだわらず、なにものにも縛られない生き方が作品を通じて表れているようで、観る私たちにもその人柄が感じられる魅力的な作家です。
作風についても「70代後半から20年は自宅の庭でスケッチした植物や、若い頃写生したデッサンを元に油絵を描いた。守一の絵は、抽象画のように言われるが、ものをよく見て具象を突きつめて出きたものだと思う。」と述べられているように、余分なものをそぎ落とした単純化した形、それらを囲む赤色などを使った輪郭線、平面的な画面構成による抽象度の高い独自の具象画のスタイルを確立されました。
熊谷と親交のあった木村定三のコレクションより出品
本展の中心となっているコレクションを成した美術コレクター・木村定三は、熊谷守一を語る上で欠かせない人物であるとされています。木村は、熊谷守一の作品を買い集めて画業を支援するのみならず、作品の普及のために展覧会を開催し、後年には自ら編纂した画集を刊行するなど、熊谷守一の魅力を広めるために尽力しました。
木村は25歳の時に、当時一般にほとんど名前の知られていなかった58歳の熊谷に出会い、その作品に惚れ込んだと言われます。二人の親交は熊谷が97歳で亡くなるまで続き、木村は長い交流を通じて、油彩作品の代表作はもとより、日本画や書、彫刻などの幅広い分野を網羅した200点を超える守一作品を収集しました。
本展は、愛知県美術館が所蔵する熊谷守一作品を含む3000点以上にのぼる「木村定三コレクション」から20点が出品されます。また加えて、木村が2003年に熊谷守一美術館へ寄贈した3点の油彩画も公開されます。
アトリエと庭の跡地で作家に想いをはせる
熊谷守一は千駄木や東中野などで暮らした後、1932年に豊島区千早に越してきて、亡くなるまで45年間暮らした家(アトリエと庭)の跡地に、現在の熊谷守一美術館が建てられました。そうした由緒ある場所で、熊谷の生き方に思いをはせつつ、作品を楽しみにお出かけしてはいかがでしょうか。
タイトル | 特別企画展 熊谷守一美術館38周年展 |
会期 | 2023年4月11日(火) 〜 2023年7月2日(日) |
会場 | 豊島区立 熊谷守一美術館 第一・第二・第三展示室 |
住所 | 東京都豊島区千早2丁目27-6 |
Webサイト | http://kumagai-morikazu.jp/ |
開館時間 | 10:30 ~ 17:30 (最終入館/閉館の30分前まで) |
休館日 | 毎週月曜日(祝日問わず) |
料金 | 一般:700円(15人以上団体630円) 高・大学生:300円 小・中学生:100円 小学生未満無料 ※障害者等手帳ご提示の方は100円(介助の方1名無料)。 ※豊島区在勤・在住の証明をご提示の一般の方は600円でご覧いただけます。 |