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ガウディとサグラダ・ファミリア展 in 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館では「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が2023年6月13日から9月10日まで開催されています。スペインのバルセロナで活躍した建築家アントニ・ガウディ(1852~1926)の建築作品は、一度見たら忘れることのできない独創的なデザインで知られています。その創造性や芸術性の源泉はどこにあるのか? 一見、奔放にも見えますが、実はしっかりしたバックボーンや建築思想の基に計算されていることが、本展では明らかになっています。完成の時期が視野に入ってきたといわれるサグラダ・ファミリア聖堂の壮大なプロジェクトの全貌とともに、その社会的意義に触れられる貴重な機会となっています。

サグラダ・ファミリアは、バルセロナのあるカタルーニャ地方の言葉で“聖家族教会”という意味のキリスト教の聖堂です。聖家族とはイエス・キリスト、聖母マリア、養父ヨセフを指します。
長らく「未完の聖堂」と言われてきましたが、聖堂の中央に位置する6つの塔が順次完成しており、最後に、聖堂中央の最も高い塔となるイエスの塔は2026年までの完成が予定されています。実際にサグラダ・ファミリア聖堂を観た方も少なくないと思いますが、完成後の姿を見れるのであれば、本展で“予習”して訪れたいものです。

本展は、前半はガウディの創造の源泉を知り、後半はサグラダ・ファミリア聖堂のプロジェクトを通じてガウディを含めた歴史的な偉業の全貌に触れることができる展示構成となっています。全体の中で要点を踏まえて観覧するために、バルセロナに在住経験のある城田優さんがナビゲーターを担当する、音声ガイドがたいへん役に立ちますので利用をおすすめします。

第1章「ガウディとその時代」では、若き日のガウディの活動と時代背景をたどります。当時の社会の近代化や芸術文化が花開く様子とともに、ガウディが1878年のパリ万博に出品した作品のスケッチなどを興味深く観ることができます。

第2章「ガウディの創造の源泉」では、ガウディ独自の建築様式の源泉とその展開をたどります。展示では「人間は創造しない。人間は発見し、その発見から出発する」というガウディの言葉が印象的です。その言葉通り、ガウディは古今東西の建築や自然を丹念に研究することから革新的な造形の契機をつかんでいったプロセスが図面や模型などで分かりやすく紹介されています。私たちは「歴史」「自然」「幾何学」の3つのポイントから、ガウディの発想の源泉に触れていきます。

第3章「サグラダ・ファミリアの軌跡」では、初期の計画から2代目の建築家としてガウディの就任後、そして没後のスペイン内戦による破壊などを受けて跡を継いだ人々が進めていったサグラダ・ファミリア聖堂の建設のプロセスが明らかにされています。
展示では彼の手によるオリジナル模型や彫刻を含め、模型を修正しながら聖堂の形と構造を探ったガウディ独自の制作方法を観ることができます。

ガウディはサグラダ・ファミリア聖堂において、聖書の内容を表現する彫刻の制作に取り組むほか、外観・内観の光と色の効果や、建物の音響効果にも工夫を凝らしました。中でもガウディが聖堂の内部を森に見立て、樹木のように枝分かれした円柱が天井ヴォールトを支える独自の仕組みは注目です。


本展では、ガウディの彫刻術にも焦点を当て、総合芸術としてのサグラダ・ファミリア聖堂の豊かな世界にひたることができます。

また、140年を超える長い建設のプロセスで、ガウディ没後にプロジェクトを引き継いだ人々の創意工夫にも光が当てられています。

本展の終盤で観ることのできる高精細映像やドローン映像を駆使した大画面映像は、最終段階に向かうサグラダ・ファミリア聖堂の現在の姿が伝わってきます。ステンドグラスを通過した光が聖堂内を彩る景色の変化や、ガウディがこだわった、キリストの十二使徒を表す12本の鐘塔の様々な多面体と球体を組み合わせた複雑な結晶体のようなデザインなど、肉眼ではなかなか捉えられない姿を楽しむことができます。

タイトル ガウディとサグラダ・ファミリア展
会期 2023年6月13日(火)~ 9月10日(日)
※会期中、一部展示替えあり
会場 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
住所 〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1
Webサイト https://gaudi2023-24.jp/
開館時間 10:00~17:00(金曜・土曜は10:00~20:00)
入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日(ただし7月17日は開館)、7月18日(火)
チケット情報 ・当日券の窓口購入は混雑が予想されるため、事前のチケット購入がおすすめです。
・オンラインチケットや各種プレイガイドでのご購入方法は本展公式サイトをご確認ください。
観覧料 【一 般】 2,200円(2,000円)
【大学生】 1,200円(1,000円)
【高校生】 700円(500円)
※( )内は20名以上の団体料金
備考 ・中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障がい者手帳等をご提示ください。
キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金でご鑑賞いただけます。
・本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)もご覧いただけます。