上田義彦 「いつでも夢を・永遠要憧憬」in 小山登美夫ギャラリー六本木
小山登美夫ギャラリー六本木では、写真家上田義彦の個展「いつでも夢を・永遠要憧憬」が2023年7月29日(土)から8月26日(土)まで開催されています。
アート写真,広告写真というカテゴリーを超え、40年以上第一線でシャッターを切り続けてきた上田義彦は、誠実で一貫したまなざしで世界の最高の瞬間を捉えた作品群で、国内外で高い評価を受けてきました。
本展では、上田の代表作のひとつである、サントリーウーロン茶の広告のために1989年秋から2011年に中国各地(大連~海南島の海岸沿い)で撮影された作品が発表されています。作品は女性のポートレートを中心に、上田自身で120cm×170cmの大きなプリントで現像され、作品の美しさを軽やかに引き出すオリジナルの額装がほどこされています。サントリーウーロン茶の、最初の頃のCMで流れた名曲「いつでも夢を」を口ずさみながら、でも、ノスタルジーだけではなく新しい気分で作品と向き合ってはいかがでしょうか。
駅などに掲げられるような巨大なポスターは別として、私たちは広告の写真を小さなサイズで見たり、認識していることがほとんどです。では、それを静かなギャラリーのホワイトキューブにおいて、120cm×170cmの大きなサイズで観るとどうなるのでしょうか?
上田が関わったサントリーウーロン茶の広告ビジュアルは、今でも私たちの記憶に強く残っており、作品を観れば、同じ時代を生きていた私たち自身の様々なシーンを思い出させてくれます。もちろん、それも本展を訪れる大きな価値だと思います。
しかし、本展でひとつひとつ、ゆっくりと作品に向き合っていると、上田が何を見て、何を感じてシャッターを押したのかが伝わってくるように感じられ、心が満たされるような豊かなアート体験がもたらされます。それは、やはり、このサイズで観ているからだと感じられます。
上田義彦は森や川、自分の家族、ポートレイト、建築など、多様なモチーフを作品として発表しています。
本展の作品が撮影され始めたのは、80年代末の中国です。まだ小さかった北京空港から見える地平線に、上田自身「遥か感」という言葉が浮かび上がってきたというその風景は、練炭や石炭の香りや煙が立ち込め、現代の発展した姿とは異なるものだといいます。
毎年5、6回、中国国内を移動しながら撮影。あたたかな風景や無心にまっすぐに生きている人々を目の当たりにして、「自分もその瞬間をしっかり生きている」と実感したという、上田の旅を通しての言いしれぬ喜びが作品から静かに伝わってくるようです。
紺のワンピースの少女たちが楽しげに踊る姿、夏のけだるい昼間に金魚をながめ、砂浜をゆっくり歩く女性・・・、そこには時代や場所を超えた、普遍的な女性像が現れているのを感じられます。
写真の不思議な力によって、広告を超えて「作品」として成立し、力強さとたおやかさを存分に発揮している上田の作品を、ノスタルジックと新しい気分の両方で楽しむために訪れてみてはいかがでしょうか。
タイトル | 上田義彦 「いつでも夢を・永遠要憧憬」 |
会期 | 2023年7⽉29⽇(土)~8⽉26⽇(土) |
会場 | 小山登美夫ギャラリー六本木 |
住所 | 106-0032 東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F |
Webサイト | http://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/yoshihikoueda2023/ |
開廊時間 | 11:00 ~ 19:00 |
休廊日 | 日・月・祝日 夏季休廊:8月13日(日)~ 21日(月) |
観覧料 | 無料 |