石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 読書する女性たち at アーティゾン美術館
アーティゾン美術館では、石橋財団コレクション選「特集コーナー展示 読書する女性たち」が2023年9月9日(土)から11月19日(日)まで開催されています。ヨーロッパでは18世紀以降、読書する女性の姿が描かれるようになります。西洋に学んだ日本近代の画家たちも、同じ画題を取りあげています。本展では石橋財団コレクションから、女性が読者として描かれたマティスやカサット、山下新太郎らの作品が紹介されています。
今ではあたり前になっている女性が読書する姿ですが、18世紀以降の社会・文化や印刷術まで、さまざまな時代背景や変遷が見て取れる興味深い特集になっています。
本展では、以下のような4つのトピックスが提供され、それぞれに関わる作品が展示されています。
・「読む」 ということ
・読書する女性
・もの思いにふける女性、 あるいは、読書しない女性
・西洋で学んだ日本人洋画家の場合
ヨーロッパでは読書という画題は、男性に属するものと考えられてきました。書物は、その男性の職業や社会的地位を表すもの、あるいは、知識や権威、思索の象徴としての意味を担っていました。一方で、フランスにおける識字率は7世紀末には29%、18世紀なかばには35%、19世紀末には地域差も男女差もなくなり、ほぼ90%に達したといいます。
ルネサンス期に印刷術が発明されると宗教書以外の書物が市場に出回り、17世紀に入ると小説が娯楽のひとつとなり、特に男性が社会、経済、政治、スポーツが読書分野だったのに対し、女性は小説を楽しんだようです。
絵画の世界に目を向けると、18世紀になると読書する女性の姿が好んで描かれるようになり、19世紀には人気の画題となりました。
ヨーロッパへ留学した日本人画家たちは、西洋にならい、読書する女性を画題としました。そしてそれらは、西洋的な画題として日本で受け入れられました。1886年(明治19)年に義務教育が確立されると女学校が増え、明治30年代には婦人雑誌の創刊ラッシュも起こります。ところが家庭での読み物については、家長がその善し悪しを決めるべきとの考えなどもあり、女性の読書を制限する動きもありました。しかし若い女性たちは、本の世界に没入することで、「個」の世界を確立していったといわれます。
こうした背景が展示キャプションで説明されており、それにしたがって作品を観ていくと、描かれた女性の表情などの意味が何となく分かってきたり、興味深く感じます。この特集コーナー展示もぜひ、ご覧ください。
タイトル | 石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 読書する女性たち |
会期 | 2023年9月9日(土) ~ 11月19日(日) |
会場 | アーティゾン美術館 4階展示室 |
住所 | 東京都中央区京橋1-7-2 |
Webサイト | https://www.artizon.museum/exhibition/detail/560 |
開館時間 | 10:00ー18:00(11月3日を除く金曜日は20:00まで) *入館は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日(9月18日、10月9日は開館)、9月19日、10月10日 |
チケット情報 | アーティゾン美術館は日時指定予約制です。あらかじめご来館前にチケットをご購入ください。 チケット購入についてはこちら |
料金 | 【一般】 ウェブ予約チケット 1,200 円 *クレジット決済のみ 窓口販売チケット 1,500 円 ・予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットをご購入いただけます。 ・この料金で同時開催の展覧会を全てご覧いただけます。 【大学生・専門学校生・高校生】 無料 要ウェブ予約 ・入館時に学生証か生徒手帳をご提示ください 【障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名】 無料 予約不要 ・入館時に障がい者手帳をご提示ください 【中学生以下の方】無料 予約不要 |
同時開催 | ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン(6階 展示室) 創造の現場ー映画と写真による芸術家の記録(5階 展示室) |