蜷川実花 「Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」 at 小山登美夫ギャラリー六本木
小山登美夫ギャラリー六本木では、写真家・映画監督の蜷川実花展「Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」が2023年12月23日(土)から2024年1月27日(土)まで開催されています。これまで蜷川の写真作品はコントラストの強い鮮やかな「極彩色」が大きな特徴でした。しかしパンデミックが訪れた際、蜷川は世界とよりピュアに向き合うことでその美しさを改めて実感し、光に包まれた「光彩色」の新たな表現が生まれています。作品づくりの主語も「I」から「WE」に大きく変化しています。これまでとは少し違う世界観の中で、あなたは作家と何を共有するでしょうか?ぜひ、訪れて、体験してみてください。
ひそやかな生命力を感じさせるインスタレーション作品
ギャラリーのエントランスには、2023年の夏、小山登美夫ギャラリー前橋での個展で評判を呼んだインスタレーション作品《残照》が配されています。前橋では宙に浮くように展示されていましたが、ここでは床から自立しています。
夏には鮮やかだった色彩も、ここでは花は乾き、あるいは垂れ、床には実が飛び散っています。そしてシーリングからは日が沈んだ後もひとつのところを照らすようなライトが作品を浮かび上がらせ、ゴージャスであり、何かひそやかな生命力を感じさせます。
また、ギャラリーに置かれた作品リストを見ると、この《残照》の一部を撮影したように見える、壁に配された《Eternity in a Moment》はメインスペースのネオン管を使ったものとひとつの組作品になっているようです。この組作品は、エントランスとメインスペースの壁面に相対するように配置され、何かを示唆しているようにも感じます。
私たちの心に素直に入ってくる身近な風景写真
このほか、メインスペースには、さまざまな生活のシーンや季節の変化、自然生命の儚い美しさを、日常に溢れるエネルギーや色彩で表現された写真作品が並びます。鮮やかな四季の移ろいを独特な視線で切り取ったものから、私たちの目線の高さで一瞥したような街の風景の情感まで、なぜか素直に心に入ってくるようです。
このメインスペース全体の作品群は、エントランスのインスタレーション作品とコントラストをなすように、コロナ禍のパンデミックにおける停滞と再生がそのままここにあるようです。
クリエイティブチーム「EiM」として挑む表現
本展は、虎ノ門ヒルズ TOKYO NODE 45F GALLERY A/B/Cでの同名の個展「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」と同時開催となっています。こちらは前橋でのインスタレーション作品と同様に、蜷川は才能あふれるクリエイティブチーム「EiM」として、五感で感じる体験が期待できます。
「EiM」は写真家・映画監督の蜷川実花、データサイエンティストの宮田裕章、セットデザイナーのEnzoらで結成され、TOKYO NODEでは建築家の藤本壮介らをゲストメンバーに迎えています。蜷川は才能あふれるこのクリエイティブチームと組むことで、今までの集大成として、よりダイナミックに、先に広がる未来を見据えた時代への表現に挑んでいます。
蜷川が操る日々の移ろいをとらえた100万色もの色彩
このTOKYO NODEの個展、および本展ではさらに発展し、日常にある多様な色を最大限引き出し、人が識別できる最大数と言われている100万色もの色彩による作品を発表しています。
蜷川が操る色彩によって、私たちは普段目にする日常の景色などを通じて、私たち自身の体験や感情と結びつき、普遍的な心象風景として、永遠の存在へ、未来へと思いを馳せることができるでしょう。
本展は、日々の移ろいから普遍的な美しさに気づき、世界と自身の存在のつながりを実感する大きなきっかけとなるアート体験になるかもしれません。パンデミックのリアルな記憶が薄れつつある今こそ、訪れてみてはいかがでしょうか。
タイトル | 蜷川実花 「Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」 |
会期 | 2023年12月23日(土)~ 2024年1月27日(土) |
会場 | 小山登美夫ギャラリー六本木 |
住所 | 東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F |
Webサイト | http://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/ninagawa_roppongi2023/ |
開廊時間 | 11:00 ~ 19:00 |
休廊日 | 日・月・祝日 ※冬季休廊:2023年12月28日(木)~ 2024年1月8日(月・祝) |
観覧料 | 無料 |