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Thomas Gillant「DIMENSION BLUR」at Gallery10[TOH]

Gallery10[TOH] では、Thomas Gillant(トマ・ジラン)の個展「DIMENSION BLUR」が2024年1月10日(水)から1月21日(日)まで開催されます。「次元の曖昧さ」という意味を持つ個展タイトルからは、作家の深い思索から出でた少し物理学的で哲学的な何かを連想させますが、メインビジュアルは同様に美しさと深みが感じられます。現代的な解釈を持って更新された抽象的表現は、私たちの感性や精神性のどこと響きあうのでしょうか?それを楽しみに、お出かけしてみてはいかがでしょうか。

艶やかな独特の雰囲気の絵画作品

ギャラリーの白い壁に並ぶ絵画作品は、作家の手で作られた光沢のある支持体が使われたものがいくつかあり、艶やかな独特の雰囲気をまとっています。油絵具を用いスプレーガンで描かれたという背景とコントラストをなすように、立体感のないCGのような独特のモチーフが前面に描かれ、画面全体に不思議な奥行きを感じます。本展タイトルの意味は“次元の曖昧さ”といい、このあたりにその意図が見え隠れし、作品に引き込まれていく大きな魅力になっています。

会場全体がひとつのコンセプチャルな空間

展示スペースのコーナーには動画と立体作品が展開され、壁面の絵画作品と連動しながら、展示全体のアクセントになっているようです。動画は、時間とともに進化する抽象的な形のパターンを見せ、デジタルアートと伝統的な絵画のギャップを埋め、次元の流動性というテーマをさらに探求しているといいます。

立体作品は半透明の樹脂を何層にも重ねた鋳造品やジェスモナイトを使ったものなど、さりげなく配置されていますが、強い存在感を発揮しています。こちらは展示に立体的な側面を加えるだけでなく、知覚と現実の層を隠喩的に表現しているといいます。

知覚と現実の間を揺れ動く次元の流動性の探究

Thomas Gillantは日本在住で、知覚と現実の間を揺れ動く次元の流動性の探究をテーマに、抽象絵画やアニメーションの作品の制作を行なっています。Thomas は今回の個展のテーマについて、「奥行き、知覚、そしてデジタルと物理的メディアの相互作用の探求を行う。無限の可能性を提供するデジタル世界でありながら、物理的な物質が持つ感覚的な即時性を欠いているという、現代の実存的な二項対立を反映した、作品の触感とデジタルメディアの視覚的言語の対話である。」と語ります。

作品に触りたくなる、その誘惑の理由とは

彼のコメントはやや難解に感じられるかも知れませんが、実際に作品を観ると、この中の「作品の触感とデジタルメディアの視覚的言語の対話」という点がよく表れているように感じます。

あくまでもひとつの観方ですが、“対話”=ダイアログとして考えると、確かにデータがデジタル化されたことで、相手と何か考えや感情を共有する量と質、そして速度がこの10年くらいで飛躍的に高まったことは間違いないでしょう。特にInstagramやTikTokというような画像や動画を共有するメディアは、時代の空気感まで簡単に生活の中に取り込めるようになったと感じられます。
その一方で、どんなに見る、聴くは共有できても、“触感”は言葉で表現はできるものの、その感覚自体は他人とは共有できません。その部分については、技術的な開発は進められているものの、もしかしたら“触感”は他人と共通できない、個人それぞれが持つ感覚としては最後の砦かも知れません。

ギャラリーを訪れて、それぞれの感じ方で楽しんで

感じ方は人それぞれですが、Thomasの作品は思わず触ってみたくなる衝動にかられるものが多いように感じます。もちろん、触るのは鑑賞マナーとして自制するべきですが、そうした誘惑の理由は単に艶やかな画面のせいだけではないように思います。

Thomasの作品は、おそらく気の遠くなるような思索を重ねて生み出されたものであり、私たちはそれを自由に楽しむことができます。ただ当然ながら、彼の語る言葉の意味や作品の独特の魅力は、実際にその前に立たないと感じたり、気づいたりできないでしょう。ぜひ、お出かけしてみてください。

タイトル Thomas Gillant「DIMENSION BLUR」
会期 2024年1月10日(水)〜 1月21日(日)
会場 Gallery10[TOH]
住所 151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-20-11 第一シルバービル1B
※JR代々木駅東口を出た目の前の第一シルバービル1Fです。ギャラリーへの扉がタバコ自販機になっているのが目印です。
インスタグラム https://www.instagram.com/gallery10.toh
開廊時間 13:00〜20:00
休廊日 月曜、火曜
観覧料 無料