「DIARIO 」(アートディーラーS収集作品より) at Gallery10[TOH]

Gallery10[TOH] では、「DIARIO 」（アートディーラーS収集作品より）が2024年1月24日（水）から2月11日（日）まで開催されています。今回は美術館や画廊など、美術界を脇からサポートされているアートディーラーの方のコレクションが紹介されています。一般的にコレクションというと、収集された方の好みやお人柄、信条などが作品のラインナップに反映されて、そこが観る楽しさのひとつだと思います。加えて本展は、ご本人が（コレクションは）『世界各地を巡り出会い友人となったアーティストとの「絵日記」「作品日記」のようなもの』と記されているので、たいへん興味深い企画です。

ラテンアメリカ出身の作家の作品を中心に構成

本展はVik MunizやBosco Sodiなど、アートディーラーS氏と親交が深いラテンアメリカ出身の国際的なアーティストの作品を中心に構成されています。長い間欧米を主流としていたアートワールドですが、近年は国際芸術文化の多様化に伴い、ラテンアメリカの現代芸術が注目を浴びるようになっています。

今回出品されているアーティストは、現代の社会問題を組みながら、欧米の作り上げた現代美術の文脈を更新するべく、グローバルなアートワールドで活躍しています。しがたって、見た目にラテンアメリカらしさがあるわけではないので、それぞれの作家の取り組みや個性に目を向けるべきでしょう。

会場には、比較的詳細な作家のプロフィールが用意されているので、そちらを参照すると興味が深まるでしょう。また、S氏のコメントも添えられているので、各作家とS氏がどのような出会いや交遊があるのか、うかがい知ることができます。

個性がきわだつ14名のアーティストたち

メインスペースで最初に目に飛び込むのは、本展の告知のメインビジュアルに採用されているVik Muniz（1961～）の３つのポートレイトです。Munizはブラジルを代表するアーティストで、S氏とは長い付き合いになるそうです。両端はS氏で、右端のカトちゃんの格好をしているものはチョコレートで描かれており、S氏の50歳の誕生日プレゼントだったそうです。

反対側の壁面にはBosco Sodi（1970～）の2組の作品が配されています。メキシコ出身のSodiは絵画制作に使用する素材の本質的な粗野さの中に、感情を揺さぶる力を見出しているといわれ、本展での出品作もはおがくずを固めており、自然の力でひび割れができています。右隣のShinnosuke Miyake（1990～）とともに、作家の手作業だけでなく、自然の力を持って作品が完成することに共通点を見出したとS氏は語ります。

友情の記録としての「DIARIO 」

S氏はアート・ディーラー／アート・アドバイザーをとして世界各地を回る傍ら、アーティストとの出会いや思い出を日記（DIARIO）をつけるように作品収集を行っているといいます。遠い距離を越えて芸術への情熱でつながった、自称「ブラジル系日本人」のS氏と、中南米のアーティストたちとの20年以上にわたる友情の記録としての「DIARIO 」を、あなたも楽しんではいかがでしょうか。

【出品者（S氏）コメント】

『最近は国内でも現代アートの素晴らしい個人コレクションが美術館や画廊、パブリックスペースなどで多く紹介されています。
お客様のコレクション構築のお手伝いをするのが私の仕事なのですが、時々私も自分で作品を購入することがあります。
それは自身のコレクションというより、その多くは世界各地を巡り出会い友人となったアーティストとの「絵日記」「作品日記」のようなものです。
ここTOH Gallery はShinnosuke Miyakeさんの個展で初めてお伺いしました。その時大庭三奈さんとお話ししたのがきっかけでこの展覧会を開催して頂くことになりました。
自称「ブラジル系日本人」の私にはブラジルは勿論、毎年のように訪れるメキシコにも多くの友人やアーティストがいます。
本展では大庭さんのリクエストもあり、中南米のアーティストの作品と思い出を紹介させて頂きます。』

塩原将志

Janaina Tschape
Gonzalo Lebrija
Jose Davila
Sergio Sister
Stefan Bruggemann
Vik Muniz
Bosco Sodi
Gabriel Orozco
Assume Vivid Astro Focus
Shinnosuke Miyake.……