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Identity of the Collection : Feel Alive at GALLERY MoMo Ryogoku

時々、個人のコレクターが集められた作品を紹介する“コレクション展”を観る機会に恵まれます。そこでいつも思うのは、蒐集された作品群からはコレクターの好みだけでなく、人生哲学や生活信条みたいなものが見えてくることです。作家は自分の創作する作品を通じて自分を表現しているわけですが、コレクションされた作品群を見ると、それがコレクター自身の自分表現でもあると言えるのではないかと感じます。両国のGALLERY MoMoで紹介されているコレクションは、人や人の気配が感じられる作品が多く、これらの作品が飾られていた生活のシーンを想像してしまいます。楽しい時間を過ごしに、訪れてはいかがでしょうか。

規模は違っても、“愛された意味”を伝える個人のコレクション

「個人のコレクション」というとピンと来ないかも知れませんが、私たちにとって身近な上野の国立西洋美術館や表参道の根津美術館、京橋のアーティゾン美術館など、もともとは個人が蒐集した作品がベースとなって運営されている美術館はたくさんあります。これら近代に始まったコレクションは「本格的な西洋美術を日本に紹介する」などの使命感を帯びていますが、現代における個人のコレクションは純粋にコレクターの好みや志向によって作品が選ばれているのではないでしょうか。

現在、東京都現代美術館で開催中の「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」では、個人所蔵する約3,500点の中から選りすぐりの作品が紹介されていますが、その個人の志向性の強さから、タイトルにもある通り、日本の現代美術のある側面を映し出している展覧会になっています。
しかし、ほとんどの個人のコレクションは美術館で紹介するほどの規模ではなく、蒐集された作品は、コレクター本人の一代限りで陽の目を見なくなることがとても多いようです。
最悪の場合、コレクターが亡くなると貴重な作品が破棄されるケースも少なくなく、これをどう次の世代に受け継いでいくかという課題は、単に個人のコレクターだけの問題ではなさそうです。

この両国のGALLERY MoMoで開催されているコレクション展は、そうした課題解決の一助となればというギャラリーの想いから開催されています。
本展を訪れると、美術館レベルの規模と同じく、作品が愛されたという事実は共通しているなと痛感します。またそうした“愛された意味あるいは理由”は、時代が変わっても伝えられ、いつまでも生き続けるべきだと感じます。

以下はGALLERY MoMoから発行された広報用資料からの引用になります

GALLERY MoMo 両国では、2024年8月17日(土)から9月7日(土)まで、当ギャラリーと長い親交のある個人コレクターによる特別展「Identity of the Collection : Feel Alive」を開催いたします。本展は、そのコレクションから厳選された作品で構成されています。

当ギャラリーは、個人コレクターであった杉田鐡男が2003年に立ち上げ、20年という月日が経ちました。あるギャラリストから「10年やってやっとスタートラインだ」と聞いていましたが、20年経ってもなお、ギャラリーとしての進むべき道を日々模索しています。

近年、コレクションの今後についてお客様と話す機会が増えました。設立者である杉田が個人コレクターであったこと、また現在ギャラリーを運営しているのがその家族であることから、コレクターの悩みや残された側の悩みに深く共感しながらも、解決方法を見出せずにいました。多くのコレクションは一代限りで終わってしまい、家族からは邪魔なものと見なされることもあります。しかし、コレクターにとっては各作品に思い出があり、それらのコレクションはその人のアイデンティティとも言えるのです。

本展の契機は、このコレクターがしばらくギャラリーに預けていた髙橋涼子の作品で、作家自身の髪の毛で刺繍されたブックカバー「The story of creatures」を引き取りに来た際のことです。コレクターは「闘病生活で読書の時間が増え、このブックカバーと共に読書をしたい」と話し、また同作家の「キムンカムイの刺繍ネックレス」という作品を自身の「お守りとして身近に置いていた」とも話されていました。この出来事は、コレクターとアートが日常的に深く関わっていることを感じさせ、ギャラリーとして何ができるのかを考え始めるきっかけとなりました。

当ギャラリーでは若手作家の作品を扱うことが多く、彼らを応援する意味でも購入してくださるお客様が多いです。本来なら、手放す際にギャラリーが作品を買い取るべきですが、その余裕はなく、日々の運営に追われています。それでも、作品とお客様の思いを次に繋げる方法を模索しています。

この展覧会は、コレクションの整理を手伝い、展示し、新たに大事にしてくれる人々に繋ぐことを目的としています。これは単にセカンダリーマーケットの話ではなく、コレクターやその家族の気持ちに寄り添いながら進めていくギャラリーの新たなプロジェクトです。小さなギャラリーだからこそ、ひっそりとできることから始めたいと考えています。

この展覧会が、新たな人の繋がりを生み出すことを願っています。そして、作品とコレクターの個々の物語を反映し、時間を超えて続くコレクターのアイデンティティをご覧いただければ幸いです。

展示予定作家

伊庭 靖子・大久保 如彌・大坂 秩加・押江 千衣子・小橋 陽介・小林 孝亘・阪本 トクロウ・中園 孔二・牧嶋 武史 ・町田 久美 ・南川 史門・山口 智子・山中 現

タイトル Identity of the Collection : Feel Alive
会期 2024年8月17日(土)~ 9月7日(土)
会場 GALLERY MoMo Ryogoku
住所 130-0014 東京都墨田区亀沢1-7-15
Webサイト https://www.gallery-momo.com/current-ryogoku
開廊時間 11:00 ~ 19:00
休廊日 日曜・月曜・祝日
観覧料 無料