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崔明永 at 東京画廊+BTAP|東京

韓国の抽象絵画の特徴のひとつである、単色で描かれた作品を観ることができる崔明永氏の個展が開催されています。近年、国際的にも評価が高まっている、この韓国の70年代から連なる独特な世界観は、その美術史を中心とした流れを知っているとより興味深く鑑賞できるでしょう。でも、もしあなたがそれを知らないとしても、力強く、静謐な画面構成に魅了されるのではないでしょうか。この貴重な機会に、ぜひ訪れて体験してみてください、

力強く、短く、確かに連続するストローク

ギャラリーのドアを開けると、単色で描かれた静謐で大きな画面が並んでいます。中でも朱色系で描かれた作品に目は行きますが、整然と配置された作品群によって、スペース全体にひとつの景が立ち現れているかのようにも感じられます。
正面の作品に近づくと、短い縦と横の線が交差し、幾何学的に組み合わされ、それが画面全体に展開されています。おそらく考え抜かれ、深い思索の末にたどり着いた画面構成のように思われますが、ひとつひとつの力強いストローク(筆づかい)を観ていると情念的なものさえ感じられます。


作品に近づいたり、離れたりして眺めていると、幾何学的な組み合わせには4~5種類ほどあり、それぞれに表情の違いを楽しめます。また細かく毛羽だったような微妙な質感が表現されている作品もあり、この楽しさはとても画像や言葉では伝えきれません。

本展では1978~80年、2016~19年、そして2022~24年と幅広い年代の作品が紹介されていますが、表現の変遷を回顧するというよりも、70年代以降変わらない、作家の一貫した姿勢を感じることができます。ぜひ、実際に観て、体験してみてはいかがでしょうか。

以下は東京画廊+BTAPから発行された広報用資料からの引用になります

東京画廊+BTAPは8月24日(土)より、崔明永展を開催致します。日本国内では24年ぶりの個展となります。

崔明永(チェ・ミョンヨン)は1941年に韓国の黄海道海州に生まれ、1964年に弘益大学校美術大学絵画科を卒業、現在はソウルで作品制作を行います。1950-60年代の韓国美術界はソウル画壇を中心に感覚や感情の表現を重視するアンフォルメルが主流となりました。しかしそれに続く世代はソウル画壇を離れ新しい芸術を模索します。弘益大学の学生であった崔も、徐承元(Suh SeungWon)や李承作(Lee SeungJo)と共に「オリジン(Origin)」を結成し、論理と理性を旗印に幾何学的抽象絵画を追求します。その後、韓国アバンギャルド協会A.Gの創立メンバーとして活躍し、1967年のパリビエンナーレ、1969年のサンパウロビエンナーレには新進作家として参加しています。

1970年代以降、崔は絵画の本質的な平面性に着目し、平面の可能性を探求する抽象絵画を制作し始めます。それ以来、崔は「Conditional Planes平面条件」というタイトルで今日まで制作を続けています。物質性と精神性の関係に注目する韓国の単色画と基盤を共有しつつも、崔明永という作家の特徴は、キャンバスの平面を強調し、原色で描かれた幾何学的な線と形を用いる点にあります。初期の崔の作品は指紋や紙やすりを用いてキャンバスに痕跡を残す作業から始まります。その後、ローラーを利用したり、絵の具を重ねて塗ることによって、分厚い画面の作品が創作されることになります。1980年以後は、垂直線と水平線を繰り返し描き、キャンバスの表面を埋めて行く作品を2000年頃まで制作します。

本展では、80年代以降の作品を新作4点を含め約10点を展示いたします。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。

タイトル 崔明永
会期 2024年8月24日(土)~ 9月28日(土)
会場 東京画廊+BTAP|東京
住所 〒104-0061 東京都中央区銀座8-10-5 第四秀和ビル7階
Webサイト https://www.tokyo-gallery.com/exhibitions/6099.html
開廊時間 火~土 12:00~18:00
休廊日 日・月・祝
観覧料 無料