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アール・ブリュット2023巡回展 「ディア ストーリーズ ものがたり、かたりあう」 in 東京都渋谷公園通りギャラリー

東京都渋谷公園通りギャラリーでは、アール・ブリュット2023巡回展「ディア ストーリーズ ものがたり、かたりあう」が、2023年10月21日(土)から12月24日(日)まで開催されています。
アール・ブリュット(Art Brut)とは、フランスの芸術家ジャン・デュビュッフェによって提唱された言葉で、今日では、広く、専門的な美術の教育を受けていない人などによる、独自の発想や表現方法が注目されるアートを表します。本展では、その独創性あふれる表現方法により、近年、国内外で注目されるアール・ブリュット作家7名の作品が紹介されています。たくさんの“ものがたり”が、まさに“かたりあう”ように、にぎやかにあふれ出ているような楽しい展覧会になっています。ぜひ、お出かけしてみてはいかがでしょうか。


考えてみれば、私たちは日々、さまざまな「ものがたり」と共にあります。自分の「ものがたり」を生きている人もいるでしょうし、他の人や歴史の「ものがたり」に感動することもあります。また、毎日のように使っている身の回りのモノや会う人たちとは、自然と何かの「ものがたり」ができているかも知れません。

それは例えば、“思いを寄せる誰かの姿を架空のストーリーを込めてかたどること”、“飲み終わったビールの空き缶で唯一無二のからくり人形を作ってみること”、“暮らしの断片に向けられるまなざしと、そこに生まれる詩的なあじわい”、“空想の街のジオラマづくりと、そのジオラマに刻まれた‘増殖解体’の熱量の痕跡”、“宇宙や歴史を題材に俯瞰した時空間を捉えようとすること”、“大好きな色鮮やかな鳥を描き夢想する世界を彩ること”、“かつての高度経済成長期の建設労働の記憶と方眼紙に残された数々の描画”・・・などなど。

本展はそんな「ものがたり」という親しみのあるテーマで、作家それぞれの「語り」のような作品づくりと、作品から読み取れる「物語」の二つの側面に注目し、アール・ブリュット作品の魅力に迫っています。特に、この「語り」と「物語」が織り交ざりながら存在し、加えて、いつも自由で独自の発想や表現方法が楽しいアール・ブリュットの要素が加わり、わたしたちの感受や想像をより豊かに刺激してくれているようです。

展示空間も第18回「ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」(~11/26)日本館出展者として名を連ねる建築家ユニット・ドットアーキテクツが手がけた、木の温もりを感じる、語らいの場「公園」のようなしつらえになっています。
そんな中でひとつひとつの作品と向き合うと、いろんな「ものがたり」が頭に浮かんできて、あなた自身の「ものがたり」と響きあうのではないでしょうか。ここはそんな、多様な生き方をしている人の創造性との出会いがあり、語り合う機会となるでしょう。

【出展作家紹介】

鎌江 一美 KAMAE Kazumi (1966年~/滋賀県生まれ)

鎌江は2006年から土粘土による創作を始め、所属する「やまなみ工房」施設長の「まさとさん」をかたどる作品を作り続けています。特徴的な豆粒大の突起は、まさとさん」の髪やネクタイの柄などの特徴を表現しようと工夫し、試行錯誤から生まれたとか。

どの作品も表情が豊かで、作品タイトルに含まれる“ラーメンを食べに行く”などの日常的な風景を想い起させる言葉と相まって、「わたし」と「まさとさん」の関係性や平和な時間の流れが私たちにも目の前に見えてくるようです。見下ろすだけでなく、しゃがんで観たりして、いろんな角度から作品の表情を楽しむことをおすすめします。

富永 武 TOMINAGA Takeshi (1948年~/大阪府生まれ)

富永は60代半ばとなる2013年頃から、日雇い労働者の街として知られる大阪市西成区の釜ヶ崎で生活を送るなか、日課の図書館での読書を通じて「からくり人形」の存在を知り、独学で創作を始めます。材料費はかけられないので、飲み終わったビールの空き缶を素材に、第1作は小さな通天閣を作ったそうですが、これを知人に見せたところ褒められ、その後の制作が続いたようです。


設計図はないそうですが、動きだけでなく、光や音も取り入れた楽しい作品は、釜ヶ崎でしか思いつかないようなモチーフやメッセージにあふれています。声をかけるとコダマのように声を返してくれる作品《からくり熊手》もありますので、ぜひ試してみてください。

畑中 亜未 HATANAKA Tsugumi (1973年~/北海道生まれ)

畑中は幼い頃から絵を描くのが好きで、生活用品から自然現象まで幅広く、独自のモチーフ選びや大胆な画面上の配置を行い、クレヨンを塗り込む筆致で描いていきます。

展示されている作品を観ると、ピンク色のルージュや夜の街を彩るネオンサイン、冬の身近な必需品「はだいろのとっくりインナー」から、世の中が暗く沈んだ大災害や事件のニュースまで、いろんなテーマや断片的なシーンを描いた小さな作品たちが、一見ランダムにコラージュされているように見えます。でも、考えてみれば、ひとりひとりが関心を寄せている世界は、こんな風にできているかも、と思えてきます。全体を観ても楽しいですし、ひとつひとつの作品に潜む「ものがたり」をイメージしても楽しいです。

hideki hideki (1981年~/埼玉県生まれ)

hidekiは自宅内で、廃材やボンドなどミクストメディアで作る空想の街のジオラマをつくり、それを10年近くかけて完成させては作り変えることを繰り返しています。ジオラマづくりは家族が趣味にしているといい、幼少期から親しんできたそうです。
展示されている作品《北仙台駅》は実在する駅ですが、作者はそこを訪れたことはありません。作家がどこかで見たものや、幼い頃から興味があったものなど、いろんな要素が詰まっているようですが、近年は「電柱地中化」された現実の町の変化に触れたことにより、またhidekiの「街」も成長を遂げているそうです。


展示してあるジオラマをいろんな角度から眺めていると、どこの街にでもありそうな、暮らす人や道行く人のいろんな「ものがたり」が見えてくるようです。

松本 寛庸 MATSUMOTO Hironobu (1991年~/北海道生まれ)

松本は幼少期を熊本県で過ごし、魚や昆虫、動物など身の回りの生き物への関心から、成長につれて宇宙や歴史へと興味を広げていきました。展示されている作品も《過去》、《現在》、《未来》や《ブラックホール》など、抽象的なイメージや時間の流れなどを俯瞰して世界を捉える姿勢が見られます。


中でも《加藤清正と徳川家康の陣取り合戦》(2010-11年)は圧巻です。デフォルメされた日本地図上に、作家が空想した、肥後熊本の大名加藤清正率いる軍勢と江戸を築いた徳川家康の軍勢との架空の陣取り合戦が描かれているのですが、ひとつひとつの鱗模様のようなエレメントを眺めていると、作家の郷土への想いを含め、いろんな「ものがたり」が見えてくるようで圧倒されます。

ミルカ MIRUKA (1992年~/大阪府生まれ)

ミルカは小さな頃から絵を描くことが好きだったそうですが、大阪府にある事業所「YELLOW」のアトリエで他の作家と活動をともにし、皆の活躍の機会やその姿を目の当たりにしたことがきっかけとなり、創作へと意欲を増し、デッサンの練習などに励んだようです。


展示作品には色彩豊かな鳥が色鉛筆で緻密に描かれており、淡い色の音符を敷き詰めた背景とのコントラストで独自の世界を創っています。作家が理想の生き物と公言する「鳥」は動きや表情が豊かに、いきいきと描かれており、楽しげに仲間と戯れている様子や、強さや儚げな様子など、いろんなさえずり声が聞こえてきそうで、まさに「かたりあう」ようにも観えます。

山﨑 健一 YAMAZAKI Kenichi (1944年~2015年/新潟県生まれ)

山﨑は1964年の東京オリンピック開催前後に20歳を迎え、当時、空前の都市化と建設ラッシュに沸き立っていた東京へ、新潟県から季節労働者としてやってきました。東京湾の埋め立てなど、過酷で危険な労働も経験したらしく、体調を崩して、ふるさとで入院した時に、病室で描いた約3,000点の作品が残されています。


会場には方眼紙にコンパスや定規、ボールペンなどを使って描かれた作品が紹介されていますが、建設現場で活躍する巨大な重機などのモチーフが繰り返し描かれており、中にはふるさとの田畑を思わせる風景も混在しています。いずれも、病を得ていた人が描いたとは思えないくらいポジティブな波動が感じられ、作家の人物像にまで想いをはせることができるくらい、鮮明な「ものがたり」が見えてくるようです。

 

タイトル アール・ブリュット2023巡回展
ディア ストーリーズ ものがたり、かたりあう
会期 2023年10月21日(土)~ 12月24日(日)
会場 東京都渋谷公園通りギャラリー 展示室1・2
住所 〒150-0041 東京都渋谷区神南1-19-8 渋谷区立勤労福祉会館 1F
Webサイト https://inclusion-art.jp/archive/exhibition/2023/20231021-225.html
開館時間 11:00 ~ 19:00
休館日 月曜日
観覧料 無料