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憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷 in 国立西洋美術館

国立西洋美術館では、「憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」展が2023年3月18日(土)から6月11日(日)まで開催されます。
フランス北西部のブルターニュ地方は、古くからフランスの中でも特別な歴史と文化を持ち、多くの画家たちがこれに惹きつけられました。19世紀末にはポール・ゴーガンを取りまくポン=タヴェン派やナビ派といった美術史上重要な画家グループの誕生をも促しています。本展では同じくブルターニュに魅せられた日本人画家たちの作品も含め、あたかも旅をするように、あまり知られていないブルターニュに関わる美術史に出会うことになるでしょう。

フランスの中の「異郷」の地・ブルターニュ
ブルターニュは、多くのフランス人にとっても少し特別な感じがする「異郷」です。その理由は、1532年にフランスに併合されるまで、ケルト民族ブルトン人由来の独自の文化と言語を持つブルターニュ公国という独立国だったからです。


断崖の連なる海岸や岩が覆う荒野、内陸部の深い森をはじめとする豊かな自然。そして、巨石遺構や中近世のキリスト教モニュメント、「ブルトン語」を話す人々の素朴で信心深い生活様式などの独自の文化は、19世紀後半から20世紀はじめにロマン主義の時代を迎えると、多くの画家たちの注目を集め、新たな画題を求める者たちがブルターニュを目指します。
本展では、この地の風景や風俗、歴史をモティーフとした作品を一堂に展覧することで、それぞれの画家たちがこの「異郷」になにを求め、見出したのかを探っていきます。

美術史上重要な画家グループの誕生を促す
このフランスの内なる「異郷」は、ロマン主義の時代を迎えると芸術家たちの注目を集め、美術の領域でも新たな画題を求める者たちがブルターニュを目指します。以来この地は流派や国籍を問わず幅広い画家を受け入れることとなり、19世紀末にはポール・ゴーガンを取りまくポン=タヴェン派やナビ派といった美術史上重要な画家グループの誕生を促しました。


また、フランスを中心とする西洋画家のみならず、明治後期および大正期にかけて渡仏し、ブルターニュにまで足を延ばした日本出身画家たちの足跡と作品にも光をあてる、これまでにない試みとなります。会場には国内の30か所を超える所蔵先と海外2館から集められた約160点の絵画や素描、版画、ポスター作品に加え、文学作品やガイドブック、画家旧蔵の絵葉書やトランクなどの関連資料も展示されます。この機会にブルターニュの各地を画家たちと一緒に旅する気分で本展を楽しんでみませんか。

【展示構成】

[第1章]見出されたブルターニュ:異郷への旅
ブルターニュ地方が画家たちを惹きつけはじめたのは、19世紀はじめのロマン主義の時代です。第1章は、イギリスの風景画家ウィリアム・ターナーの水彩画など、19世紀初めの「ピクチャレスク・ツアー(絵になる風景を地方に探す旅)」を背景に生まれた作品から出発します。
章の後半では、ウジェーヌ・ブーダンやクロード・モネら、旅する印象派世代の画家たちがとらえたブルターニュ各地の表情豊かな風景を前に、自然と向き合う画家たちの真摯なまなざしを感じ取ることができるでしょう。

[第2章]風土にはぐくまれる感性:ゴーガン、ポン=タヴェン派と土地の精神
ブルターニュ地方南西部の小村ポン=タヴェンには、1860年代には画家たちのコロニーが形成されていました。ゴーガンもこの地を気に入り、1886年から1894年までブルターニュ滞在を繰り返して、この土地特有の風景や自然条件、人々の篤い信仰や素朴な生活様式に触れます。ゴーガンと彼をとりまくポン=タヴェン派の画家たちは、単純化したフォルムと色彩を用いて現実の世界と内面的なイメージとを画面上で統合させる「綜合主義」を展開します。彼らの芸術思想は、1880年代末にパリの画塾でナビ派が結成される引き金ともなりました。


ゴーガンが度重なるブルターニュ滞在において制作した作品12点(絵画10点、版画2点)によって造形表現の変遷をたどるとともに、他のポン=タヴェン派の画家の作品も併せて展覧することで、実験的な創作活動の場としてのブルターニュを実感することができます。

[第3章]土地に根を下ろす:ブルターニュを見つめ続けた画家たち
画家たちのなかにもこの地を「第二の故郷」とし、絶え間なくこの地を着想の源とした者がいました。世紀末のジャポニスムを牽引した版画家アンリ・リヴィエールが描くブルターニュの穏やかな海、民衆が農作業にいそしむ牧歌的風景には、彼が夢見たであろうもうひとつの「異郷」たる日本のイメージが投影されているかのようです。

篤い信仰に根差すブルターニュの精神に共鳴したナビ派の画家モーリス・ドニは、現実と幻視が共存する地上の楽園のイメージを創出しました。一方で「バンド・ノワール(黒の一団)」と呼ばれたシャルル・コッテやリュシアン・シモンらは、ブルターニュの伝統的あるいは現代的な風俗や自然を、それぞれ独自のレアリスムで描写しました。

[第4章]日本発、パリ経由、ブルターニュ行き:日本出身画家たちのまなざし
ブルターニュ地方が西洋絵画の主題として定着し、多様な表現の受け皿となっていた19世紀末から20世紀のはじめ、つまり日本における明治後期から大正期にかけて、芸術先進都市パリに留学していた日本人画家・版画家たちもブルターニュという「異郷のなかの異郷」へ足を延ばし、その風景や風俗を画題に作品を制作していました。

第4章では、これまであまり注目されてこなかった彼らのブルターニュ滞在に光をあてる新しい試みとして、黒田清輝や久米桂一郎を筆頭に、山本鼎や藤田嗣治、岡鹿之助らが描いたブルターニュの風景や風俗を鑑賞するとともに、彼らの同地での足跡をたどります。

タイトル 憧憬の地 ブルターニュ
モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷
会期 2023年3月18日(土)~ 6月11日(日)
会場 国立西洋美術館
住所 〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
Webサイト https://bretagne2023.jp/
開館時間 9:30~17:30(毎週金•土曜日は20:00まで)
※5月1日(月)、2日(火)、3日(水・祝)、4日(木・祝)は20:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日 ※3月27日(月)と5月1日(月)を除く
チケット情報 詳しくは、公式サイトのチケット情報ページをご覧ください。
料金(税込) 一般:2,100円
大学生:1,500円
高校生:1,100円
音声ガイド付きチケット:2,300円
料金(備考) ※中学生以下、心身に障害のある方及び付添者1名は無料。チケット購入・日時指定予約は不要です。直接会場へお越しください。
※大学生、高校生、中学生以下、各種お手帳をお持ちの方は、入館の際に学生証または年齢の確認できるもの、障害者手帳をご提示ください。
※無料観覧券をお持ちの方は、日時指定予約は不要です。直接会場へお越しください。
※新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、本展では団体券の販売を行わないことといたしました。
※国立美術館キャンパスメンバーズ加盟校の学生・教職員は、日時指定予約不要です。直接会場へお越しいただき、国立西洋美術館券売窓口にて学生証または教職員証をご提示ください。当日窓口にて各料金から200円引きにてチケットをお買い求めいただけます。
※会期中1枚につき1人1回、観覧日当日に限り有効です。再入場はできません。
※本展は入替制ではありませんので会場内の混雑等により、ご入場をお待ちいただく場合がございます。
※本展ご観覧の当日に限り常設展もご覧いただけます。ただし、常設展の混雑状況により入場をお待ちいただく場合がございます。
※本展チケットは転売を禁止しております。不正に購入されたチケットに関するトラブルについては一切責任を負いませんので、ご注意ください 。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止に関する取り組みについては、国立西洋美術館公式サイトをご確認ください。
※今後の状況により入場方法の変更及び入場制限を実施する可能性があります。最新の情報は、本サイトにてご確認ください。