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デ・キリコ展 at 東京都美術館

東京都美術館では、20世紀を代表する巨匠の一人、ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)の個展「デ・キリコ展」が2024年4月27日(土)から8月29日(木)まで開催されています。彼が1910年頃から描き始めた「形而上絵画」(幻想的な風景や静物によって非日常的な世界を表現する絵画)は、数多くの芸術家や国際的な芸術運動に大きな影響を与えました。本展では、デ・キリコのおよそ70年にわたる画業を「イタリア広場」「形而上的室内」「マヌカン」などのテーマに分かれ、初期から晩年までの作品が余すところなく紹介されています。デ・キリコが描いた不思議な世界をたどる、日本では10年ぶりの大規模な個展となります。ぜひ、訪れてはいかがでしょうか。

デ・キリコの不思議の世界へ、ようこそ。

ジョルジョ・デ・キリコといえば、幻想的で不思議な世界観を持つ作品を思い浮かべる方も多いかと思います。彼は、1910年頃から後に「形而上絵画」と名付けた、簡潔明瞭な構成で広場や室内を描きながらも、歪んだ遠近法、脈絡のないモティーフの配置、幻想的な雰囲気によって、日常の奥に潜む非日常を表した絵画を描き始めます。
“形而上”とは哲学でしばしば使われる言葉で、はっきりした形がなく、感覚を通しては存在を認識できない理念的なものを表します。それは例えば、世界の根本的な成り立ちや、物や人間の存在の理由や意味などについて考えることにつながります。
デ・キリコの1910年代の作品は、サルバドール・ダリやルネ・マグリットといった後のシュルレアリスムの画家をはじめ、数多くの芸術家に衝撃を与えました。

ポップアートの先駆けと見なされた斬新な概念

また、1919年以降は伝統的な絵画へ興味を抱くようになり、古典的な主題や技法を用いた作品を手がけるようになります。一方で、過去に描いた「形而上絵画」の再制作や、「新形而上絵画」と呼ばれる新たな作品も生み出していきます。
こうした過去作の再制作や引用は、ときに「贋作」として非難されましたが、ポップアートの旗手アンディ・ウォーホルは、複製や反復という概念を創作に取り入れたデ・キリコをポップアートの先駆けと見なして高く評価しました。
弟や最愛の妻といった自身の芸術の理解者が身近にいたデ・キリコは、世間の評価に左右されることなく、90歳で亡くなるまで己の才能を信じて精力的に創作を続け、絵画や彫刻、挿絵、舞台美術など幅広く、数多くの作品を残しています。

初期の「形而上絵画」の作品を含め、幅広い創作活動がここに

本展は初期から描き続けた自画像や肖像画から、画家の名声を高めた「形而上絵画」、西洋絵画の伝統に回帰した作品、そして晩年の「新形而上絵画」まで、世界各地から集まった80点以上の作品により、デ・キリコ芸術の全体像に迫る大回顧展となります。
特に1910年代の作品をはじめ、デ・キリコの代名詞ともいえる「形而上絵画」は世界中に散らばっており、本展のようにまとめて観ることができる機会は貴重でしょう。
彫刻や舞台芸術、挿絵など、デ・キリコの活動は絵画だけではなく、幅広い分野にわたります。本展では彼の手掛けた彫刻や挿絵、さらには舞台衣装のデザインなども展示されるので、彼の目指した表現のすべてを楽しむことができるでしょう。

【展示構成】

SECTION 1 自画像・肖像画

デ・キリコがその画業の初期から取り組んできた自画像は、過去の巨匠たちの作品との対話において最も重要なテーマのひとつです。彼は自画像において、様々な衣装をまとい、自己を演出していきます。最初のセクションでは肖像画にフォーカスされています。

SECTION 2 形而上絵画

1910年にフィレンツェに移ったデ・キリコが、形而上絵画誕生の「啓示」となる原体験と密接に関連している「イタリア広場」のシリーズをはじめ、1915年にフェッラーラの病院に配属された時期の、この町の家の室内、店先のショーウインドウなどに魅せられて制作した室内画がこのセクションで紹介されています。
また、マヌカン(マネキン)をモティーフとして取り入れることにより、人物像をモノとして扱うことが可能となり、デ・キリコは作品の中で、謎めいたミューズたち、予言者や占い師、哲学者、そして自画像など、様々な役割を演じさせています。

SECTION 3 1920年代の展開

1920年代、デ・キリコは従来のマヌカンに加え、「剣闘士」などの新たな主題にも取り組みます。その新しい主題のひとつが「室内風景と谷間の家具」です。これらの作品では、海や神殿、山々など、本来は外にあるはずのものが天井の低い部屋の中にあり、逆に屋内にあるべき家具が外に置かれており、ちぐはぐで不穏なイメージを作り出しています。

SECTION 4 伝統的な絵画への回帰 ̶
「秩序への回帰」から「ネオ・バロック」へ

1919年以降は伝統的な絵画へ興味を抱くようになり、古典的な主題や技法を用いた作品を手がけるようになります。そうして、1920年代半ば以降はシュルレアリストたちと険悪な関係になり、他の前衛的な芸術家や批評家に対しても厳しい態度をとるようになります。

SECTION 5 新形而上絵画

1978年に亡くなるまでの10年余りの時期に、デ・キリコは、あらためて形而上絵画に取り組みます。それらは「新形而上絵画」と呼ばれ、若い頃に描いた広場やマヌカン、そして挿絵の仕事で描いた太陽と月といった要素を画面上で総合し、過去の作品を再解釈した新しい境地に到達しています。
また、私たちはここで彫刻や舞台芸術の作品にも触れることができます。

タイトル デ・キリコ展
会期 2024年4月27日(土)~ 8月29日(木)
会場 東京都美術館 企画展示室
住所 110-0007 東京都台東区上野公園8-36
Webサイト https://dechirico.exhibit.jp/
開室時間 9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
休室日 月曜日、7月9日(火)〜16日(火)
※ただし、7月8日(月)、8月12日(月・休)は開室
チケット情報 公式オンラインチケット(etix)
※土日・祝日及び、8月20日(火)以降は日時指定予約制(当日の空きがあれば入場可)
観覧料 【一般】 2,200円
【大学生・専門学校生】 1,300円
【65歳以上】 1,500円
備考 ※高校生以下無料。
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料。
※身体障害者手帳等のお手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)・高校生以下の方は、日時指定予約は不要です。直接会場入口にお越しください。
※高校生、大学生・専門学校生、65歳以上の方、各種お手帳をお持ちの方は、いずれも証明できるものをご提示ください。
※毎月第3土曜日・翌日曜日は家族ふれあいの日により、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2名まで)は一般通常料金の半額(住所のわかるものをご提示ください)。日時指定予約不要、販売は東京都美術館チケットカウンターのみ。
※本展チケットは転売を禁止しております。不正に転売されたチケットに関するトラブルについては一切責任を負いませんので、ご注意ください。