出来事との距離 -描かれたニュース・戦争・日常 in 町田市立国際版画美術館
町田市立国際版画美術館では、「出来事との距離―描かれたニュース・戦争・日常」展が2023年6月3日(土)から7月17日(月・祝)まで開催されています。
私たちは、ニュースや戦争を描いた作品に触れるとき、時代や立場によって表現できることが違うことに気付かされます。町田市立国際版画美術館の収蔵品と松元悠ほか若手アーティストの作品を通じて、古今東西のアーティストがこうした出来事にどう向き合ったかを見ていくことができる、本で読んだり博物館で観るのとは違った興味深いアート体験になるでしょう。
私たちは、ニュースや戦争を描いた作品に表現されたことを、そのまま受け取ってもよいのでしょうか?たとえ作家自身が体験したことであっても、それを直截に表現することが許されなかった時代もあるでしょう。作品を観るとき、時代背景や作家の立場を知ると、表現できることが違うことに気づかされます。中には、時が経ってからやっと私たちに伝わってくることもあるでしょう。
例えば江戸時代ではその時に起きた事件を描けなかったので、浮世絵では故事や古典になぞらえて時事を伝えようとしました。また自身の軍隊経験を描いた浜田知明は、時を経るにつれ戦争の構造に迫る作品も発表していきます。
本展では、実際に起きたことに対して作家自身がどのような“距離”で接したかという視点から収蔵品が紹介されるとともに、若手アーティストたちの作品も展示されています。なかでも特集されている松元悠は、メディアやSNSが伝えるニュースの現場を訪れて想像を働かせ、当事者の姿を自画像として描くことで、日常と地続きにある「事件と人間の不可解さ」に分け入っています。こうした距離の取り方は、恐らく現代的であり、他人事ではなく“自分事”として見ているとも言えそうなので興味深いところです。
本展を通じて過去や現在のアーティストが「出来事との距離」にいかに向き合ってきたかを感じ取ることで、私たち自身がニュースや戦争、そして日常を見る視点や距離も新しいものが加わるかも知れません。ぜひ、ご観覧ください。
【展示構成】
1章 ゴヤが描いた戦争
2章 戦地との距離
3章 浮世絵と「報道」
4章 ニュースに向き合うアイロニー
5章 若手アーティストの作品から
主な出品作家(生年順)
フランシスコ・ゴヤ、月岡芳年、小林清親、畦地梅太郎、浜田知明、馬場檮男、石井茂雄、郭徳俊、松元悠、土屋未沙、小野寺唯、ソ・ジオ
出品点数 約150点
タイトル | 出来事との距離―描かれたニュース・戦争・日常 |
会期 | 2023年6月3日(土)~ 7月17日(月・祝) |
会場 | 町田市立国際版画美術館 企画展示室1、2 |
住所 | 〒194-0013 東京都町田市原町田4-28-1 |
Webサイト | http://hanga-museum.jp/ |
開館時間 | 【平日】 午前10時~午後5時(入場は4時30分まで) 【土・日・祝日】 午前10時~午後5時30分(入場は5時まで) |
休館日 | 月曜日 *ただし7/17(月祝)は開館 |
料金 | 【一般】800円(600) 【大・高生】400円(300) 【中学生以下】無料 *( )は20名以上の団体料金 *6/3(展覧会初日)は無料 *6/28はシルバーデー(毎月第4水曜日は65歳以上の方無料) *身体障がい者手帳、愛の手帳(療育手帳)または精神障がい者保健福祉手帳をご提示の方と付き添いの方1名は半額 |
割引 | リピーター割引 200円割引 タクシー割引、パスポート割引、シェア・サイクリング割引、ウェブクーポン割引 以上は100円割引 |