国川広 in 小山登美夫ギャラリー天王洲
小山登美夫ギャラリー天王洲では、「国川広」展が2023年8月26日から9月16日まで開催されています。
国川は2017年武蔵野美術大学大学院油絵コースを修了し、同年「アートアワードトーキョー丸の内2017」で小山登美夫賞を受賞しています。その翌年2018年には8/ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryで初の個展「未分のレポート」を開催し、評判を博しました。しかし残念ながら、2021年に他界されています。本展では、未公開作品も含めたペインティング、ドローイングを展示いたします。その繊細な若い才能を惜しみつつ、独特な世界観を楽しみたいと思います。
ギャラリーに入ると、裸の人物が描かれ、さまざまな場所で色々なポーズをとっている作品と出会います。それは特定な人物でなく、性別や国籍も不明な抽象化された存在のようであり、漠然とした人の「気配や雰囲気」に感じられます。
「アートアワードトーキョー丸の内2017」の際、このギャラリーオーナーでもある小山は国川の作品をこう評しています。
「人物画という一見、伝統的な主題をモチーフにしているようでいて、人が生きていく空間を描くことの実験、確認が続けられている。主眼は人物でも風景でもない。そんな謎に富んだ作品を見て、モランディをちょっと思い出す。境界線上に繰り広げられるとてもスリルに満ちた画面はとても魅力的です。」
国川自身は、「人物を最初に、その後背景を描く。人の形ができるとぼんやりと空間ができ、なんとなく線をひいて形ができてくる。最初にイメージがあるわけでなく、感覚的に出てきた結果だ」と述べているといいます。
また国川はこうも述べています。
「裸にこだわるのは、人に対する興味からであり、目の前にいる人よりも、単純に人の怖さ、不思議さに興味がある。服を着てしまうと文化的なものが出てきて、『言葉やジャンル』が出てきてしまう。それをこえた、とらえられないような、はっきりしたものの間にあるものを描きたい。
それが結果として裸となった。」(国川広コメント「渋谷のラジオ」2018年より)
国川の作品は個性的で謎に満ちているが、同時に人へのまなざしや好奇心も感じられ、そうした彼独自の感性が魅力的で、いつまでも立ち去り難い時間となるかも知れません。
タイトル | 国川広 |
会期 | 2023年8月26日 ~ 9月16日 |
会場 | 小山登美夫ギャラリー天王洲 |
住所 | 140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex I 4F |
Webサイト | http://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/kunikawa2023/ |
開廊時間 | 11:00 ~ 18:00 |
休廊日 | 日・月・祝日 |
観覧料 | 無料 |