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李康昭 at 東京画廊+BTAP|東京

東京画廊+BTAPでは2月24日(土)から4月6日(土)まで、李康昭展が開催されています。日本国内では24年ぶりの個展となる本展では、李の新作8点が展示されています。東京の街は、二十四節気でいう「清明」を迎えようという時候になってきました。韓国の「風流」思想が反映されたと言われる李の作品は、清らかで生き生きとしており、枯れた風景の中から新しい生命がいっせいに芽吹く季節にふさわしい「景色」がギャラリー内に満ちているようです。あなたも、李の作品と対話するために訪れてはいかがでしょうか。


空間全体が生き生きとしたひとつの景色のよう

ギャラリーのあるフロアに出ると、ガラス越しに軽やかで鮮やかな色彩が目に入ります。ドアを開けてスペースに進むと、フロアに置かれた2点の立体作品とともに、全体がひとつの景色のようにも感じます。
絵画作品は墨の線の動きが印象的な《The Wind blows》シリーズと、鮮やかな色彩感が楽しい《淸明》シリーズが壁面に掲げられていますが、いずれも牛か馬と想像できる抽象的なモチーフが点景のように描かれ、牧歌的な印象も受けます。
たおやかで、リズミカルな筆遣いから生まれる動と静が同居す空間全体からは、爽やかに吹き抜ける風の音やヒバリのさえずりさえ聞こえてきそうです。

実験美術から始まる李の業績

李康昭(Lee KangSo)は1943年に、韓国・大邱で生まれました。1965年にソウル大学絵画科を卒業し、現在は京畿道安城を拠点に制作しています。1950年代の韓国で隆盛したアンフォルメル運動の後続世代にあたる李は、1969年にソウル中心の権威的画壇から離れ、圧政下の困難な状況で前衛グループ「新体制」を結成します。1974年には故郷の大邱で「大邱現代美術祭」を開催し、地方における実験美術の活性化に貢献しました。


その後、絵画に関する研究を開始した李は、パフォーマンスのプロセスを伝統絵画の平面に実現することを目指します。キャンバスの糸を引き出したり、シルクスクリーン印刷を施したキャンバスを用いるなど、1970年代の媒体に関する実験を経て、80年代に入ると、美術教育で身につけた習慣的な筆使いから離れた新しい表現を模索しました。

 

韓国の「風流」思想が反映された世界観

1980年代後半から、李の関心は清らかで生き生きとした自然へと向かいます。1990年以降の作品には鴨や浮舟、鹿などの特徴的なモチーフが現れますが、李はそれらを対象として描写するのではなく、「筆画」と「気運」に従った表現へと昇華します。描写しようとする欲望を捨て、清澄な精神と柔軟な身体を用いて、淀みない筆遣いから生まれる世界には、韓国の「風流」思想が反映されています。


韓国の「風流」は伝統思想のひとつで、時代によって解釈も異なるようです。研究者の論考によると、『中・韓・日の風流の共通点は、「芸術的又は美的に遊ぶこと」と言える。(中略)韓国における「風流」とは、「風と水の流れ」のような単純なものではなく、自然と人との関係に目を向ける複雑なものである。それゆえ韓国の辞書では「風趣と粋を楽しんで遊ぶこと」あるいは「雅趣があること」と定義している。(注:参照先は文末)』と記されています。

参加と対話のエネルギーが相互に作用する構造体

展示されている作品のうち、2点の立体作品は90年代のものですが、残り8点の絵画作品はすべて新作で、それぞれ《The Wind blows》と《淸明》と題されています。特に《淸明》シリーズは作品から受ける印象から、日本でも使われる二十四節気の「清明」の意味するところと同じか、多くの共通点があると思われます。そもそも二十四節気は、6世紀頃に朝鮮半島を通して伝わったという説もあり、春を迎える悦びは同じなのだなとあたたかく、すがすがしい気分になります。


李が目指すのは、西洋的な世界観を離れ、真実の直観と安息を観客と共有することであり、その作品は単に思想を伝達する手段ではなく、参加と対話のエネルギーが相互に作用する構造体になるといいます。あなたもぜひ、水ぬるむよい季節にお出かけして、李の作品と対話してみてはいかがでしょうか。

 

注(参照先):金 秀娟『「韓国風流思想」を活かしたデザイン -アイディア発想・展開とその制作』(京都市立芸術大学リポジトリ)

タイトル 李康昭
会期 2024年2月24日(土)~ 4月6日(土)
会場 東京画廊+BTAP|東京
住所 〒104-0061 東京都中央区銀座8-10-5 第四秀和ビル7階
Webサイト https://www.tokyo-gallery.com
開廊時間 火~土 12:00~18:00
休廊日 日・月・祝
料金 無料