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M.B.ゴフスタイン作品展 「私と、私の100枚のゴフスタイン」in のこぎり

(株)トンカチが運営するギャラリー「のこぎり」では、エム・ビー・ゴフスタイン(M.B.Goffstein)の日本では初の作品展「私と、私の100枚のゴフスタイン」が、2023年7月21日から8月20日まで開催されています。
ゴフスタインは絵本作家として、愛のこもったシンプルな線で描かれたキャラクターが登場する、ちょっとスピリチュアルで哲学的なストーリーが特徴的な作品をいくつも生み出しました。彼女の作品は読んだ人によって感想が違うものになります。また、一度読んだ後でも、何か月、あるいは何十年かを経て再び読むと、違う気づきや見方が生まれる深みのある物語性が大きな魅力と言われます。
作品の他に、手に取って読める絵本も数点用意されているので、初めての方にとってはゴフスタインに出会う良いきっかけになるでしょう。すでに大好きな方にとっては、彼女のイラストや初の立体作品を楽しめる機会になるでしょう。

豊かな外光が採りこまれるギャラリーに入ると、壁面いっぱいを埋めるイラストが目に飛び込んできます。床から立ち上がった展示台には6点の立体作品が並んでいます。こちらは「ブルッキーのひつじ」の一場面を立体化したもので、絵本の中の2Dの絵がすでに持っている強い生命力を失わないように注意しながら制作されたそうです。6点とも同じポーズながら、モノクロや着彩したものなどのバリエーションが展開され、いずれもブルッキーがひつじを愛しむ気持ちがよく伝わってきます。

エム・ビー・ゴフスタイン(M.B.Goffstein)は1940年にアメリカ合衆国ミネソタ州に生まれました。彼女は幼少の頃、本というものがあまりに素晴らしいので、人間が作ったものとは思えず、神様がくれたものだと思っていたそうです。
そして人が書いたということを知って以来、本を書く人になりたいと思い、大学卒業後にニューヨークに移って絵本作家として活動を開始。1966年に最初の絵本を出版し、ニューヨークタイムズ・年間最優秀児童絵本賞、コルデコット賞などを受賞しています。1989年以降は小説も執筆するようになり、晩年は自然や天国についての物語や詩も書いています。2017年に77歳の誕生日に亡くなっています。

本展のタイトル「私と、私の100枚のゴフスタイン」にある“私”とは、ゴフスタインシリーズのアートディレクターである(株)トンカチの佐々木美香のことで、100枚のイラストのセレクトは彼女によるものです。
実は、佐々木はゴフスタインが存命中に絶版になっている絵本の復刻を彼女に申し出たそうですが、「絵本は過去のことで、今は触れたくない」という固い意志があって実現しなかったそうです。ゴフスタインの死後、佐々木の熱心なメッセージを読んだ彼女の夫から「自分は彼女の作品を次の時代に残していきたいから、あなたがやりたいことをやってください。」という連絡があり、私たちは彼女の作品を再び日本語でも読めて、プロダクトも楽しめるようになったのです。
展示されている作品は原画ではなく、ジークレープリントで出力・額装されたものですが、セレクトされたイラストや絵本、プロダクツなどを観ていると、作品の素晴らしさだけでなく、佐々木のゴフスタインへの愛とリスペクトの気持ちが伝わってきます。
※ゴフスタインと佐々木のエピソードはこちらに詳しく紹介されています。
「私と、私の100枚のゴフスタイン」についてわいわい語る。

ギャラリーの奥に展示されている絵本「私とお隣さん」(原題:NEIGHBORS)は1979年に出版され、日本では長らく絶版となっていましたが、最近、新たに装丁され、本文も訳し直された“リマスター版”です。かわいいグッズも加わったBOXセットになっています。
その物語は、以下のように紹介されています。

私のすぐとなりの家に、あたらしい「お隣さん」がやってきた。
私は、お隣さんのことが気になって、気になって。
秋から夏にかけて、じっくりと時間をかけて親しくなる私とお隣さんの物語です。

日本人の感覚だと、実際に住んでいるところの“お隣さん”とは微妙な距離感があり、仲が悪いことのほうが多かったりします。“汝の隣人を愛せよ”などといいますし、気持ちが通じ合えば楽しいことも多いとは思います。読む私たち自身も実際の住まいだけでなく、学校や職場などでいろんな“お隣さん”と出会うことによって、この物語への感じ方が変わっていくはずです。
他の絵本もそうですが、イラストの線も、お話もシンプルながら味わい深い、長くお付き合いできそうな作品ばかりです。

ゴフスタインはすでに亡くなっていますが、(株)トンカチでは『プロダクツを作ることで、ゴフスタインの絵本の「つづき」のストーリーを語っていきたい。本を想起させ、本に回帰するようなプロダクツを作りたい。 』といいます。そうした意気込みも感じながら、すてきなイラストと物語に触れてみてはいかがでしょうか。

作家やプロダクトの詳細情報はM.B.ゴフスタイン・日本オフィシャルサイトをご覧ください。

タイトル M.B.ゴフスタイン作品展
私と、私の100枚のゴフスタイン
会期 2023年7月21日(金)~ 8月20日(日)
会場 のこぎり
住所 〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町5-17第一西尾ビル2階
Webサイト https://www.nokogiribytonkachi.jp/mbgoffstein_detail-jp.html
開廊時間 12:00 ~ 19:00
休廊日 月・火
チケット情報 ※水・木・金はウェブから事前予約が必要です。ご予約はこちらから
https://www.nokogiribytonkachi.jp/reservations.html※土・日・祝日のご予約は不要です。
観覧料 無料