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西島雄志「瑞祥 zui-shou ― 時の連なり ―」in ポーラ ミュージアム アネックス

ポーラ ミュージアム アネックスでは、彫刻家・西島雄志の初の大型個展『瑞祥 zui-shou ― 時の連なり ―』が2023年4月28日(金)から6月4日(日)まで開催されています。タイトルにある瑞祥とは、何かめでたいことが起こる前兆、吉兆を意味します。私たちも、コロナ禍による日常の閉塞感からようやく解放されそうな予感がする春という季節の中、神々しくもポジティブなエネルギーに満ちあふれた作品を体験してはいかがでしょうか。

西島雄志は、直径約2~3cmの銅線で巻かれた渦状のパーツをつなぎ合わせる、独創的な手法で立体作品を生み出す作家です。モチーフとなるのは鹿や象、八咫烏(やたがらす)など神話に縁の深い動物が多く、国内外で多数の立体作品やインスタレーションを発表してきました。本展では立体作品2点と、暗転した空間に展開された2点のインスタレーションを出品されています。

入り口付近の立体作品は《shin-shi #3》と題され、導きの神・八咫烏がモチーフとなっています。展示キャプションには“「存在」「気配」「生命」を表現しようとしたとき「神」に行き着いた”と記されています。銅線はすでに緑青を吹いており、積み重ねられた時間を感じることができます。

遮光カーテンをくぐり展示室2に進むと、13体の八咫烏をモチーフとして構成されたインスタレーション《神使 shin-shi ― 空 ―》と出会います。ここでの銅線のパーツは真新しく、にぶく光を放っています。八咫烏は最低限の輪郭が分かる程度に構成されており、私たちの想像力を広げてくれます。
八咫烏は昇るでもなく、降りるわけでもなく、フラットに連なってこちらのほうに“到来”してくるように見えます。点いては消えるオレンジ色の4灯の明かりに照らされ、群れのようでもありますが、奥から1体だけが飛んでくる残像を見ているようにも感じられます。また無音の空間ですが、羽音まで聞こえてきそうな臨場感があります。

次の展示室3には鳳凰と龍をモチーフとしたインスタレーション《瑞祥 zui-shou》が圧倒的なスケール感で展開されています。作品は何千ものパーツから構成されており、それらが無数の糸で天井から吊るされています。もはや、何が何のかたちというよりも、何か神秘的な空気感が渦を巻いているようで、目に見えない「気配」への想像を掻き立てます。
作品の周囲は360度、歩いて回ることができます。どの角度から見ても、ひとつひとつのパーツににぶく映える光がまばゆく混ざり合って、まさに何か良いことが起きそうなイメージを抱くことができます。

さらに奥の展示室4には立体作品《真神 makami》が展示されています。真神はニホンオオカミが神格化されたもので、真実を見極める神であると紹介されています。

西島がここ数年のパンデミックの状況から、明るい兆しや希望をイメージする中で辿り着いた本展の作品は、静かにあなたの心に響くでしょう。ぜひ訪れて、あなた自身の「瑞祥」を発見してみてください。

【コンセプト動画】
NAKANOJO BIENNALE 2019 WORK

 

タイトル 西島雄志
「瑞祥 zui-shou ― 時の連なり ―」
会期 2023年4月28日(金) ~ 2023年6月4日(日)
会場 ポーラ ミュージアム アネックス
住所 〒104-0061 中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
Webサイト https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/index.html
開館時間 11:00~19:00 (入場は18:30まで)
休館日 会期中無休
料金 入場無料