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ピーター・ドイグ展@東京国立近代美術館

日本では初となるピーター・ドイグの個展は、初期作から最新作までを鑑賞できる貴重な機会です。ピーター・ドイグ(1959年~)はスコットランド出身の芸術家で、現代で最も重要なアーティストの一人として高く評価されています。近代の有名な画家の作品の構図と、彼個人の記憶やイメージが融合した作品は、何となく既視感はあるのに、実は見たこともない風景が広がります。ひとつの作品の中にあるストーリー性も豊かで、その世界で遊んでいると、ひとつの作品の前でゆったりと長い時間を過ごしてしまいます。2月26日の開幕後すぐに臨時休館となりましたが、閉幕日が当初の6月14日から10月11日まで延長されました。何回でも行ってみたくなる展覧会なので、会期の延長はありがたいです。

第1章:森の奥へ(1986年~2002年)

ピーター・ドイグの作品はすでにある日常的に目にするイメージや彼自身の経験などが重なり、幻想的な情景が描かれています。彼の想像力をふくらませているのは誰もが知る近代画家の構図やモチーフ、映画のワンシーンや広告から、彼が暮らしたカナダやトリニダード・トバゴの風景のようです。

また日本のニセコのスキー場の新聞広告や小津安二郎の映画「東京物語」などにもインスピレーションを受けた作品もあり、日本人である私たちにも身近に感じられます。ピーター・ドイグの作品を観ていると、私たち自身がそれぞれ持っている様々な記憶や体験が呼び起こされ、それが新たな想像力をかき立てます。それはとても不思議な感覚であり、この展覧会でしか体験できないことかも知れません。

第2章:海辺で(2002年~)

ドイグは2002年に制作拠点をロンドンからトリニダード・トバゴの首都、ポート・オブ・スペインに移します。そこで作風も、比較的厚塗りされた画面から、キャンバスの地が透けて見えるくらいに薄く塗られた油絵具や水性塗料で描かれるように変わります。色づかいも鮮やかなコントラストを見せ、赤道に近い、南国の表情が豊かに描かれています。

作品の心地よさに見過ごしてしまいそうになりますが、ちょっと奇妙なストーリーも封入されており、それは《夜の水浴者たち》では作品脇の展示解説を読めば分かりますし、《ポート・オブ・スペインの雨(ホワイトオーク)》では画面の左端をよく見るとニヤリとさせられます。

第3章:スタジオのなかで

最後のコーナーは、ドイグが友人と主宰する映画上映会の告知ポスターを彼自身が描いており、そのドローイングが並んでいます。もちろん、私たちが観たことのある名画がたくさん描かれており、彼自身がそれぞれの作品を観てどうとらえたか、ドローイングから感じ取れます。自分が観たことのある映画のシーンが、自分が抱いていたイメージと違うとらえ方で描かれているので、最後のチャプターはそのギャップや彼のユニークな視点を十分に楽しめる空間になっています。

このように、第1章や第2章で紹介したような幅3メートルを超える作品の楽しさは、印刷物やスマートフォンの小さな画面からなかなか伝わりません。この映画告知のドローイングのように来てみないと分からない体験がもりだくさんな展覧会ですので、ぜひ足を運ぶことをおすすめします。

タイトル

ピーター・ドイグ展

会期

2020年2月26日(水) ~ 10月11日(日)

会場

東京国立近代美術館 1階 企画展ギャラリー

住所

〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1

Webサイト

https://peterdoig-2020.jp/

開館時間

10:00 ー 17:00(入館は閉館30分前まで)*当⾯の間、⾦・⼟曜の夜間開館(20時までの開館)はありません。

休館日

月曜日(ただし8月10日,9月21日は開館)、8月11日,9月23日

料金

一般 ¥1,700 大学生¥1,100 高校生¥600
※原則、日時指定チケットをご購入の上、ご来場ください。当日券も販売されますが、混雑状況によってはお待ちいただく場合があります。日時指定チケットの販売先はこちらです。https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b1949763