白井美穂 森の空き地 at 府中市美術館
府中市美術館では、「白井美穂 森の空き地」展が2023年12月16日(土)から2024年2月25日(日)まで開催されています。本展は、メディアを自在に横断し旺盛に制作を続ける、白井美穂の美術館初個展となっており、1990年代前半に発表された貴重な立体作品が約30年ぶりに展示されるだけでなく、2000年代に入って華麗に展開する絵画を中心に、映像やオブジェを交えて構成されています。冬を迎えた都立府中の森公園に佇む美術館で、知られざる巨人の全貌を目にすることができる貴重な機会となっています。
白井美穂は東京藝術大学美術学部で学んだ後、1980年代末から大規模なインスタレーションを旺盛に発表して注目を集め、1993年アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)の助成を得てニューヨークに渡りました。
2006年まで同地を拠点に活動した後、住み慣れた東京西部に戻り、映像や絵画、立体作品等を制作しています。1994年にはファーレ立川にパブリックアート《Round Trip》と《Cut》が設置されています。
白井は、バブル経済が終焉に向かう1980年代末から90年代に、社会的慣習や風俗を巧みに引用・流用し、家具や結界など既製品を用いて華麗で大胆なインスタレーションを展開しました。艶やかな黒色や反射する硬質な物質の使用が特徴で、また写真も印象的に使われています。
平成のただなかにあった2000年代半ば以降は、ピンクや水色といった明るい色が登場し、布や糸など柔らかい素材が用いられ、また絵画が中心的役割を果たすようになります。錬金術書の挿絵や物語からとったイメージに、宇宙や生命の循環への思索が織り込まれます。
近年は個展のほかに、「アーティスト・ファイル2008」(2008年 国立新美術館・東京)、「瀬戸内国際芸術祭」(2013年 宇野港・岡山)、「あいちトリエンナーレ」(2013年 愛知県美術館・愛知)などにも参加しています。
白井美穂の作品にある洗練された造形と、意味を複雑に重ねて提示する深い思考は、35年以上のあいだ驚異的な質を維持しています。
「白井美穂 森の空き地」展では、貴重な初期作品が再構成され、最新作とあわせて展示されています。もの、空間、イメージがからまり生まれる迷宮の、その先に開かれる「空き地」へ、あなたも体験しにお出かけしてみてはいかがでしょうか。
タイトル | 白井美穂 森の空き地 |
会期 | 2023年12月16日(土)~ 2024年2月25日(日) |
会場 | 府中市美術館 2階 企画展示室 |
住所 | 〒183-0001 東京都府中市浅間町1丁目3番地(都立府中の森公園内) |
Webサイト | https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/ |
開館時間 | 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
休館日 | 月曜日(1月8日、2月12日は開館) 12月29日(金曜日)~1月3日(水曜日)注記:年末年始休館日 1月9日(火曜日)、2月13日(火曜日) |
料金 | 【一般】 700円(560円) 【高校・大学生】 350円(280円) 【小・中学生】 150円(120円) *( )内は20名以上の団体料金 |
備考 | *「白井美穂 森の空き地」展観覧料金で常設展もご覧いただけます。 *府中市内の小中学生は「府中っ子学びのパスポート」提示で無料。 *未就学児は無料。 *障害者手帳(ミライロID可)をお持ちの方と付き添いの方1名は無料。 *最新の開館状況については、当館ウェブサイト、またはハローダイヤル等にてご確認ください。 |