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上野アーティストプロジェクト2021「Everyday Life : わたしは生まれなおしている」 @ 東京都美術館

東京都美術館では公募展を舞台に活躍する作家たちを紹介する上野アーティストプロジェクト2021「Everyday Life : わたしは生まれなおしている」が開催されています。
今回登場する6名はすべて女性作家で、技法も津軽こぎん刺し、コラージュ、写真、ガラス、木版画、クレヨンと水彩、水墨など多彩で、さまざまな視点から日々体験する風景や物事など、それらの記憶が表現されています。
毎日の暮らしの中で自分自身のすぐそばにあるものへのまなざしを通して、私たちが「日々生きること」について問いなおすきっかけをいただけそうな展覧会です。

【概要】
タイトルにもある“わたしは生まれなおしている”は、暮らしや身近なところで取り組むべきテーマを見出し、自らが表現したい核心に近づくために、日々、新たな表現を模索し続けてきた作家の姿勢を表しています。一方で私たちにとっては、たいへんポジティブで魅力的な言葉だと受け取れますが、では「どう生きなおすのか?」という問いは私たちにとっても重いものになるでしょう。

「日常へのまなざし」の先に見えてくる、人が生きていくことの本質に近づくような6名の作家たちの思索や記憶などが楽しい展覧会です。2名ずつ全3章からなる展示構成を順路に沿ってかんたんにご紹介します。

第一章 皮膚にふれる
第一章は身近にある端切れや刺し子といった生活の断片ともいえる「皮膚にふれる」ものが、空間や時間の広がりを感じさせてくれる作品が紹介されています。
会場を降りていくエスカレータで最初に目に飛び込んでくるのが、貴田洋子氏(1949‒)の津軽こぎん刺しによる刺し子の作品です。近世以降の津軽地方で野良着の補強と防寒のために発展・継承されたこぎん刺しは、素朴な麻の布地に美しい幾何学的な模様が広がり、“じょっぱり”と言われる津軽の人の心の強さを表しているようです。

桂ゆき氏(1913‒1991)は女性が油絵を描き、自己表現をすることが“はしたない”と言われるような時代に、西洋の潮流に追随することなく、自分にしかできない表現を追求した前衛美術家として評価が高い方です。そうした骨太な姿勢は作品からも感じますが、ユーモラスな表情もあり、親しみもわいてきます。

第二章 土地によりそう
第二章では、自分自身が日々生活を送る土地によりそい、近くにありながら見過ごされてしまう命や生き様を作品を通じて考えさせてくれます。
常盤とよ子氏(1928‒2019)は、かつて横浜にあった赤線地帯で働く女性や戦争孤児などを被写体に、女性でしか撮れないと言われた作品を残した方です。常盤氏が抱いていた社会への問題意識は現代にも通じるものがあり、作品からそれらに触れることができます。

小曽川瑠那氏(1978‒)の《息を織る》は、溶けたガラスに毎日1回息を吹き込んだ作品。自分の吹いた息がつくるかたちは、自分の暮らす土地の記憶を可視化したものでもあると作家は捉えています。小曽川氏は飛騨の高山の風景のほか、各地に眠る戦争、公害、災害やそこに生きた、あるいは生きている人々の記憶をテーマとした作品を制作しています。

第三章 記憶にのこす
第三章は記憶をカタチにして残すことで、作家と私たち観る側の記憶を再生し、また新たな記憶が生まれなおし続けていくような作品が紹介されています。
川村紗耶佳氏(1989‒)の木版画作品は版の木目を生かした透明感のある淡い色彩で、人物を大きく描く特徴的な作風です。人物の頭の上にある舟のような物体は、記憶を閉じ込めておく器と説明されており、観ている私たち自身の頭の上にはどのようなものが浮かんでいるのだろうと想像してしまいます。

70歳を過ぎてから制作を始めた丸木スマ氏(1875‒1956)の作品は、生きてきた中で出会った身近な植物や動物、幼い頃の村での生活の風景などが心の動くままに描かれています。原爆の日のことなど、つらい記憶も表現されていますが、多くの作品からは楽しかった日々をいつくしむ無垢な心が感じられます。

 

貴田洋子氏、小曽川瑠那氏、川村紗耶佳氏の作品は、これだけまとまった点数が美術館で紹介されるのは初めてだそうです。6名の作家の素晴らしい作品を、落ち葉を踏みしめる感触が心地よい上野公園の散策とともに楽しんではいかがでしょうか。

タイトル 上野アーティストプロジェクト2021「Everyday Life : わたしは生まれなおしている」
会期 2021年11月17日(水)~2022年1月6日(木)
会場 東京都美術館 ギャラリーA・C
住所 東京都台東区上野公園8-36
Webサイト https://www.tobikan.jp/exhibition/2021_uenoartistproject.html
開室時間 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
休室日 2021年12月20日(月)~2022年1月3日(月)
料金 当日券: 一般 500円 / 65歳以上 300円

※学生以下は無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
※いずれも証明できるものをご持参ください
※特別展「ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」(会期:2021年9月18日(土)~12月12日(日))のチケット(半券可)提示にて入場無料