印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵 at 東京都美術館
東京都美術館では、特別展「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」が2024年1月27日(土)から4月7日(日)まで開催されています。今年は第1回印象派展の開催から150周年を迎えます。本展の出品は、ほとんどが初来日となるウスター美術館の印象派コレクションを中心に、これまで日本で紹介される機会の少なかった、知られざるアメリカ印象派の魅力に触れる貴重な機会となります。印象派をよく知る方や、そうでない方にとってもさまざまな気づきや発見があるかもしれません。ぜひ、お出かけください。
海を越えて花開いた“アメリカ印象派”
日本でも人気の高い印象派は、19世紀後半のフランスで起こった近代美術を代表する芸術活動のひとつです。目に映るそのままの「印象」=光や色彩を表現することを重視し、最初は批判的な声があったものの次第に支持され、現代にまで影響力を持つほどです。
1874年4月、パリのヴァンドーム広場近くのカビュシーヌ大通り35番地で、のちに「印象派」と呼ばれる画家たちによる最初のグループ展が開かれました。その後、パリで印象派に触れ、画家たちが学んだ新しい絵画の表現手法は海を越えて広がり、アメリカ各地で独自に展開していきます。その技法はニューイングランドの田園風景や西部の自然の驚異など、アメリカらしい主題にも応用されていきました。
日本初公開!ウスター美術館コレクション
本展は、西洋美術の伝統を覆した印象派の革新性とその広がり、とりわけアメリカ各地で展開した印象派の諸相に注目した展覧会です。出品の中心となるのはアメリカ・マサチューセッツ州第2の都市ウスターにあるウスター美術館の所蔵品です。
同館は1898年の開館当初から印象派の作品を積極的に収集してきました。本展では日本でもよく知られるモネ、ルノワールなどフランスの印象派にくわえ、ドイツや北欧の作家、国際的に活動したサージェント、さらにはアメリカの印象派を代表するハッサムらの作品など、ほとんどが初来日となる同館の印象派コレクションが一堂に会します。
そのほかクールベ、コロー、シスレー、ピサロ、カサット、サージェント、ホーマー、セザンヌ、シニャックら40人以上の画家の作品が集結します。
展示構成は印象派が誕生する直前の時代から始まり、国際的な広がりの中での日本や欧州における印象派が与えた影響にも触れながら、アメリカにおける特徴や広がりがよく理解できる構成になっています。この機会に改めて印象派の作品と出会い、新たな気づきや発見とともに、認識を深めてはいかがでしょうか。
【展示構成】
第1章 伝統への挑戦
Challenging Tradition
第1章では19世紀後半から20世紀初頭にかけての前衛的な美術運動の先駆けとなる、真実の姿に迫りつつもときに理想化されて描かれた風景画の台頭を、ヨーロッパとアメリカの主要な画家の作品によって紹介されています。
ジャン・パティスト=カミーユ・コロー、ギュスターヴ・クールベなど、レアリスムやバルビゾン派の画家たちは、日常的なものにすぎないと見なされてきた母国フランスの自然に美しさを見出したのです。アメリカでは、芸術家たちはそれ ぞれの地元の身近なものに目を向け、そこからアメリカらしさを表現する新しいイメージを生み出していきました。
第2章 パリと印象派の画家たち
Paris and the Impressionists
1874年4月、パリで印象派の画家たちによる最初のグループ展が開かれました。クロード・モネ、カミーユ・ピサロ、アルフレッド・シスレーらは、伝統的でアカデミックな絵画の混色法と筆づかいを否定し、色彩と主題の両方により直接的にアプローチします。
パリには美術館、ギャラリー、アトリエ、カフェ、美術学校などがあり、展覧会も開かれ、鉄道網の拡大により、パリ中心部はもちろん、郊外からも志を同じくする芸術家たちが集まり、そしてまたヨーロッパ各国やアメリカからもこの時代の新しい芸術を探究する者たちが集まってきました。第2章では、この時期の作品が紹介されています。
第3章 国際的な広がり
Impressionist Networks
20世紀に入って、パリに留学した画家の多くは新しい絵画の表現技法を母国へともち帰りました。フランスから遠く離れた日本にも、1890年代初頭、フランス留学から帰国した黒田清輝や久米桂一郎らによって、印象派の手法が日本に紹介されました。
印象派にあまり関わりのなかった画家たちや、フランスを訪れたことのない画家たちの絵画にも、その影響が見られるようになり、こうした印象派の影響が拡大した時期の作品が第3章では紹介されています。
第4章 アメリカの印象派
American Impressionism
第4章では、アメリカの印象派の作品が紹介されています。1880年代半ばには、アメリカの画商や収集家の間でもヨーロッパの印象派が流行し始め、19世紀末から20世紀初頭にかけ、アメリカの画家たちは印象派について独自の解釈を編み出し、次にそれがアメリカ全土に広がるにつれて、さらに地域ごとにさまざまなヴァリエーションが生まれます。
アメリカの画家たちの中には、フランス印象派に忠実である者もいれば、家庭の情景や田舎の人目を引く自然など、アメリカらしい主題をうまく表現するためにそれに手を加え、なかには印象派がもつ近代性の痕跡を消し去る者さえいたといいます。
第5章 まだ見ぬ景色を求めて
New Directions and Frontier Lands
第5章では、色彩、象徴、形態といった要素の探究に重きを置く、より抽象的な表現様式へと移行し始めたポスト印象派の作品が紹介されています。19世紀末のアメリカでは、印象派の大胆な色彩と視覚への固執に対し、淡い色彩と目に見えないものの描写を重視したトーナリズム(色調主義)の画家が描く、陰影に富んだ情緒深い情景が、困難な近代生活に精神的な安らぎを与えたといいます。
印象派の画家たちが採用した色彩、持ち運びできる画材道具、戸外制作は、どんな困難な地域にも適応させることができました。19世紀後半の北アフリカを描いた作品や、アメリカ西部を捉えた印象派の作品ではさらに顕著に、その特性を認めることができます。
All images courtesy of the Worcester Art Museum
This exhibition was organized by the Worcester Art Museum
タイトル | 印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵 |
会期 | 2024年1月27日(土)~ 4月7日(日) |
会場 | 東京都美術館 企画展示室 |
住所 | 110-0007 東京都台東区上野公園8-36 |
Webサイト | https://worcester2024.jp |
開室時間 | 9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00 (入室は閉室の30分前まで) |
休室日 | 月曜日、2月13日(火) ※ただし、2月12日(月・休)、3月11日(月)、3月25日(月)は開室 |
チケット情報 | 公式オンラインチケット(etix) ※土曜・日曜・祝日及び4月2日(火)以降は日時指定予約制です。(当日空きがあれば入場可) |
観覧料 | 【一般】 2,200円 【大学生・専門学校生】 1,300円 【65歳以上】 1,500円 |
備考 | ・高校生以下無料。 ・身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料。 ・高校生、大学生・専門学校生、65歳以上の方、各種お手帳をお持ちの方は、いずれも証明できるものをご提示ください。 ・本展チケットは転売を禁止しております。不正に転売されたチケットに関するトラブルについては一切責任を負いませんので、ご注意ください。 |