ポーラ ミュージアム アネックス展 2024 ― 表彰と趣意 ― 前期 at ポーラ ミュージアム アネックス
ポーラ ミュージアム アネックスでは、「ポーラ ミュージアム アネックス展 2024 ― 表彰と趣意 ―」が2024年2月9日(金)から4月14日(日)の間、前後期に分けて開催されています。
2024年2月9日(金)から3月10日(日)までは前期として、西田秀己・砂田百合香・江原梨沙子の3名によるグループ展示が行われています。それぞれロシア、ドイツ、フランスで研修された成果発表として、若手アーティストの作品を楽しむことができます。
公益財団法人ポーラ美術振興財団では、日本の芸術分野の専門性の向上を目的に、1996年より若手アーティストの海外研修を助成されています。その研修成果を多くの方に観ていただく機会を設けて、今後の創作活動に活かして欲しいという趣旨で、本展は毎年2月から4月にかけて定期的に開催され、今回で第22回となります。
近年の研修員より選ばれた6名の方の作品が、木島俊介氏(ポーラ美術館前館長)監修のもと、「表彰と趣意」と題し展示されています。
【作家・作品紹介】
西田秀己 Hidemi NISHIDA
2018年 公益財団法人ポーラ美術振興財団 在外研修員(ロシア)
西田の展示は《fragile bridge》、《fragile passage》、《fragile chairs》と題された大規模なインスタレーションあるいは環境芸術作品の記録映像や写真、模型、図面などで構成されています。西田は日本で建築や空間デザインを学んだ後、ノルウェーの芸術デザイン大学やイギリスのアーティストレジデンシーフェローとして学んでいます。主な在外研修地であるロシアのニコラ・レニヴェツ芸術公園は、大規模な環境芸術などが展開されていることで知られています。
西田は風景の広がりに対峙した時、この世界のどこか、自分の知覚が及ばない方に、何やら巨大な未知の存在があるような気がして、恐ろしさと安堵の入り混じった快さを感じるといいます。そうした感覚と思索の後に生まれた作品のイメージが、静謐な空気感とともに画面から伝わってきて、繊細さと壮大なスケール感が同居しているような印象を受けます。
砂田 百合香 Yurika Sunada
2019年 公益財団法人ポーラ美術振興財団 在外研修員(ドイツ)
砂田は知覚に関する人間の複雑なメカニズム、感覚の働きに深い関心を持ち続け、「完全性と不完全性」、「記憶と忘却」、「知覚と紹覚」などの相反する感覚に焦点を当て、その中駆的な部分を追求してきたといいます。これらのテーマはキネティック・アートとして表現されています。
展示されている《Interspace》、《ambivalent(Imperfection)》、《ambivalent(The Flow of Time)》の3作品は、いずれも動きがあり、作品によって壁面や床に映し出される光と影がとても印象的です。作品の中の鏡により鑑賞している自分自身と対峙させられ、見入っていると、砂田が感じ取った何かを私たちも実感している気になってきます。
江原 梨沙子 Risako Ehara
2021年 公益財団法人ポーラ美術振興財団 在外研修員(フランス)
江原は壁画の修復技法を用い、創造、破壊、修復の行為を反復することで“歴史の追体験”をテーマに制作をしているといいます。また実体験に基づいた記憶を制作の中で重要視しており、特に旅で出会ったウイグル自治区の石壁画、フランスの3万年前の画、イタリアのロマネスク建築の教会壁面から多くの着想を得ているそうです。
本展では、現在滞在中のイタリアで制作した古代から現代までの壁画をモチーフにした作品が展示されています。現代と過去だけでなく、西洋と東洋が混在したようなモチーフは、古来より人が壁に絵を描くことで精神性を表現してきたように、目には見えない畏敬すべき何かが伝わってくるようです。
【若手芸術家の在外研修助成 -430名以上の日本の作家たちとともに】
※プレスリリースより
財団の助成事業の一つである「若手芸術家の在外研修助成」は、日本の若手作家の海外研修を援助するものです。 財団設立の1996年に開始され、以降今日まで毎年18名程度を採択する、日本を代表する作家助成事業のひとつです。 海外で様々な研修に取り組むための助成金を給付し、作家が知見を広げ、より充実した創作活動の糧とすることを奨励 しています。
丸山直文、やなぎみわ、小金沢健人、曽根裕、村瀬恭子、さわひらき、田中功起、野口里佳、大山エンリコイサム、蓮沼執太ほか、これまで430名以上の作家が研修に参加しており、本助成を契機に多くの作家が海外に拠点を移すなど、 その活動の幅を広げています。
【 監修者プロフィール】
※プレスリリースより
木島 俊介:ポーラ美術館前館長。1939年鳥取県生まれ。慶応義塾大学文学部卒業、美学・美術史専攻。フィレンツェ大学、ニューヨーク大学大学院、同美術史研究所に学ぶ。群馬県立近代美術館館長および群馬県立館林美術館館長、共立女子大学教授等を務め、現在、同大学名誉教授、東急文化村ザ・ミュージアム プロデューサー。主要著書は、『美しき時祷書の世界』(中央公論社)、『アメリカ現代美術の25人』(集英社)、『女たちが変えたピカソ』(中公文庫)、『名画が愛した女たち 画家とモデルの物語』(集英社)、『クリムトとウィーン』(六耀社)、翻訳書に『ヨーロッパの装飾芸術 全3巻』(中央公論新社)など。
【公益財団法人ポーラ美術振興財団の活動概要】
※プレスリリースより
公益財団法人ポーラ美術振興財団では、美術分野などの若手芸術家及び美術の専門職員に対する助成活動を行っています。主に美術分野における研究活動テーマを広く一般から募集し、有識者で構成される選考委員会によって採択・助成し、日本文化の向上、発展に寄与することを目的に以下の活動を行っています。
【参考資料:令和5年度助成採択内容】
(採択数)(助成金額)
(1)若手芸術家の在外研修に対する助成
13件 3,681万円
(2)美術館職員の調査研究に対する助成
7件 1,400万円
(3)美術に関する国際交流の助成
8件 1,600万円
タイトル | ポーラ ミュージアム アネックス展 2024 ― 表彰と趣意 ― |
会期 | 前期:2024年2月9日(金) ~ 3月10日(日) 後期:2024年3月15日(金) ~ 4月14日(日) |
会場 | ポーラ ミュージアム アネックス |
住所 | 〒104-0061 中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階 |
Webサイト | https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/exhibition/index.html |
開館時間 | 11:00-19:00 (入場は18:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 | 無料 |