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第17回 shiseido art egg 第1期 林田 真季展『Water & Mountains: エコロジーと社会をめぐるワンダーランド』 at 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリーでは第17回を迎えた、資生堂が新進アーティストを応援する公募プログラム「shiseido art egg」の第1期展 林田真季展『Water & Mountains: エコロジーと社会をめぐるワンダーランド』が2024年1月30日(火)から3月3日(日)まで開催されています。今回の審査ポイントは、独自の視点で今日の世界を見つめ、時代が抱える不安や困難に真摯に向き合い、そこから新しい価値観や美意識を表現しているか?という点にあり、林田は現実社会をテーマに、あらたなアートとしての写真の可能性を探求した点が評価されています。実際に訪れてみると、その視点や論点だけでなく、表現手法の面など、さまざまな興味深い気づきや発見があって、知性と感性がともに刺激されるアート体験となるでしょう。ぜひ、あなたも体験してみてください。

第17回 shiseido art egg 第1期 林田 真季展 『Water & Mountains: エコロジーと社会をめぐるワンダーランド』

新しい価値の創造を感じさせるshiseido art egg

「shiseido art egg」は、人びとの感性と多様な価値観を刺激し、新たな美の可能性を押し広げるアーティストに個展開催の機会を提供してきました。2006年にスタートして以来、毎年3組のアーティストが個展を開催し、その中から最も新しい価値の創造を感じさせたアーティストに「shiseido art egg賞」が授与されています。これまで参加したアーティストは延べ48名(組)にのぼり、「shiseido art egg」参加後も活躍の幅を広げています。

第17回 shiseido art egg 第1期 林田 真季展 『Water & Mountains: エコロジーと社会をめぐるワンダーランド』

リサーチ・ベースド・アートならではの楽しみ

林田真季(はやしだまき)は、人間による利己的な行動が予期せぬ結果をもたらすという「意図せざる結果」の法則に着目しています。そのアプローチはリサーチ・ベースド・アートと呼ばれるもので、本展ではイギリス沿岸部の過去のごみ埋立地の姿と日本各地の大規模不法投棄事案がリサーチされ、その現時点での成果が写真を中心としたインスタレーションで表現されています。

第17回 shiseido art egg 第1期 林田 真季展 『Water & Mountains: エコロジーと社会をめぐるワンダーランド』
観る私たちとしても、作家の着眼点や問題意識、そしてリサーチの過程における思索などに触れることで、新しい情報との出会いや気づきが生まれる楽しみがあるでしょう。また、それがどのようにアートとして表現に落とし込まれているかも見どころです。

コメントと一体化された知性と感性を刺激する作品

一般的にリサーチ・ベースド・アートの展覧会の場合、リサーチ段階におけるドキュメントやサンプル、データ、記録動画などが閲覧できる“資料コーナー”と、それを表現に落とし込んだ作品展示の組み合わせをよく見かけます。
しかしながら、本展で林田はその“資料コーナー”に相当するほとんどの部分を、作品のそばに掲示された小パネルや会場で配布されるシートにて作家コメントとして提供しています。

第17回 shiseido art egg 第1期 林田 真季展 『Water & Mountains: エコロジーと社会をめぐるワンダーランド』

私たちはそれを読んで、作家の意図や情報を正確に把握したうえで作品を観るわけですが、だからといって、作品を通じていろいろな想像を自分たちの中でふくらませる楽しみが制約される訳ではありません。むしろコメントに集約されることにより、場のしつらいや写真を中心とした表現がシンプルになり、私たちにとって感情を移入しやすい空間になっています。
会場全体は階段室も含めて、大きく4つのセクションに設定され、それぞれに作家コメントが提供されています。この作家コメントは付随的なものでなく、作品の一部としてとらえた方が、より楽しいアート体験をあなたにもたらすでしょう。

第17回 shiseido art egg 第1期 林田 真季展 『Water & Mountains: エコロジーと社会をめぐるワンダーランド』

階段室から始まっている「意図せざる結果」の法則

会場の構成はギャラリーのエントランスにあたる階段室と、メインスペース奥の3連スクリーン、そして複数のバナー(懸垂幕)が下がるサブスペースの3つのセクションが、イギリス沿岸部の過去のごみ埋立地の問題を扱うシリーズ 〈Water Wonderland〉(2022-2023年)からの作品になっています。
3連スクリーンに映し出されているのが現在の埋め立て地の風景で、その地から100年以上前に埋められたガラス瓶の破片が、地上に出てきてしまった「意図せざる結果」としてサブスペースで紹介されています。

第17回 shiseido art egg 第1期 林田 真季展 『Water & Mountains: エコロジーと社会をめぐるワンダーランド』
残りのセクションはメインスペースの手前側の壁面に展開されたエッチング用プレートに描かれた作品《The Stacks》になります。こちらはシリーズ 〈Beyond the Mountains〉(2019-)よりとされ、日本の廃棄物処理の問題に目を向けています。

第17回 shiseido art egg 第1期 林田 真季展 『Water & Mountains: エコロジーと社会をめぐるワンダーランド』

写真の再現性に関する作家の考え方も重要

実は、林田はこの他に、写真の捉え方についても「写真は常に作り上げられたもの」という主旨の、作家ならではの解釈をコメントで説明しており、こちらの考え方も本展の作品や空間構成における重要な要素だと考えられます。その内容については作家自身のコメントで詳しく説明されているので、ここで改めて触れるのは避けます。
また私たちは、この考え方の全体像や真意を本展の会場で、すぐに理解できないかもしれません。しかしながら、頭の隅のどこかに置いておくことで、林田の作品だけでなく、これから出会う他の作家のいろんな写真作品を観る時の楽しさをふくらませてくれる可能性も感じさせてくれます。

第17回 shiseido art egg 第1期 林田 真季展 『Water & Mountains: エコロジーと社会をめぐるワンダーランド』

第17回のshiseido art eggは、第2期展 野村在(のむらざい)展、第3期展 岩崎宏俊(いわさきひろとし)展と続いていきます。本展だけでなく、この後に展開される作家の深い思索とその表現も楽しみにしたいと思います。その口火を切る、第1期展 林田真季展『Water & Mountains: エコロジーと社会をめぐるワンダーランド』にぜひお出かけください。

タイトル 第17回 shiseido art egg 第1期 林田 真季展
『Water & Mountains: エコロジーと社会をめぐるワンダーランド』
会期 2024年1月30日(火)~ 3月3日(日)
会場 資生堂ギャラリー
住所 〒104-0061 東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
Webサイト https://gallery.shiseido.com/jp/exhibition/6663/
営業時間 平日 11:00~19:00
日曜・祝祭日 11:00~18:00
休館日 毎週月曜日 ※月曜日が祝祭日にあたる場合も休館いたします。
料金 無料
今後の予定 第2期展 野村 在 展   2024年3月12日(火)~ 4月14日(日)
第3期展 岩崎 宏俊 展  2024年4月23日(火)~ 5月26日(日)