1. HOME
  2. Events
  3. 銀座/日本橋
  4. 東京画廊+BTAP|東京
  5. 杉謙太郎 器も花のうち at 東京画廊+BTAP|東京

杉謙太郎 器も花のうち at 東京画廊+BTAP|東京

東京画廊+BTAPでは、杉謙太郎による「器も花のうち」展が1月13日(土)から2月17日(土)まで開催されています。この展覧会は同ギャラリーが「現代における表現」をテーマに近代以前から日本人の美の感性を継承してきた「陶」や「書」そして「花」のシリーズ展の1つになります。
本展では、器あってこそ成り立つ「いけばな」の本源に戻り、18歳で花の道を志したという杉の近・新作が紹介されています。杉は「いけばな」における器の意味をどのように見立て、表現したのでしょうか。ぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。

床に並べられた無数の碗(花器)がおりなすもの

ギャラリーの扉を開けると、そこにはひとつの“景”が広がっています。床には無数の碗(花器)が円形に並べられ、その奥には花びらに埋もれそうな大型の壺と、壁に打ち付けられたような花びらとそのしずくが滴っています。
この“景”は人によっては、心の中にある原風景としての野原やどこかのお寺の庭のように感じたり、あるいは舞台装置のようにも見えるかもしれません。

「花実(かじつ)」と名付けられた碗(花器)

杉は花材を探すと時と同様に、近隣の山々を日々歩き回り、自ら様々な原土を集めています。また、この土の造形作品は、花が生まれ出る種子を象徴するものであり、短い花の命を映す碗(花器)として、コロナ禍に見舞われた2019年〜2023年に制作されました。杉はそれを「花実(かじつ)」と名付けました。

花による現代の表現を模索する杉

1960年代に芸術の各分野に広がった「前衛」から、勅使河原蒼風らが「前衛いけばな運動」を起こしましたが、中川幸夫だけがその道を発展継承しました。新しいミレニアムに入るとアートの表現もグローバル化によって多様となり、「いけばな」の世界にも孤立して活躍する花道家が現れます。18歳で花の道を志した杉もその一人です。杉は福岡県の薔薇農家に生まれ、10代で華道家元池坊の花を学びます。その後、日本を離れヨーロッパを巡り、帰国後は原田耕三氏に師事しました。
華道家元池坊の古典立花研究者、岡田幸三氏から原田耕三氏へと受け継がれた古典の立花を中心とした「いけばな」を学び、2013年から国内外を問わず幾多の花会を重ね、花による現代の表現を模索してきました。

「花所望」を想起させた杉の作った“景”

少し個人的な感想になりますが、展示スペースに展開された“景”を楽しみ、水が満たされた碗(花器)を眺めていると、茶道における「花所望」という作法を思い出しました。
一般的にお茶席では招待した主人が招く人のことを想い、季節の花を活けるものですが、「花所望」という作法では、そうした楽しみを招いた客人に譲ります。それは由緒ある花入(茶席で飾る季節の花を入れる器)を使う時や、客人から見事な花をいただいた時などに行われ、床の上に用意した花入の横に花を盛った花台を添えて、客人にその花入に花を活けていただくように所望(お願い)します。

本展でも、訪れた私たちに碗(花器)に花を活けるようにと杉に所望されたような気がしました。碗(花器)に活けたい花として、あなたの心の中にはどんな花の姿が浮かぶのでしょうか。杉のつくった“景”は訪れた人の心を自由にして、何かの出会いのように楽しませてくれる“余白”があるように感じます。

作品が展示された空間からは直感的に伝わってくるものがありますが、会場には「化為 ナル」と題した杉による資料も用意されているので、これに目を通して、改めて作品に目を向けるとさらに興味と楽しみが深まるでしょう。また、あなたの心の中に浮かぶ花の姿も、読後には違うものが浮かび上がるかもしれません。

訪れる者をいろんな側面から楽しませてくれる杉の作品と出会いに、ギャラリーを訪れてみてはいかがでしょうか。

タイトル 杉謙太郎 器も花のうち
会期 2024年1月13日(土)~ 2月17日(土)
会場 東京画廊+BTAP|東京
住所 〒104-0061 東京都中央区銀座8-10-5 第四秀和ビル7階
Webサイト https://www.tokyo-gallery.com
開廊時間 火~土 12:00~18:00
休廊日 日・月・祝
料金 無料