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池内晶子 あるいは、地のちからをあつめて @ 府中市美術館

府中市美術館では多摩ゆかりの美術家・池内晶子氏の、美術館では初となる個展「池内晶子 あるいは、地のちからをあつめて」を開催中です。絹糸をつなぎ、結び、空間にはりめぐらせる池内氏の作品は繊細でありながら、しなやかな強さを感じます。
会場に用意された鑑賞ガイド(リーフレット)や展示パネル、動画には、作家の意図や制作の背景などが記されています。一般的に、こうしたガイドをよく理解して作品に接すると、その枠内でしか作品を楽しめないことも多くあります。しかしながら、池内氏の作品はそれ以上に人の心を自由にし、さまざまな想像をかきたて、考えさせる不思議なパワーに満ちています。そんな現代アートならではの楽しさが充分に満喫できる体験をしてみてはいかがでしょうか。

絹糸が生みだすしなやかで繊細な空間
池内氏は絹糸をつないでかたちをつくり、空間にはりめぐらして、周囲の空気も含めて構成する作品を発表してきました。作品には素材である絹糸の歴史や文化的な背景だけでなく、展示会場などと外部との多様な関わりが織り込まれています。

まずは2階の入り口に用意された鑑賞ガイド(リーフレット)を手に取り、企画室1へ進むと、フライヤーでもメインビジュアルとして扱われている《Knotted@Thread-red-Φ1.4cm-Φ720cm》(2021)が登場します。全長が約2万2000mになるという赤い絹糸で作られ、中央に吊られた筒状のものを中心に、床には波紋のような4重ほどの同心円が広がっています。

中央の筒状のかたちを吊る糸は東西南北の方角の高い位置から伸びており、天から何かが地に降りてきているようですが、地からわき上がった何かが天に昇るようにも見えます。頭の中に浮かぶいろいろなイメージを楽しみながら移動すると、絹糸が微妙にゆらぎ、繊細でしなやかな強さを持った波動が伝わってきます。

絹糸を結ぶということ
池内氏は1988年に作品の素材として糸を選び、これまでの34年間、糸との丁寧な対話をつづけられています。最初はポリエステルや綿の糸を用いていましたが、やがてそれが絹糸に絞られます。絹糸を繊細かつ大胆に扱い、その柔らかさと張りを存分に発揮させるところが池内氏の特徴といわれています。

絹の主成分であるタンパク質の組成は人の肌とほぼ同じと言われ、私たちと同じように水分を吐き出したり、溜めたりしています。また、絹糸は細くて柔らかく、軽いので私たちが作品に近づくとわずかな風圧でも舞い上がるほどです。
時にゆらぎ、時に光を反射する絹糸は人との親和性も高く、「結ぶ」というシンプルな加工による池内氏の創作と相まって、私たちからいろいろなものの見方や記憶、思い、思考を引き出してくれるようです。

自由に広がるあなたの想像の翼
企画室3は3つの作品で構成されています。空間の中央には東西に大きく、10㎝間隔の垂曲線状に絹糸が張り渡されています。右手と左手奥のガラスケースの中にも、同じ規則性で絹糸が渡されています。しかし展示空間はうす暗く、赤い絹糸が空気の中に溶け込んで見えなくなる部分も多く、3つの作品が一望できるわけではありません。
うす暗い中に差し込む光を頼りに角度を変えて、赤い絹糸の存在を確かめながら観ていると、いつの間にか見えていない絹糸を頭の中で“補足”しながら、“見えているはず”の作品を自分の頭の中に描いていることに気づかされます。特に中央の大きな垂曲線は、ダイナミックな動きを想像上は感じることができます。

こうした想像力で補完しながら鑑賞するような空間設定は、観る人の心を自由にし、想像の翼を広げられる楽しさをもたらしてくれます。
また、このような考えることが楽しくなる要素は本展のタイトルにも秘められています。タイトル中の“あるいは、地のちからをあつめて”を「AあるいはB」とするなら、Bは“地のちからをあつめて”だと分かりますが、それではAにあたる言葉はなんなのだろう?・・・・・という疑問は鑑賞して、しばらく経った後でも心地よい“もやもや”として心に残ります。
作品に触れると考えさせられる、いろんなイメージがわいてくるというのは、現代アートならではの楽しさのひとつだと思います。
さて、本展を訪れて、あなたには何が見えるのでしょうか。ぜひ、体験してみてください。

【関連企画】

●アーティスト・トーク
日時:2022年1月16日(日曜日)、2月5日(土曜日)いずれも 午後2時から
会場:企画展示室 (要観覧料)

●パフォーマンス
日時:2022年2月26日(土曜日) 午後2時から
会場:企画展示室 (要観覧料)
池内晶子氏が、展示作品に手を入れて大きく変化させます。26日
午後と27日はパフォーマンス後の状態の作品公開となります。

タイトル 池内晶子 あるいは、地のちからをあつめて
会期 2021年12月18日(土曜日)~2022年2月27日(日曜日)
会場 府中市美術館 2階企画展示室
住所 〒183-0001 東京都府中市浅間町1丁目3番地(都立府中の森公園内)
Webサイト https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakuten/akikoikeuchi.html#PTOP
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 月曜日(1月10日は開館)、1月11日(火曜日)、2月24日(木曜日)
料金 一般 700円(560円)
高校・大学生 350円(280円)
小・中学生 150円(120円)注記:お支払いは現金のみとなります。
注記:( )内は20名以上の団体料金。
注記:未就学児および障害者手帳等をお持ちの方は無料。
注記:府中市内の小中学生は「府中っ子学びのパスポート」提示で無料。
注記:「池内晶子 あるいは、地のちからをあつめて」展観覧料金で常設展もご覧いただけます。
注記:最新の開館状況については、当館ウェブサイト、またはハローダイヤル等にてご確認ください。