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DESIGN MUSEUM JAPAN展2024 ~集めてつなごう 日本のデザイン~ at 国立新美術館

国立新美術館では、「DESIGN MUSEUM JAPAN展 2024~集めてつなごう 日本のデザイン~」が2024年5月16日(木)から5月26日(日)まで開催されています。本展は、NHK で放送する番組「デザインミュージアムジャパン」を展示のかたちで再構成するものです。2021 年から番組内で、これまでに19の地域でクリエーターたちと共に〈デザインの宝物〉を探してきましたが、今回は2023年度に6人のクリエーターと各地で探した内容が紹介されています。また、単に展示を観るだけでなく、会場には“デザインってなんだろう?”という問いかけがたくさんあり、改めてデザインについて考える楽しい機会となっています。ぜひ、お出かけください。

豊かな物語を持つ〈デザイン〉が、ここに

縄文時代より1万年以上ものあいだ、独自の生活文化を育んできた日本には、世界がまだ気づいていない、豊かな物語を持つ〈デザイン〉があります。
でも、〈デザイン〉って何でしょうか?本展に参加している6人のクリエーターの展示には、「あなたにとって、デザインとは?」という問いかけがあり、それぞれがまったく違う答えを返しています。
デザインってこういうもの、という答えを持っていた人にとっては、「これもデザインと呼ぶの?」と疑問を持つものがあるかもしれません。どれも、日本の普通の生活の中にあるものばかりです。しかし、クリエーターたちにとっては、触発され、わくわくした気持ちになって、次のおもしろい物を組み立てる原動力になるものです。
それらが〈デザインの宝物〉と呼ばれ、その背後にある物語とあわせて番組や展覧会で紹介されているのです。

参加性が豊かな展示構成

6人のクリエーターの展示はそれぞれに着眼点が異なり、興味深いですが、クリエーター自身が感じたことや考え、想いがメッセージのようにたくさん掲出されていています。それを読んでいくだけでも、クリエーターたちのわくわくした気持ちに引き込まれ、自然と〈デザインの宝物〉探しに参加している気分になります。
また、ワークショップスペース「集めてつなごう!日本の〈デザインの宝物〉」は、大きな日本地図の中に、あなたが考える〈デザインの宝物〉を紙に書いて、その地域に貼っていくという参加コーナーです。思いついたものを貼っていくのもよいですし、他の人が書いたのを読むのも楽しいでしょう。
この他、これまでのリサーチアーカイブやライブラリーなど、過去年度のリサーチも紹介されている他、「集めて楽しい!デザインミュージアムジャパンカード」コーナーもあり、19人がリサーチした概要がそれぞれカードになっていて、これらを持ち帰って、ゆっくり楽しむこともできます。

番組や本展をきっかけに、それぞれが自分の身の回りにある〈デザインの宝物〉を探しはじめるとしたら、毎日は喜びと驚きに満ちたものに変わるのではないでしょうか。

【展示構成】

竹谷 隆之
船に刻まれた漁師の心意気

漁師の家庭に育った竹谷にとって、「ニシン漁船の化粧板は、デザインの原体験。すごく大事なものとして、心の中にある。」と記されている通り、展示を観ていると、何かしら彼の作品とのつながりを感じます。


北海道の日本海沿岸の沖合は、かつてはニシンの大漁場として、明治・大正期に繁栄を極めました。ニシン漁船の船尾には、船大工による彫刻絵模様〈化粧板〉が据えられたといい、そこに施された彫刻には、船大工の心意気が感じ取れます。


「精緻な美しさというよりは、ザクザクやった魅力がある。彫り跡を意図してかっこよく残すことは、磨いて綺麗に残すことよりも難しい。」と語る竹谷が展示の中で紹介している、自身の「漁師の角度 コラージュスクラップブック」(2019~2020年)もまた、ザクザクした感触があって魅力的です。
竹谷 隆之 Takayuki Takeya
1963年 北海道生まれ

漁師の家庭に育つ。卓越した造形力と、独自の解釈で描かれるデザイン力が高く評価されている。映画・玩具・フィギュアなどさまざまな分野で活躍。映画「シン・ゴジラ」、「進撃の巨人」ATACK ON TITAN の超大型巨人の雛型制作、「ジブリの大博覧会・王蟲の世界」の雛型制作・造形監修など数多くの作品に携わる。主な出版物に「漁師の角度・完全増補改訂版」(講談社)などがある。

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小池 一子
時を超える衣装の記憶

秋田県羽後町で毎年行われる西馬音内盆踊りは、先祖供養や豊作祈願が始まりとされ、日々の仕事や生活から解放される年に一度の盛大なイベントとして住民に長く親しまれてきました。


小池はこの西馬音内盆踊りを「亡くなった人との魂の交歓ができる」場だと捉え、音や踊りに加え、その神秘性をより際立たせるのが踊り手たちが身につける装束であるとして、その魅力に迫っています。


生活を大事にしてものを捨てないで、再生させたりとみんなが考えている衣装デザインであるとして、現代に通じると小池は考えています。女性専用の衣装で、踊りの上手さが認められて初めて着用が許される「時間と共に深みを増す衣装」や劇的で、コスプレみたいに自分でない次元にひとつ上がれる感じがある頭巾や笠などは美しく興味深いです。
小池 一子 Kazuko Koike
1936年 東京生まれ

「無印良品」創業に携わり、以来アドバイザリー・ボードを務める。1983年にオルタナティブ・スペース「佐賀町エキジビット・スペース」を創設・主宰し、多くの現代美術家を国内外に紹介(~2000)。近年の展覧会の企画・ディレクションとして、『佐賀町エキジビット・スペース 1983-2000 現代美術の定点観測』(群馬県立近代美術館、2020)、『オルタナティブ! 小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動』(3331 Arts Chiyoda、2022)など。

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名久井 直子
雪国・糸づくりのデザイン

同じ山形の中で、伝統的な織物である鶴岡の「しな織」と、先端的ともいえる寒河江の、世界最高水準の超極細モヘア糸が紹介されています。名久井はこれを「今あるものをより良く使うという点で共通したものがある」と語り、両者の仕事のありように注目しています。


「しな織」は、シナノキやオオバボダイジュの木の皮の繊維からつくられ、布の素材に恵まれなかった土地で、水に強く強靭な繊維で織られた布となります。硬い素材を扱うので織る作業は大変そうに見えますが、名久井がそれを尋ねると「そんなことを考えてみたこともなかった」という答えが返ってきて、くらしの一部になっていると実感したそうです。


超極細モヘア糸は、紡績ニットメーカーが古い機械を駆使して、ここでしか作れないユニークな糸作りに桃戦し続けて生まれたものです。去から未来へ紡がれる雪国の糸づくりから、糸の根源的なものが見えてくるようです。
名久井 直子 Naoko Nakui
1976年 岩手生まれ

広告代理店勤務を経て、2005年独立。2013年、川上未映子「愛の夢とか」などの作品でブックデザイン賞を受賞。伊坂幸太郎、小川洋子、柴崎友香など数々の作家の小説をはじめ、絵本や歌集、漫画まで、幅広くデザインを手掛ける。2022年 BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLD にて Bronze Medal 受賞。

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片岡 真実
常滑・時代が求める陶器を生む町

愛知県の知多半島にある常滑は、中世から続く代表的な窯場「日本六古窯」のひとつで、現代では産業陶器の産地として知られています。ここでは「旧帝国ホテル」 (1923年竣工)に使用された「すだれレンガ」と、ケーブルなどを土中で保護する電らん管を用いて作られた「電らん管ハウス」 (1955年頃竣工)が紹介されています。


このどちらも、「誰もやったことがないことをある使命感や必然性をもって形にするためには、工夫やアイデアが必要で、それをやってのけた人たちが作ったものという意味で2つはすごくつながっていると思う」と片岡は語っています。


常滑は、産業と芸術的な表現が共存する場所で、様々な場所で産業の遺産を確認できるのが面白いといいます。展示を観ていると、実際に訪れたくもなります。
片岡 真実 Mami Kataoka
1965年 愛知生まれ

森美術館館長。国立アートリサーチセンター長を兼務。国内外の現代美術の展覧会や芸術祭のキュレーションを務めるなど、現代アート界を牽引している。第 21 回シドニー・ビエンナーレ芸術監督(2018)、国際芸術祭「あいち 2022」芸術監督(2022)。CIMAM(国際美術館会議)では 2014~2022年に理事(2020~2022に会長)。

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永山 祐子
戦国の石垣・自然石と向き合う

滋賀県大津市坂本は、石工職人集団である穴太衆(あのうしゅう)の本拠地として知られます。彼らは高い技術力を持ち、比叡山延暦寺や豊臣秀吉をはじめ諸国大名の城の石垣造りに活躍しました。そして、彼らが得意とするのが、自然の石をほとんど加工せずに積み上げる「野面積み(のづらづみ)」という工法です。


永山はそこに石垣としての堅牢性と、表現者としての積み方、つまり合理性とかっこよさが同居していると語ります。よく見るときっちり積まれていないように見える部分がありますが、このすき間は地震があった時のバッファーとなる、免震的な構造となっているようです。


展示には、「一つの壁面にさまざまな種類の石が混在し、種類によってはだんだん苔生したり、経年で表情が加わる。」と記さています。「石と自然が一体となり〈石垣が風景に馴染んでいく〉のが本当に美しい。」光景が目に浮かぶようです。
永山 祐子 Yuko Nagayama
1975年 東京都生まれ

青木淳建築計画事務所を経て、2002 年永山祐子建築設計設立。その建築に求められる本質を見極め、緊張感と心地よさがバランスよく共存する空間をつくる。最近の仕事に、「ドバイ万博 日本館」(2020)、「東急歌舞伎町タワー」(2022)、大阪・関西万博「パナソニックグループパビリオン『ノモの国』」「ウーマンズパビリオン in collaboration with Cartier」(2025 完成予定)などがある。

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永積 崇
左官たちが伝えた遊び心

永積が着目した愛媛県内子町で建物の軒下に残る「こて絵」は、左官職人がこてを使い、漆喰で立体的に描いた浮彫のことです。江戸時代中期以降、耐火性能のある漆喰塗りの土蔵が多く作られ、こて絵が外壁や扉に施されました。


こて絵は、左官が仕事をくれた施主へのお礼として作ったといわれます。きっと職人の気持ちや、アイディア、家主さんとのコミュニケーションから生まれたのでしょう。永積はこて絵を通じて、左官と施主が互いに贈り合った“気持ち”に触れたといいます。


職人たちは技術を競い合い、白い漆喰に色土や顔料を混ぜたり、目やヒゲ、枝葉などのパーツの表現には、電球や銅線、竹が使われ、こてを自作したり、自由な発想に満ちています。愛媛県内でこれまでに約1,000点ものこて絵が見つかっています。
永積 崇 Takashi Nagazumi
1974年 東京生まれ

SUPER BUTTER DOG でメジャーデビューし、2002 年よりハナレグミ名義でソロ活動をスタート。最新シングル「ビッグスマイルズ」(ライブ会場限定発売)、ドラマ『ミワさんなりすます』主題歌「MY 夢中」(2023 配信リリース)。コロナ禍に生まれ育った街を歩き撮りためた初の写真集『発光帯』を出版(2023)。

タイトル DESIGN MUSEUM JAPAN展2024 ~集めてつなごう 日本のデザイン~
会期 2024年5月16日(木)~ 5月26日(日)
会場 国立新美術館 展示室 3B
住所 106-8558 東京都港区六本木7-22-2
Webサイト https://design-museum-japan.jp/
開館時間 10:00~18:00
※金曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日 5月21日(火)
観覧料 無料