エレオノール・ボストロム 「あなたの犬を探して展」 in のこぎり

ギャラリー「のこぎり」では、エレオノール・ボストロム（Eleonor Boström）のギャラリー&ショップ「あなたの犬を探して展」が、2023年6月9日（金）から7月17日（月・祝）まで開催されています。10年以上も「犬」をテーマに陶芸作品を作ってきた彼女の作品が、新作を中心に200点以上も展示されており、彼女の拡張する「犬宇宙」の現在進行形を見せる日本初の展覧会です。本展のタイトル通り、気に入ったワンちゃんがいたらお迎え（購入）することもできる、楽しい時間になるでしょう。

犬が何を考えているか、読み取れるような作品
小さな“のこぎり”のカタチをしたサインを見つけて2階に上がると、ギャラリーの壁にはエレオノールの名前が大きくデコレーションされていて、まるで彼女の誕生日パーティーの会場に来たようなアットホームでわくわくするスペースがあります。

作品はコーヒーカップやプレート（お皿）などの日常的なものから、針山やマッチ棒立てなどユニークな着想のものまでバラエティ豊かです。作品からは、犬が何を考えているか、その表情や仕草を彼女がよく観察している印象を受けます。また、どれもエレオノールが指にチカラを込めた跡が感じられるくらい、ゴツゴツした手作りの質感が強調されていることで、彼女から手渡しされたような温かみとワンちゃんの体温が感じられるような雰囲気があります。

ピースフルでユーモラスな作風と研究者のような人柄
本展が日本初の展覧会となるエレオノール・ボストロムは、スウェーデンはストックホルム生まれのセラミックアーチスト/イラストレーターです。美術大学を卒業後はベルリンを拠点に活動し、現在はストックホルムとサンフランシスコの2か所で制作を続けています。ピースフルでユーモラスな作風と、研究者のような冷静さが彼女の魅力だそうです。

ギャラリーやWebサイト「トンカチストア」では「エレオノールへ16個の質問」を読むことができ、彼女の人柄や犬に対する思い入れなどに触れることができます。10年以上「犬」をテーマに作品を作り続けていますが、本人いわく「飽きることがない」そうです。

壁全体に展開された「飾り皿」に注目！
この「エレオノールへ16個の質問」では、本展で目指した新しい切り口について語られています。それが表れているのが壁全体に展開されている「飾り皿」で、犬たちは自分のお皿に合う色を探しにいったり、誰かと友達になったり、いろいろな冒険をしているようです。

彼女自身が「お皿の犬は、今私が置かれている状況を象徴しています。犬たちは、不思議に思いながら新しいことに向かっていきます。私も今、少し迷いながら同じように進んでいるところです。」と語られているように、観る私たちも自分自身を投影できそうです。
この「飾り皿」は飾るだけでなく、食器としてもいろいろ自由に使えそうです。

毎日が楽しくなりそうな作品の数々
この他、様々なアイテムが展示されている中で、彼女の代表的な作品であるコーヒーカップはコーヒータイムを愉快なものにしてくれそうです。

Webサイト「トンカチストア」の彼女のアーチストページでも紹介されていますが、ひとくち飲むたびにワンちゃんの顔が現れるユーモラスさは彼女の作品ならではですし、ワンちゃん好きならずとも楽しめるでしょう。

株式会社トンカチが運営するギャラリー「のこぎり」
ギャラリー「のこぎり」は、アーチストの発掘、紹介、商品開発、ライセンス・マネージメントなどを行う株式会社トンカチが運営されています。エレオノールの他に、日本でも有名なリサ・ラーソンのマネジメントに関わるなど、多くのアーチストとコラボレーションされているようです。

通常は作品展を開催するギャラリーとして運営されている「のこぎり」ですが、今回は1つの空間をギャラリー＆ショップとして構成されており、飾るだけでなく、身近に置いて、使う楽しさも含めた深みのあるアートのある生活がイメージしやすくなっています。
また代官山エリアには最近、ギャラリーとショップ、ギャラリーとカフェを併設する場が少しずつ増えており、本展もおしゃれで洗練された代官山らしい企画だと感じられます。

入り口がちょっと隠れ家的で楽しいです！あなたも、ぜひ、お気に入りのワンちゃんとの出会いを楽しみに、訪れてはいかがでしょうか？