ザ・フィンランドデザイン展ー自然が宿るライフスタイル in Bunkamura ザ・ミュージアム
独自のスタイルを持ち、日本の文化とも共通点が多いフィンランドのデザイン。その誕生と発展の全貌を一覧できる展覧会「ザ・フィンランドデザイン展ー自然が宿るライフスタイル」が、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中です。
ヘルシンキ市立美術館(HAM)監修のもと、約250点の作品と約80点の関係資料で構成された本展は、自然と生きる暮らしのなかで生まれたフィンランドの人々の豊かな発想と創造力が体系立てて紹介されており、今までなんとなくフィンランドデザインに魅力を感じていた理由や、なぜ私たちは好きなのかをはっきりさせてくれる機会になるでしょう。
自然の恩恵を生活に取り入れる幸福度世界一の国
湖と森林に象徴される豊かな自然と、これにインスピレーションを受けて生まれた美しいデザインの宝庫フィンランドは、「世界幸福度報告書(国連/2021年版)」によると幸福度世界一だそうです。
フィンランドデザインは1930年代から70年代にかけて、今でもファンの多いデザイナー、建築家、アーティストたちの活躍によって確立されました。本展ではこうした人々にもしっかりとスポットがあてられ、それぞれの個性を興味深く楽しむことができます。
展示内容はヘルシンキ市立美術館(HAM)監修のもと、マリメッコやフィンレイソンのテキスタイル、カイ・フランクのガラス工芸の他、陶磁器や家具など、この時代にデザイン・制作されたプロダクト約250点の作品とともに約80点の関係資料で構成されています。また、アルヴァ・アアルトやトーベ・ヤンソンなど有名な方をはじめ、50人以上のデザイナーやアーティストの作品を観ることができます。
自然との結びつきを探しながら観る楽しみ
CHAPTER1からCHAPTER3では、1930年代から1950年代にかけて家具やインテリア、食器などのデザインが確立される流れが紹介されていいます。そこではフィンランドの自然がアーティストやデザイナー、建築家たちにインスピレーションを与え、抽象的で有機的なフォルムをもつ作品(プロダクツ)が多くみられます。
たとえば、アルヴァ・アアルトの革新的な曲げ木を扱った家具(椅子)などは自然素材でありながら、モダンで有機的なフォルムは今でも新しさを感じます。
また素材だけでなく光との調和もひとつのテーマとなっているようで、食器のガラスの色合いは光を取り込むことを前提にデザインされています。
CHAPTER1の冒頭にはアルヴァ・アアルトの花瓶「サヴォイ」が木型とともに展示されており、これなどは自然とプロダクツのフォルムの結びつきがよくわかる一例ですが、他にもどんな自然の要素がデザインの中に宿っているのか、それを探したり、考えながら観ることも本展の大きな楽しみでしょう。
ライフスタイルに心ときめくヒントをもたらす
CHAPTER4と5ではテキスタイルも加わり、平面に広がるフィンランドデザインを楽しめます。その中には伝統的な絵柄だけでなく、同じ時代の絵画や工芸に刺激された革新的なパターンも紹介されています。
1960年代には、当時はまだ新興だったマリメッコ社は、カラフルで大柄なプリントテキスタイルを生産・輸出するようになります。中でもマイヤ・イソラの担当した作品は、当時の新しいアートシーンを反映しつつ、自然界からのイメージも豊かに引き出した色鮮やかなパターンが特徴的といわれています。また、CHAPTER6では世界中で愛されている名作ムーミンの物語を生み出したトーベ・ヤンソンも紹介されています。
フィンランドのデザインは、シンプルな美しさを好む日本人の感性と親和性が高いといわれており、変化に富んだ豊かな自然がその背景にあることも共通しているように思います。そのあたりは、「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」の皆川明氏によるエッセイをクリス智子氏が語る、スマートフォンのアプリとして用意されている本展の音声ガイドを聴いていても感じます。素敵なグッズが用意されたショップも充実しています。
誰もが使いやすく、人の心を豊かにしてくれそうなフィンランドデザインに触れ、理解を深める機会となりそうです。
タイトル | ザ・フィンランドデザイン展ー自然が宿るライフスタイル |
会期 | 2021年12月7日(火)~ 2022年1月30日(日) |
会場 | Bunkamura ザ・ミュージアム |
住所 | 〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1 B1F |
Webサイト | https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_Finland/ |
開館時間 | 10:00-18:00(入館は17:30まで) 毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで) |
休館日 | 2022年1月1日(土・祝) |
料金 | 【当日】 一 般:1,700円 大学・高校生:1,000円 中学・小学生:700円※大学・高校生、中学・小学生は当日券のみの取扱い。(前売券の販売はございません) |
チケット情報 | チケットの購入はこちら。 ※会期中の全ての土日祝、および最終週の1月24日(月)~30日(日)は【オンラインによる入場日時予約】が必要となります。 |