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企画展 文様のちから ー技法に託すー in 根津美術館

根津美術館では、企画展「文様のちから 技法に託す」が開催されています。展示室は幸福への願いが込められた吉祥文様をはじめ、さまざまな魅力的で技法が凝らされた文様にあふれ、年の初めらしい華やかな雰囲気に包まれています。また、これだけ多くの染織品が紹介されるのも、根津美術館では2010年以来となるそうです。
工芸品の文様は作品の外形と調和して、得も言われぬ魅力を醸し出します。作り手は、文様を表現するために最も適した技法を考案・選択する一方で、技法の特性を生かした文様の表現を行うといわれています。
本展の狙いは、そうした技法と文様のそれぞれの立場から両者の関係に迫ろうというもので、「文様から技法を探る」と「技法から文様を探る」の2つのテーマで、作り手だけでなく使う人の姿まで想像できるような楽しい展覧会となっています。

文様と技法の関係性や違いを知る
本展は第1章の「文様から技法を探る」で、能装束や現在のきものの原形である小袖をもとに、文様と技法の間にどのような関係が見出せるのかを探り、第2章の「技法から文様を探る」では同じモチーフをあらわすために技法にどのような違いがあるのかを見ていきます。

日本の伝統的な文様そのものは、当初は中国文化の影響を受けていましたが、平安時代あたりから日本らしいデザインが見られるようになってきたといわれています。本展でもコラムとして「名物裂に見る中国の文様」が紹介されており、興味深く観ることができます。

魅力的な文様で彩られた染織品
この文様はこの技法で表現する、というような決まりごとはありませんが、ある程度はその組み合わせに傾向があるそうです。展示室1で展開される「文様から技法を探る」の前半は、「繰り返し文様」、「散らし文様」、「絵画的な文様」の3つの項目(傾向)で展開されます。

「繰り返し文様」で目を引く《紅浅葱段籠目草花模様唐織(べにあさぎ だんかごめ そうかもよう からおり)》は、籠目文様を地文に胡蝶と菊、すすき、萩、おみなえしなどの秋草が明るい色調で配されています。重層的な文様構成の唐織で、固定的な繰り返し文様が、赤色と浅葱色(あさぎいろ・薄い藍色)に染め分けられた段替わりの地の上に置かれることで、変化に富んだものに感じられます。

 

「散らし文様」の最初に登場する《茶地立涌雪持松模様縫箔(ちゃじたて わくゆきもちまつもよう ぬいはく)》は、立ち上る蒸気のような立涌文(たてわくもん)の上に雪が積もった老松を刺繍であらわした縫箔です。一見規則性があるように見えますが、文様を自由に配置できる刺繍の特性を生かして松がリズム感豊かに配置されています。雪の重みに耐える松の姿は不屈の精神と重ね合わせられるといわれます。

 

展示室1の後半は「描かれたきもの」で構成され、特に遊郭の室内を描写したとも目される《誰が袖図屏風(たがそでず びょうぶ)》は文様の技法が特定できるほどに衣装がリアルで、当時、これらを身にまとったり使ったりした人々の姿が目に浮かんでくるようです。

 

同じモチーフであらわし方の違いを観る
展示室2では「技法から文様を探る」が展開され、ここでは「彫る」、「貼る・嵌める」、「描く」という技法別に観ていき、龍や牡丹などの同じモチーフが陶磁器、漆工品、金工品であらわし方がどのように違ってくるのかを実感することができます。

例えば「雲竜」というモチーフで見ると、《雲龍八花鏡(うんりゅう はっかきょう)》は細かく柔らかい表現に特徴のある鋳造で作られ、鈕(ちゅう)に向かって大きく口を開き、体をくねらせた龍が躍動しています。

 

また漆を塗り重ねた層を彫って文様をあらわす堆朱(ついしゅ)の技法であらわされた《雲龍堆朱盆 (うんりゅう ついしゅぼん)》は、最上層の龍文から最下層の地文まで精緻に彫り出すことで立体感が生まれ、迫力に満ちています。

 

文様には幸せや長寿などさまざまな願いが込められているので、作り手あるいは制作を依頼した人の想いに触れることができます。
また使う人の立場から、どのような気持ちや意図でこれらの衣装を身にまとったのか、またそれを見た人はどんな印象を抱いたのか、当時を想像しながら鑑賞するのも楽しいかも知れません。

タイトル 企画展 文様のちから 技法に託す
会期 2022年1月8日(土)~ 2月13日(日)
会場 根津美術館 展示室1・2
住所 〒107-0062 東京都港区南青山6-5-1
Webサイト https://www.nezu-muse.or.jp
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 毎週月曜日
料金 オンライン日時指定予約
一般1300円
学生1000円
*障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料
チケット情報 日時指定予約は、こちらから→https://www.nezu-muse.or.jp/jp/timed-entry-reservation/