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企画展「かたちのチカラ-素材で魅せる-」 @ 根津美術館

根津美術館では企画展「かたちのチカラ-素材で魅せる-」が開催されています。装飾をそぎ落とし素材の特性を生かしたミニマルな造形の美しさを3つの切り口で紹介しつつ、漆という素材にも注目した構成になっています。
美しさに惹かれるけれども、まだ知識の少ない方はさらに興味が深まるでしょう。また、よくご存じの方にとっても、根津美術館の収蔵品を中心に数々の名品が鑑賞できる貴重な機会ではないでしょうか。

3つの切り口の造形美と、漆という素材に注目
本展は中国・宋元の漆器と磁器と、日本中世の朱漆器を主に、そして茶の湯のうつわを紹介する3つの切り口で構成されています。また要所で漆工、陶磁、金工というかたちをなす技法にも触れられています。

さらに、漆という美しさと強さを兼ね備えた希有な素材については、2つのコーナーで詳しく触れられています。ひとつは棬胎(けんたい)と呼ばれる、テープ状の板を輪にして巻き上げるように積んで素地をつくる中国・宋時代の特徴といわれる漆器の手法が、輪花椀の断片の展示でよく分かるように説明されています。また、30にもおよぶ漆を塗る工程を手板で示すコーナーもあります。漆は水分が蒸発して乾くのではなく、最適な温湿度環境で化学反応により硬化します。そうした漆の特性に気を配りながら生み出された技術の奥深さに想いをはせることができます。

中国・宋元の漆器と磁器の凛とした佇まい
ひとつ目の切り口は「極まるかたち - 中国宋元の漆器と磁器」として、この時代の文様のない漆器や磁器に代表される、均整と洗練を極めた唐物のかたちが紹介されています。加飾が施されないことで研ぎ澄まされたかたちは、金属器や磁器にも共通しています。
ここでは、冒頭の黒漆輪花椀(くろうるし りんかわん)にはじまる14点が、すべて口縁が輪花形のものとなっており、共通点を見出しやすくなっています。漆器や磁器という技法に関わらず、非常に薄く作られ、洗練されたフォルムには凛とした佇まいがあり、緊張感に満ちています。

同様の佇まいは、この他に紹介されている青銅のものや、稜花形のものなどにも感じることができます。

用の美しさを体現する日本中世の朱漆器
ふたつ目の切り口は「用いるかたち -日本中世の朱漆器を中心に」です。中世の寺社で日常的に用いられた朱漆器を中心とした祭器や什器の機能美が紹介されています。実用ならではのシンプルなかたちですが、長年の使用により上塗りの朱が摩耗し、中塗りの黒が所々に現れた姿も見どころとされています。

展示キャプションでは日本の朱漆器の力強さのひみつにも触れられています。日本では挽物と呼ばれるろくろ挽きによる成形が発達したことに特色があり、一本の木を挽いて作られた大きな正円の盆には木のたくましさが感じられ、これに丁寧な漆塗りが加わり、堅牢な器物が生まれます。

茶席の道具に時代や茶人の美意識を観る
最後の三つ目の切り口は「挑むかたち - 茶の湯のうつわ」です。唐物の名品に依存しない新しい茶道具として、桃山・江戸時代を中心とした創意にあふれた造形美が紹介されています。
展示室2に進むと、均整と洗練を極めた唐物とは対照的な造形として、《緋襷鶴首花入 備前(ひだすきつるくびはないれ)》が目に飛び込みます。故意か、偶然か、重量感のある胴からすらりと伸びた首が傾いた個性的なかたち。そして、土の魅力をダイレクトに味わえる焼き締めの肌と相まって、独特の力強さが感じられます。

また、茶の湯のうつわと漆の関係を少し違う視点で見る《刷毛目茶碗 銘 八重葎(はけめちゃわん やえむぐら)》も興味深い展示です。漆は割れたうつわを金継ぎで補修する時に接着剤として使われますが、この作品は大きく欠損した部分を別のうつわの陶片で繕う「呼継」で整えられた茶碗です。歪んだ面に合う陶片を探す執念と労力を想像すると、かたちにこだわる茶人たちの美意識の高さに驚かされます。

均整と洗練を極めた唐物のかたち、用から出でた美に人の息づかいさえ感じられる朱漆器のかたち、そして茶人なりの創意と表現をもとめたかたち。また、それらを横断する漆の魅力を分かりやすい説明とともに鑑賞でき、造形美に対してさらに興味が深まるアート体験となるでしょう。

 

タイトル 企画展「かたちのチカラ-素材で魅せる-」
会期 2022年2月26日(土)~ 3月31日(木)
会場 根津美術館 展示室1・2
住所 〒107-0062 東京都港区南青山6-5-1
Webサイト https://www.nezu-muse.or.jp
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 毎週月曜日
ただし3月21日(月・祝)は開館、翌22日(火)休館
料金 オンライン日時指定予約
一般1300円
学生1000円
*障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料
チケット情報 日時指定予約は、こちらから→https://www.nezu-muse.or.jp/jp/timed-entry-reservation/