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ルーヴル美術館展 愛を描く in 国立新美術館

国立新美術館では、「ルーヴル美術館展 愛を描く」が2023年3月1日より6月2日まで開催されています。本展のテーマは、人間の根源的な感情である「愛」です。「愛」は古くから西洋美術の根幹をなすテーマの一つでしたが、この愛の概念が絵画芸術においてどのように描き出されてきたのか。ルーヴル美術館の膨大なコレクションから精選された73点の絵画を通して浮き彫りにするという、かつてない趣向の展覧会です。
16世紀から19世紀半ばまでの、ヨーロッパ各国の主要な画家による愛の表現とは?そして、そもそも愛とはいったい何で、どこにあるのか?いろいろと興味の尽きないアート体験となりそうです。

ルーヴルが誇る、珠玉の“愛”の絵画が一堂に!
2018年に多くの人が訪れた「ルーヴル美術館展 肖像芸術 ー 人は人をどう表現してきたか」に続き開催される本展は、ルーヴル美術館の豊かなコレクションから選りすぐられた73 点の名画を通じて、西洋絵画における「愛」の表現の諸相をひもとく試みです。
ギリシア・ローマ神話を題材とすた神話画や、現実の人間の日常生活を描く風俗画には、特別な誰かに恋こがれる神々や人々の情熱や欲望、官能的な悦び、あるいは愛するがゆえの苦悩や悲しみが、様々なかたちで描かれています。
一方、宗教画においては、神が人間に注ぐ無償の愛、そして人間が神に寄せる愛が、聖家族、キリストの磔刑、聖人の殉教といった主題を通して、信者たちに示されています。
73点の作品にはそれぞれに、さまざまな「愛」のストーリーが宿っています。それらを読み解いたり、場面を頭の中でイメージしていくと、新たな発見や出会いが期待できるのはないでしょうか。

【展示構成】

プロローグ:愛の発明
古代ギリシア・ローマとキリスト教という二つの文化における、愛の始まりの象徴的な表現が紹介されています。
ギリシア神話やローマ神話では、誰かに恋こがれる感情は愛の神が射た矢が心臓に当たった時に生まれると考えられました。本展のメインビジュアルにもなっている、フランソワ・ブーシェの《アモルの標的》には、まさに愛の誕生の瞬間を描き出しています。


またキリスト教では、神がアダムとエバを夫婦としました。ピーテル・ファン・デル・ウェルフの作品における調和に満ちたアダムとエバの姿には、キリスト教の道徳観に則した夫婦の愛の絆が感じられます。

 

第1章:愛の神のもとに――古代神話における欲望を描く
第1章では神話画における「愛」が紹介されます。ギリシア・ローマ神話の愛は、愛する者の身も心も全て自分のものにしたいという強烈な所有欲と一体となっています。このような欲望に突き動かされる神々や人間の愛の表現を、大きな物語を追うような形で紹介されています。
それが神であれ、人間であれ、恋に落ちた者は相手を手に入れようと行動しますが、男女における戦略の違いが絵画に描き分けられています。


男性の場合は、セバスティアーノ・コンカの作品のように、男性が女性を追いかけたり、力ずくで連れ去ったりする身体の強さ、つまり暴力です。女性の場合は、ドメニキーノの作品のように、外見の美しさや性的魅力、あるいは魔力や妖術を用いて男性を誘惑する物語がよく画題となりました。


この他にも、物語の場面ではなく、可愛らしい愛の神アモルを描いた装飾的な絵画もあり、こうした作品も紹介されています。

第2章:キリスト教の神のもとに
第2章はキリスト教における「愛」がうかがえる作品が紹介されています。
キリスト教における愛で非常に重要な位置にあるのは、孝心をはじめとする親子愛です。つまり、愛する者のために自分を犠牲にする愛が見られ、愛する者を自分のものにしようとするギリシア・ローマ神話の愛とは対照的です。
聖母マリアと幼子イエスを中心に据えた「聖家族」の画題が愛の穏やかな側面を担っている一方で、「キリストの磔刑」すなわち「受難」のテーマは、イエスが究極の犠牲を受け入れるという厳しい側面を受け持っています。


しかしながら、深い信仰から忘我の境地に至り、愛する神と一体となる神秘体験をした、恍惚とした表情で描かれた聖人たちは官能性を帯びている作品もあります。こうした例として、本展ではマグダラのマリアを主題にした作例が紹介されています。

 

第3章:人間のもとに――誘惑の時代
第3章では17世紀のオランダの風俗画、18世紀のフランスにおける絵画ジャンル、フェット・ギャラント(雅なる宴)の作品が紹介されています。
オランダの風俗画では、身分や年齢を問わず、さまざまな男女の人間味あふれる愛の諸相が描かれました。庶民の男女や音楽を奏でる上流市民の恋人たちなど、こうした場面をまるで生き生きと描きつつ、象徴的な身振りやモチーフを駆使して、性愛をめぐる寓意を巧みにしのばせました。


一方、18世紀のフランスでは、自然のなかで上流階級の男女が会話やダンスをしながら、誘惑の駆け引きを楽しむ優雅な場面が人気となります。また、18世紀フランス絵画の至宝といわれるフラゴナールの《かんぬき》は、悦楽にも暴力にも通じうる性愛という、最も繊細で複雑なテーマに光が当てられた作品であり、日本では26年ぶりの公開となります。


この他、18世紀後半には夫婦や家族の理想的関係を物語る肖像画や、結婚を主題とした絵画も制作されています。

第4章:19世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇
第4章では、19世紀フランスの社会的背景を映し出したり、ロマン主義の画家たちによる作品が紹介されています。ロマン主義の特徴である、ピュアで情熱的な愛で結ばれた恋人たちが不幸な結末を迎えるという悲劇の愛をドラマティックに描き出した作品も見られます。
18世紀末から19世紀前半にかけて、フランス革命(1789年)を機に身分制が解体され、結婚は身分や家柄ではなく、愛情に基づく絆を重視する傾向が次第に強まっていきます。このような背景で、自然のなかで純朴な若者たちが愛を育くむ恋愛物語が文学でも美術でも流行します。

本展のメインビジュアルにもなっている、新古典主義の画家フランソワ・ジェラールの傑作《アモルとプシュケ》では、無垢な愛に対する当時の関心を読みとることができます。
クロード=マリー・デュビュッフの《アポロンとキュパリッソス》は、成熟の途上にある思春期の若者特有の両性具有的な身体を男性裸体の理想美の表現と結びつけ、ギリシア・ローマ神話の男性同士の愛の物語に題材を得ています。

 

タイトル ルーヴル美術館展 愛を描く
会期 2023年3月 1日(水) ~ 2023年6月12日(月)
会場 国立新美術館 企画展示室 1E
住所 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
Webサイト https://www.ntv.co.jp/love_louvre/
開館時間 10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日 火曜日
※ただし3月21日(火・祝)・5月2日(火)は開館、3月22日(水)は休館
チケット情報 混雑緩和のため、事前予約制(日時指定券)を導入しています。
詳しくはこちら。
料金 【一 般】2,100円
【大学生】1,400円
【高校生】1,000円
※税込
※中学生以下(学生証または年齢のわかるものが必要)は入場無料
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料
※2023年3月18日(土)~31日(金)は高校生無料観覧日(要学生証提示)
※国立新美術館では会期中に限り当日券の販売を予定しております。