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森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会 in 森美術館

森美術館では、開館20周年を記念して「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」が2023年4月19日(水)から9月24日(日)まで開催されています。現代アート=美術・図画工作といった図式から解き放ち、「国語」、「社会」、「哲学」、「算数」、「理科」、「音楽」、「体育」、「総合」の8つの科目別のセクションで構成され、しかも現代美術史で参照すべき重要な作品が展示されます。こうした本展の試みは、私たちが現代アートを通じて未知の世界に出会い、学ぶ「世界の教室」となるでしょう。

8つの科目で新鮮な視点を提供
私たちが生きる世界には「わからない」はたくさんあります。なぜ、そのような現象が起こるのか?自然科学の分野では研究者は絶対的な真実を求めて探求し、人文科学でも同様に真理の追究が行われます。そうした姿勢は、目に見えるものだけでなく、心や身体に感じたことを精査・熟慮し、ものごとの本質を表現しようとするアーティストの取り組みに通じていると考えられます。

また科学や技術の世界でイノベーションを起こすものへの注目が集まるのと同様に、これまでの常識や固定概念にとらわれず、新しい発想や表現を見せてくれる現代アーティストの姿勢や作品は、常に私たちに刺激と生きるエネルギーを与えてくれます。そこはもはやアートというジャンルを超え、あらゆるジャンルとの関連性が見いだせる総合的な領域と言えるようになってきました。本展はそれを国語・算数・理科・社会などの枠組みの中で気づかせることで、作品に接する私たちに新鮮な視点を提供しています。

世界の多様な価値観を体感
そして現代アートは1990年代以降、欧米だけでなく世界の多様な歴史や文化的観点から考えられるようになりました。本展は“ワールド”とタイトルされている通り、展示スペースに進むとアジアの作家の作品が充実しており、多様な価値観を実感でき、まさしく“世界”を体験できる場になっていることが本展の大きな魅力のひとつでしょう。
また、出展作品の半数以上が森美術館のコレクション作品ですが、同館の作品収集の方針は90年代以降のアジアの作家にフォーカスしており、本展のような企画が成立するのも開館20周年の成果ではないかと感じられます。

新作を加えつつ、重要作品で振り返る
さらに、本展は現代アートをさまざまな視点から振り返る際に参照すべき重要な作品が豊富に展示されています。今日の現代アートの底流をなす、作品は見た目ではなく、アイディアやコンセプトこそが肝要であるとしたジョセフ・コスースや、「社会彫刻」を提唱した20世紀の美術史のなかで最も影響力のあるアーティストのひとりであるヨーゼフ・ボイスの作品が紹介されます。特にヨーゼフ・ボイスが1984年に初来日した際に、東京藝術大学で講義した時の筆跡が残された黒板が展示されていますが、その時の対話は、その後アーティストやキュレーターになった多くの日本の若者に大きな影響を与えたといわれます。
さらに、世界的に活躍するアーティストたちの新作にも注目し、いま最も注目を集める作家の最新作や、エネルギー問題、気候変動など、世界のさまざまな事象を引用した新作インスタレーションが展開されています。

森美術館は今年、開館から20年周年を迎え、これまで59の企画展、72の小企画展、そしてラーニングをはじめ数々の関連プログラムを行われました。その軌跡が、出品したアーティストおよびユニット名を出身地域毎に示した世界地図や、総入館者数やラーニング・プログラム数などを、数字とインフォグラフィックで紹介されています。

 

【展示構成】
展覧会の構成:8 つのセクション

国語
言葉や言語をテーマにした作品、文学や詩の要素が含まれる作品が紹介されています。「言語」は、現代アートでもコンセプチュアル・アートの流れのなかで頻繁に使われてきました。また言語を取り巻く政治性や社会性を題材とした作品や、国籍や人種、ジェンダーというアイデンティティをテーマとする作品などが展示されます。

社会
本展で最も大きなボリュームを占める「社会」セクションでは、世界各地の歴史、政治、地理、経済、アイデンティティに関わる課題が取りあげられます。1990年代以降、グローバル化する世界の各地域からアートが発信されるようになって顕在化した、マイノリティの視点や世界の見方を増やし、多様化させていく役割を担っている作品を中心に展示されます。

哲学
生きることや世界の真理、普遍性を探究する哲学の分野は、古くから美術と非常に深い関係にありました。また、どちらも人生や世界の根本原理を解き明かそうとし、定まった答えのない問いに取り組み続けるという点も共通しています。本セクションでは、時間、自然、死後の世界、そこに「在る」ということなど、それぞれのアーティストが世界をどのように観察し、捉え、そして表現するのかを見ていきます。

算数
算数あるいは数学は、極めてクリエイティブな領域であり、数字は多くのアーティストが扱ってきた普遍的なテーマである「時間」にも深く関係します。ルネサンス期には芸術だけでなく、数学、科学、解剖学、天文学などの領域を横断したレオナルド・ダ・ヴィンチのような存在もあり、現代アートにおけるアーティストたちが数学や数学的な概念通じたさまざまな表現が紹介されています。

理科
物理、生物、化学など、科学的な視点から見えてくる世界の法則や自然のすがたは、アーティストの創造性を刺激してきました。また、今日のグローバルな最重要課題のひとつである気候危機や環境問題に対して、アーティストたちが長らく警鐘を鳴らしてきた作品も見ていきます。

音楽
音楽は、空気の振動という意味では理科や算数と並び、科学的な領域です。現代アートでは、音や音楽に関連する視覚的な要素を主題にする作品や、音や音響の意味や仕組みを考えさせるコンセプチュアル・アートがあり、実際に音を体験するもの、または音の不在を体感するものもあります。

体育
現代アートにおいては、身体的な運動や行動に着目した表現や、アーティス自身の身体を用いた多様なテーマが表現されています。また、本展では、競技が行われるスタジアムの建築的な特徴に注目したり、マスメディアで映し出されるスポーツにも焦点を当て、この科目がもつ社会への広がりも考察されています。

総合
本展の作品はどれも、単一の科目や言葉、セクションといった枠組みに、すっかり収まってしまうようなものではありません。最後のセクションである「総合」では、そうしたひとつの科目に収まらず、より幅広い領域を横断するような作品やプロジェクトが紹介されています。

出展アーティスト *アーティスト名のアルファベット順
アイ・ウェイウェイ(艾未未)、青山 悟、エリカ・ベックマン、ヨーゼフ・ボイス、ヨハンナ・ビリング、ルーク・チン(程展緯)、マノン・デ・ブール、サム・フォールズ、ペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイス、藤井光、ク・ミンジャ、シルパ・グプタ、畠山直哉、アジズ・ハザラ、スーザン・ヒラー、ジャカルタ・ウェイステッド・アーティスト、クリスチャン・ヤンコフスキー、片山真妃、風間サチコ、菊地智子、ヤコブ・キルケゴール、ジョセフ・コスース、ディン・Q・レ、李禹煥(リ・ウファン)、クララ・リデン、パーク・マッカーサー、マリオ・メルツ、ミヤギフトシ、宮島達男、宮永愛子、森村泰昌、奈良美智、パンクロック・スゥラップ、ソピアップ・ピッチ、アラヤー・ラートチャムルンスック、ヴァンディー・ラッタナ、ジェームス・リチャーズ、ハラーイル・サルキシアン、笹本 晃、瀬戸桃子、杉本博司、マルティーヌ・シムズ、田島美加、高山 明、田村友一郎、ロデル・タパヤ、ツァイ・チャウエイ(蔡佳葳)、ツェ・スーメイ、梅津庸一、ワン・チンソン(王慶松)、ヤン・ヘギュ、イー・イラン、米田知子、ユ・チェンタ(余政達)

タイトル 森美術館開館20周年記念展
ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会
会期 2023年4月19日(水)~ 9月24日(日)
会場 森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
住所 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
Webサイト https://www.mori.art.museum
開館時間 10:00 ~ 22:00
※会期中の火曜日は17:00まで
※ただし5月2日(火)、8月15日(火)は22:00まで
※最終入館は閉館時間の30分前まで
休館日 会期中無休
チケット情報 ・本展は事前予約制(日時指定券)を導入しています。⇒チケットの予約・購入はこちらへ
・専用オンラインサイトから「日時指定券」のご購入や予約が可能です。
・当日、日時指定枠に空きがある場合は、事前予約なしでご入館いただけます。
[平日]入館料(消費税込 )

 

 

※専用オンラインサイトでチケットを購入すると( )の料金が適用されます。
※音声ガイド付チケット(+500円)も販売しています。一般: 2,000円(1,800円)
学生(高校・大学生):1,400円(1,300円)
子供(4歳~中学生):800円(700円)
シニア(65歳以上):1,700円(1,500円)
[土・日・休日]入館料(消費税込 ) ※専用オンラインサイトでチケットを購入すると( )の料金が適用されます。
※音声ガイド付チケット(+500円)も販売しています。一般 :2,200円(2,000円)
学生:(高校・大学生)1,500円(1,400円)
子供:(4歳~中学生)900円(800円)
シニア:(65歳以上)1,900円(1,700円)
備考 お得な追加料金で、本展と「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」(東京シティビュー)の両方をご覧いただけます。
対象期間:2023.4.19(水)~6.4(日)
・本展の入館券をお持ちの方は、一律+500円の追加料金にて「ヘザウィック・スタジオ展」へご入館いただけます。
・「ヘザウィック・スタジオ展」の入館料に、一律+500円の追加料金にて本展へご入館いただけます。
※追加料金は当日会場にてご購入ください。