マルク・シャガール　版にしるした光の詩　神奈川県立近代美術館コレクションから in 世田谷美術館

世田谷美術館では､「マルク・シャガール　版にしるした光の詩（うた）　神奈川県立近代美術館コレクションから」が2023年7月1日(土)から8月27日(日)まで開催されます。宙を舞う恋人たちや花束、動物などを幻想的で色彩豊かに描く「愛の画家」として知られ、20世紀を代表するアーティストのひとり、マルク・シャガール（1887～1985）は、絵画制作のかたわら版画も手がけており、2,000点以上の作品を残しています。本展では神奈川県立近代美術館の望月コレクションより、さまざまな年代・技法による6つの版画集から厳選した作品約140点が紹介されており、絵画に通ずる部分はありながらも、版画ならではの表現と味わいに触れられる機会となっています。

シャガールの版画といえば、本展でも展示される『ダフニスとクロエ』や『サーカス』などの色彩豊かなリトグラフ（石版画）がすぐに思い浮かびますが、実はエッチング（銅版画）や木版画も取り組んでおり、技法によって違う多様な表現や違った表情を楽しむことができます。

シャガールは、自分が目指した色彩が出ない場合は版画集の出版をとりやめたこともあるくらい、版画においても色彩表現には強いこだわりがありました。本展で紹介される版画作品はいずれも状態が良く、シャガールが表現したかった絶妙な色彩を当時のままに楽しむことができます。

版画集は詩や物語が添えられることが多く、「絵と言葉」が混然一体となった表現形式といえます。本展では版画作品だけでなく、絵とともにある詩や物語のあらすじなどもわかりやすく紹介されているため、版画の表現している世界観をより深く理解することがきます。

【展示構成】
本展では1950～60年代に刊行された、技法もさまざまな６つの版画集をタイトルごとに紹介されます。『ダフニスとクロエ』や『サーカス』などシャガール版画を代表する名作はもちろん、『馬の日記』や『悪童たち』などの知られざる逸品も一堂に展示されます。

・『ラ・フォンテーヌ寓話集』　1952年刊　エッチング　　　　展示：32点／全100点中
・『馬の日記』1952年刊行　エッチング、リトグラフ　　　　　展示：18点全点
・『悪童たち』1958年刊行　エッチング、アクアティント　　　展示：10点全点
・『ダフニストクロエ』1961年刊　リトグラフ　　　　　　　　展示：42点全点
・『サーカス』1967年刊　リトグラフ　　　　　　　　　　　　展示：23点／全38点中
・『ポエム』1968年刊行　木版　　　　　　　　　　　　　　　展示：15点／全24点中