「MOTコレクション 被膜虚実/特集展示 横尾忠則―水のように/生誕100年 サム・フランシス」 in 東京都現代美術館
東京都現代美術館では、「MOT コレクション 被膜虚実/特集展示 横尾忠則―水のように/生誕100年 サム・フランシス」が2023年7月15日(土)から11月5日(日)まで開催されています。「MOT コレクション」展では、同館が所蔵する戦後美術を中心に近代から現代にいたる約5700点の作品を、会期ごとに様々な切り口で紹介されています。今回は1階では「被膜虚実(ひまくきょじつ)」、3階では「特集展示 横尾忠則―水のように」のテーマ構成に加え、今年生誕100年を迎えたサム・フランシスの大きな絵画のシリーズも楽しめます。
本展は、約5700点の収蔵作品の中から1980年代末以降の、より現在に近い時期に制作された作品が展示されています。約30年の間に個々に生み出された作品を巡りながら、時間の経過やその背景を感じとるとともに、絵画、立体、写真、映像、インスタレーションなど多彩な現代美術の表現に触れることができます。
1階:“被膜”というキーワードを起点に展開
1階では「被膜虚実」というテーマの下、1980年代末以降の作品が紹介されています。“被膜”は、大規模なインスタレーション作品や知覚と関連付けたメディアアートで知られる三上晴子が1990年代に用いていたキーワードです。“被膜”は、薄い皮一枚で隔てられた内と外の関係性を表し、私たちの身体から国際社会の政治と歴史、地球環境や、さらにここ数年のコロナ禍まで、普遍的に及んでいます。
2015年に急逝し、現存する作品が極めて少ないことで知られる三上晴子の、1990年代初めに手がけられた作品群が新規収蔵後、初めて同館で展示されます。
また、1988年にヴェニス・ビエンナーレ(アペルト部門)に出品された石原友明の大作インスタレーション《約束》が15年ぶりに展示されます。幅20mを超える青い画面が拡がる空間に、作者の身体イメージが、被膜に覆われた種子あるいは小舟のように配される、体感的な展示となっています。
さらに、この「被膜」を起点とし、活躍著しい百瀬文、潘逸舟、開発好明らによる、近年新規収蔵された映像作品を含め、平川典俊、ホンマタカシ、加藤美佳、名和晃平、トーマス・デマンド、方力鈞ほかの作家による多様な作品をたどりながら、約30年という時間の流れと、そこに見られる身体観の移ろいと生への眼差しに着目した展示が展開されています。
3階:「特集展示 横尾忠則―水のように」を中心に
3階でまず出会うのは、空間を広々と使って展示された、今年生誕100周年を迎えたサム・フランシスの大きな絵画のシリーズです(寄託:アサヒビール株式会社所蔵)。あまりにも大きいサイズの作品なので、木枠から外して、ロール状で保管されているそうです。今回の展示のために再び木枠に張る工程が、3階ロビーにて映像で紹介されています。
「特集展示 横尾忠則―水のように」は、まず横尾とゆかりの深い作家であるアンディ・ウォーホルやトム・ウェッセルマン、ジャスパー・ジョーンズ、そして27年ぶりとなる大規模な個展が同館の企画展示室1階/3階で開催中のデイヴィッド・ホックニーの作品が展示されています。
その後に、横尾自身の絵画とグラフィック作品が約70点紹介されています。これらは2021年に東京都現代美術館で開催された個展を機に収蔵された1960年代から近作までが中心となっています。「ぼく自体、生きるということに形を持っていないということが必要だと思うんです。」と1981年の画集で語られた、水のような横尾の生き方と創作を体感できるでしょう。
水のある風景が描かれた風景画や、風景を容れるための器としての多彩なグラフィック作品、今いるところとは別の世界を映し出す水鏡を取り込んだ混然とした世界を描いたものなど、私たちは自由自在な横尾の創造を目の当たりにします。
また、水を介して相似形を成すような、横尾の画業を代表するシリーズである「Y字路」では画面に広がるふたつの道として現れ、それは滝と洞窟、男性と女性、ふたりの僧が登場する「寒山拾得」などにつながっていくようです。
最後に、常設展示されている宮島達男の一室にも横尾作品が展示され、いつもとは違う場の趣きを楽しむことができます。
【出品予定作家】
石原友明、伊庭靖子、梅沢和木、小沢剛、開発好明、加藤美佳、金氏徹平、千葉正也、名和晃平、潘逸舟、平川典俊、方力鈞、福田美蘭、ホンマタカシ、三上晴子、村瀬恭子、百瀬文、横尾忠則、トーマス・デマンド、サム・フランシス、デイヴィッド・ホックニー、ジャスパー・ジョーンズ、アンディ・ウォーホル、トム・ウェッセルマンほか
タイトル | MOTコレクション 被膜虚実 特集展示 横尾忠則―水のように 生誕100年 サム・フランシス |
会期 | 2023年7月15日(土)~ 11月5日(日) |
会場 | 東京都現代美術館 コレクション展示室 |
住所 | 135-0022 東京都江東区三好4-1-1(木場公園内) |
Webサイト | https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-collection-230715/ |
開館時間 | 10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで) ※サマーナイトミュージアムの日(8/18、25)は21:00まで開館延長 |
休館日 | 月曜日(9/18、10/9は開館)、9/19、10/10 |
観覧料 | 一般:500円(400円) 大学生・専門学校生:400円(320円) 高校生・65歳以上:250円(200円) 中学生以下:無料 ( ) 内は20名様以上の団体料金 |
備考 | ※ 企画展「デイヴィッド・ホックニー展」、「あ、共感とかじゃなくて。」展のチケットでMOTコレクションもご覧いただけます。 ※ 小学生以下のお客様は保護者の同伴が必要です。 ※ 身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付添いの方(2名まで)は無料になります。 ※7月21日(金)~8月25日(金)の毎金曜日17:00~21:00はサマーナイトミュージアム割引になります。 |