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中沢研展 壁に向かう in ANDO GALLERY

アンドーギャラリーでは中沢研の個展「壁に向かう」が2023年3月22日(水)から4月28日(金)まで開催されています。中沢は、これまで作品を観る人の感性や自由な解釈にゆだねるようなスタンスで出品してきましたが、今回は初めてメッセージ性を持たせた作品にしたと自ら語っています。そうした中沢の新たな試みと共に、アンドーギャラリーもまた今回を最後に閉廊し、新たな事業展開を指向されます。いろんな意味で、見逃せない個展となっています。

中沢研は1970年に東京都で生まれ、もともとは多摩美術大学大学院で絵画を専攻していましたが、針金やテグスなど視覚的ヴォリュームが希薄な素材を用いた立体作品で、展示空間に呼応したインスタレーションを制作する作家として国内外で高い評価を得ています。
作家活動を始めた当初は、木や鉄などを素材とする壁面に掛けられたフレーム状の作品を制作しており、そこには明らかに「絵画」という問題意識が見られたようです。そこから次第に作品は壁面から離れ、自立した立体作品へと展開していきますが、今、中沢の意識は再び壁へと向けられています。

今回、発表された「壁に向かう」と題された新作インスタレーションは、直径3mmの鉄材と木片を用いた高さ100cmほどの87体のオブジェが、ギャラリーの壁面と向かい合うように配置されています。オブジェのひとつひとつは、中沢特有のコの字型の鉄材を足元を直角に曲げることによって自立させ、上部には白く塗られた木片が固定されています。

ここ数回の中沢の個展では、このようなオブジェはスペースの中央に集合体として配置され、それを構成するひとつのエレメントのような受け取り方ができましたが、今回はひとつひとつが意志や人格を持っているように見えます。その理由は、やはり壁に向かっているからでしょう。壁に向かい、何かを考えているようでもあり、観る私たちに背を向けているので抗議している、あるいは拒絶しているようにも見えます。

壁に向かって立つ、高さや形が微妙に違うオブジェは、空間に余白を残しつつリズミカルに並んでいます。それは、あたかも私たち自身の姿や社会を投影しているようにも感じ、はっとさせられます。
こうしたインスタレーション全体のニュアンスは、いろんなアングルや高さで撮影を試みましたが、なかなか写真からは伝わりにくいものがあります。ぜひ、ギャラリーに立ち寄って、あなたならではの感覚をお確かめください。

2008年に開廊したアンドーギャラリーは、本展を最後に閉廊されますが、今後もアートとの関わりを保ちつつ、建築やデザイン、出版などの幅広い分野でプロデュース業を行っていくとのことです。新たな旅立ちをお祝いするとともに、またどこかでプロデュースされた作品に出会うことを楽しみにしたいと思います。

タイトル 中沢研展
会期 2023年3月22日(水) ~ 4月28日(金)
会場 ANDO GALLERY(アンドーギャラリー)
住所 〒135-0023 東京都江東区平野3-3-6
Webサイト http://www.andogallery.co.jp
開廊時間 11:00 ~ 19:00
休廊日 日・月・祝日休
料金 無料