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大竹寛子「REFLECTION」 at Gallery10[TOH]

Gallery10[TOH] では、大竹寛子の個展「REFLECTION」が2024年2月23日(金)から3月10日(日)まで開催されています。本展では、箔を焼く独自の手法を用いたシリーズがインスタレーションとして展示されるとのこと。
日本画では箔の他に岩絵具を焼く手法などもありますが、正直、観る私たちにとっては、どこでそれが使われているかを作家さんに教えてもらわないと分からないことが多いです。しかし、引き込まれる作品にはそうした神秘的とも思える手法による表現が隠されていることを知ると、観る楽しさも数倍にふくらみます。さて、箔を焼いた表現とはどんな作品なのか、たいへん楽しみです。

来訪者が参加して完結するアート体験

ギャラリーのメインスペースに入ると、アンビエントな音楽とともに、天井から吊るされて回転するふたつの丸い鏡に反射される光が目に入ります。ほとんどの作品には鏡が使われ、スペースの中央に進むと、鏡の中に焼かれて出た残像や光跡のようなパターンの向こう側に、見え隠れするように自分の姿が映りこみます。
自分の意志でそこに立っているのですが、何か自分でコントロールできない、不安定な感覚さえ生まれるかもしれません。
大竹はこのインスタレーション空間を、作家の主張よりも、来訪者が参加して完結するアート体験として楽しんで欲しいといいます。鏡の中の自分自身と向き合わざるを得ない、この体験はとても刺激的です。

流動的な瞬間の中にこそある真理や本質

大竹寛子は2011年に東京藝術大学大学院にて博士号を取得し、日本画の技法を基に箔や岩絵具を用いた新たな表現を模索し、国内外で活動しています。大竹自身の公式サイトで、自身の創作について次のように述べています。

私がモチーフとして扱う蝶や花に重ねるイメージは、常に流動的な現在の瞬間です。目の前に見えている現象は脳の中で作られるイメージであり、既に目の前には無い残像であると感じています。そんな流動的な瞬間の中にこそ真理があるのではないかという想いを表現しています。

揺れ動く鏡に映るあなたは、いつものあなたかもしれませんが、それも流動的な現在の瞬間だとしたら、本当のあなたはどこにいるのでしょうか。

日本の美意識を解釈し、ジャンルを超えていく

大竹が描いている花は、決して華やいだ色彩感ではなく、むしろ生気を保ちつつも枯れゆく存在のようにも見えます。しかし花は枯れることで、生きているものとして、次の段階を迎える前の状態とも言えるでしょう。このような退化と新生という二律背反する要素を内包している表現は、生と死を繰り返す流動的な瞬間の中の本質的なもののひとつであり、それが大竹の言う「部分と全体の共生、歴史と現代の共生、無と有、無飾と有飾、簡素と華麗、そして闇と光とが共生する日本の美意識を解釈し日本画という言葉のジャンルを超えていく」という、もっと大きな流れに通じ、広がっているようです。

3年前から構想されていた本展の展示イメージ

大竹にとって蝶や花は学生の頃から扱っているモチーフで、鏡も7年ぐらい前から表現に取り込んでいるとのことで、本展もこれまでの一貫した表現のひとつのかたちだと受け取れます。
また、Gallery10[TOH]には3年くらい前に初めて訪れ、階段を上がると包み込むようなサイズ感のホワイトキューブの空間が出現するところに魅力を感じ、展示のストーリーをふくらませていたといいます。


焼かれた鏡や、静かに回転し、揺れ動く鏡の中で自分に向き合うことで、あなた自身の中に何が見えるのでしょうか?ぜひ、ギャラリーを訪れ、感じて、考える楽しさを体験してみてください。

タイトル 大竹寛子「REFLECTION」
会期 2024年2月23日(金)~ 3月10日(日)
会場 Gallery10[TOH]
住所 151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-20-11 第一シルバービル1B
※JR代々木駅東口を出た目の前の第一シルバービル1Fです。ギャラリーへの扉がタバコ自販機になっているのが目印です。
インスタグラム https://www.instagram.com/gallery10.toh
開廊時間 13:00〜20:00
休廊日 月曜、火曜
観覧料 無料