Spring selection at Gallery Dalston
Gallery Dalstonでは、春の企画セレクション展「Spring selection」が3月26日(火)から4月7日(日)まで開催されています。いずれも個性的な5名の作家による作品は、春まっさかりの季節にふさわしい展示構成になる期待が高まります。ぜひ、お出かけしてみてはいかがでしょうか。
ギャラリーに近づくと、ガラス越しにグループ展ならではの、5人の作家の個性による彩りや楽しさが伝わってきます。
外の歩道を歩く人の目を留めるのは浅野井の5点の木彫作品です。いずれも夏の海辺を想い出させる5人の女性が表現されており、すべての顔に貝殻がはめられています。少し不思議な感じもしますが、しばらく眺めていると何とはなしに親しみがわいてきます。
岩渕は、自分が見たものを伝えるために描くと言います。「光について」と題された作品は、何か溶剤で絵の具を溶かしながら描かれたようで、流動的で、変化していくものの中に何かの存在が感じられそうです。
同ギャラリーでは初出品となる田村の作品は、ステイニングと呼ばれるにじみやぼかしを活かした技法で、日常生活の風景やできごとが描かれているように感じます。作品には顔が映りこむように描かれ、切り取られた瞬間に作家の感性が伝わってきます。
宮﨑の作品は、日によって違う自分の気分や感じたことがそのまま抽象的にキャンバスに映し出されているようです。ご自身が「自らの意図とは離れた場所で作品を成立させたい」とコメントされている通り、作品を壁に配置する時に、その上下さえ他人にゆだねるそうですが、何か主張はなくても、非常に存在感のある作品です。
清水は”消す”、 ”描く”の繰り返す行為の中で、描かれる残像のようなものが次第に浮かび上がってくると言います。
また、描かれたものがもともとそこに存在していたかのような感覚を大事にしているようです。清水の描く、静謐な画面からは豊かなストーリー性も感じられます。
春はお出かけの機会も多くなると思いますが、いろんな個性に出会う楽しさに期待して、訪れてみてはいかがでしょうか。
【各作家プロフィール・コメント】
浅野井春奈/ASANOI Haruna
【プロフィール】
1990年 東京都に生まれる
2012年 東京藝術大学美術学部彫刻科卒業
2014年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程修了
【受賞歴】
2012年 三菱地所賞受賞
【近年の展覧会(個展)】
2019年 個展「VACATION(Gallery FACE TO FACE/東京)
2020年 個展「貝の舌」(横浜髙島屋/横浜)
2021年 個展「きらめくみみかざり」(Gallery FACE TO FACE/東京)
2022年 「Le Penseur」浅野井春奈展(東京日本橋髙島屋美術画廊X/東京)
「そこにいる、ねじ。」(Gallery Pictor/鎌倉)
2023年 「dancer’s head」(Gallery FACE TO FACE/東京)
「浅野井春奈展」(新宿髙島屋/新宿)
【近年の展覧会(グループ展)】
2023年
「ONE ART TAIPEI 2023」(JR東日本大飯店台北/台北)
「38 Artists New Year Group Show 2023」(Gallery face to face/東京)
「髙島屋史料館×髙島屋美術部 アートの新時代 2023~温故知新~」(大阪髙島屋/大阪)
「Gallery Pictor 2022年プログラム《中心はどこにでもあり、多数ある》
「 Final Group Show」(北鎌倉 宝庵・Gallery Pictor/神奈川)
「ART TAINAN」(台南晶英酒店/台南)
「GEIDAI ART JUNGLE returns 藝大密林化計画」(藝大アートプラザ/東京)
「Dalston group exhibition -part4-」(Gallery Dalston/東京)
「SELECTIONS」(Gallery face to face/東京)
「ワンダーフェスティバル2023[夏](幕張メッセ/千葉)
「佐藤茉莉×浅野井春奈 -よりしろの耳打ち-」(SAN-AI GALLERY+contemporaryart/東京)
「2023国立台湾芸術大学美術学院彫刻学科 第十四回国際シューズボックススカルプチャー展」
「-二つの海岸-渡部未乃 浅野井春奈」(石川画廊/東京)
「ANIMALIA 2023」(Gallery face to face/東京)
2024年
「39 Artists New Year Group Show 2024」(Gallery face to face/東京)
「MERMAID」(松坂屋上野展/東京)
「ワンダーフェスティバル2024[冬]」(幕張メッセ/千葉)
「SELECTIONS」(Gallery face to face/東京)
【コンセプト】
火葬場でお骨を拾った際、海で拾う貝殻に似ていると感じた。
その瞬間、小さい頃よく遊びに行っていた海岸の風景が頭に浮かび、漠然と大きな繋がりのようなものを感じた。その感覚をもとに、骨と肉体の代わりに貝殻と木を用いて人や動物の形を制作し、彫刻の持つ存在感を探究している。
岩渕 毅弘/Iwabuchi Takehiro
【プロフィール】
岩手県生まれ、在住
2009年 岩手大学大学院教育学研究科教科教育専攻美術教育専修修了
【近年の主な個展】
2024年 「持続する旋回」implexus art gallery(岩手)
2024年 「揺らぎの輪郭」アートスペース羅針盤(東京)
2022年 「Underflow」諄子美術館(岩手)
2021年 「influx/あなた自身に似ている」旧石井県令邸(岩手)
【近年の主なグループ展】
2023年 「Dalston group exhibition -part5-」Gallery Dalston(東京)
2023年 「ANONYMAT vol.4 under/over MASK」Gallery OUT of PLACE(奈良)
2022年 「羅針盤セレクション 5人展」アートスペース羅針盤(東京)
【アートフェア】
2023年 「アートフェア東京」東京国際フォーラム(Gallery OUT of PLACEより)
2024年 「アートフェア東京」東京国際フォーラム(Gallery OUT of PLACEより)
【コンセプト】
流動的な⾃然と⼈の形象に、世界への実感を重ねて描いてきた。⾃分も、⾃分以外の⼈も、⾃然も持続変化の中にいて、流動的な状態で流動的な存在を⾒ているということがリアルだと感じる。そのため、画⾯に動きや時間を落とし込む⽅法を模索してきた。⽊炭の粉末を⽔で動かしたり、絵具を⽔や溶剤で滲ませて描いていく制作は⾃然との協働でもある。制御しきれない⼒から⽣まれる形態によってイメージは拡張され、ミクロとマクロの間を往還していく。
部分と全体が似ているという⾃⼰相似性は⾃然形態の特徴の⼀つだが、⼈間の⾝体の中にも⾒出され、⾃然との連続性を認識させられる。我々は⾃分が⽴っている地球の全体や、顕微鏡の中のミクロの世界を⾁眼では⾒ることができない。しかし、⾃然の中にいるとそうした⾒えない世界の存在を感じることがあり、⾝体や時間のスケール感覚が更新され、⾃然と⼈の境界も揺らいでいくように感じる。
⾃然を描くことは⼈について考えることでもあり、⼈を描くことは⾃然について考えることでもある。絵を描くことは、⾃然や⾃分以外の⼈という他者の姿に⾃分を投影させて、なぜ⾃分がここに存在しているのかを問うことにも似ている。
田村美琴/TAMURA Mikoto
【プロフィール】
2001年 神奈川県生まれ
2023年 東京造形大学 造形学部美術学科 絵画専攻領域 卒業
2024年 東京造形大学大学院 造形研究科造形専攻 美術研究領域 在学中
【展覧会(個展)】
2022年 「遠くなったニュースと暗い夜、コンビニの駐車場で見える誰かの素顔」 mime(東京造形大学/東京)
2023年 「ZOKEI展」(東京造形大学卒業・修了制作展)東京造形大学(東京)
「手で開けた朝、閉め忘れたやみ まばたきするたびに変わってく空気」
mime(東京造形大学/東京)
【展覧会(グループ展)】
2023年
「ART NAGOYA 2023」 名古屋観光ホテル(愛知)
「ひかりをつかむ」ARTDYNE(東京)
「in view」ギャラリーいちょうの木(東京)
「テイクオーバーゾーン」mime(東京造形大学/東京)
「Spiral Xmas Market 2023」SPIRAL(東京)
2024年
「草葉の陰より」gallery TOWED(東京)
「る/られる」小金井アートスポット シャトー2F(東京)
【 アワード 】
2023年 「ZOKEI展」ZOKEI賞(卒業制作優秀賞)
【コンセプト】
ふと思い出す過去のこと、日常で起きた些細な出来事や小さな気づきを得た瞬間の風景を滲ませて描く。そこに自身の姿を重ねることで心身と場所との物理的、あるいは精神的距離を映し出す。
清水智裕 / SHIMIZU Tomohiro
【プロフィール】
2008年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
【主な受賞歴】
2016年 タグボートアートフェス「Independent2016」グランプリ
2019年 「第14回タグボートアワード」グランプリ
【主な展示歴】
2007年 個展 Emerging artist support program 「たべちゃいたいくらい。」(東京/トーキョーワンダーサイト本郷)
2011年 個展「Emerging Japanese Artist – Shimizu Tomohiro」(シンガポール/iPRECIATION Singapore)
2012年 個展「道の向こうに見えるもの」(東京/銀座三越)
2014年 「YOUNG ART TAIPEI 2014」(台北/リージェント台北)
2016年 個展「Wanderlust」(台北/pon ding)
2018年 個展「THE 4TH CROSSLOADS HOTEL」(東京/銀座三越)
2019年 個展「侵食作用」(東京/亀戸アートセンター)
個展「Full Empty」(東京/タグボートギャラリー)
2023年 個展「Daily Report」(東京/日本橋三越)
個展「例の計画」(東京/VINYL GALLERY)
グループ展「group exhibition -part5-」(Gallery Dalston)
【装画】
「ふるさと文学さんぽ 岩手」(監修・須藤弘明、大和書房)
「手のひらの花火」(山崎聡子、短歌研究社)
【コンセプト】
絵画制作を続けるうちに、自分がゼロから創り出しているのではなく、キャンバスの向こうにもともと存在している世界をのぞき見しているだけなのでは、という感覚を持つようになりました。
出来上がった作品はそこで見てきたことのレポートのようなものです。
現実と地続きの、けれどもどこかが違う別の世界、そこで起こる様々なストーリーをご覧下さい。
宮﨑菖子 / MIYAZAKI Shoko
【プロフィール】
1997年 山口県生まれ
2020年 成安造形大学洋画コース卒業
2022年 武蔵野美術大学修士課程油絵コース修了
【個展】
2023年 エトセトラ(gallery Dalston/東京)
2022年 works(GALLERY b.TOKYO/東京)
2019年 横断と切断(成安造形大学ギャラリーキューブ/滋賀)
2019年 凝視(cumono gallery/京都)
【他展覧会】
2023年
いえーい(トタン/東京)
風が透る(YOD TOKYO/東京)
grid2(biscuit gallery/東京)
ARTISTS’ FAIR KYOTO2023(京都文化博物館)
2022年
うつつの暇(gallery TOWED/東京)
【受賞歴】
2024年 FACE2024 審査員特別賞
2024年 京都府新鋭選抜展2024(京都文化博物館)
2022年 Idemitsu Art Award2022 入選
【ステイトメント】
何かを表現したり伝えたりする以前の、ただ絵を描くということ、何かを残していく行為として制作を行う。描くことや、描いたものを観せることに必要以上の意味を不随させずに、ただ描かれた痕跡として、絵がそこにあるということが重要だと考えている。絵を描く瞬間の思考や感情を介入させずに、自らの意図とは離れた場所で作品を成立させたい。
タイトル | Spring selection |
会期 | 2024年3月26日(火)~ 4月7日(日) |
会場 | Gallery Dalston |
住所 | 〒130-0023 東京都墨田区立川1-11-2 |
Webサイト | https://www.dalston.space/springselection2024 |
開廊時間 | 13:00〜19:00 (最終日のみ17:00まで) |
休廊日 | 月曜日、火曜日 |
観覧料 | 無料 |