展覧会 岡本太郎 in 東京都美術館
東京都美術館では「展覧会 岡本太郎」が2022年10月18日(火)から12月28日(水)まで開催されています。今回は1996年に岡本氏が亡くなって以来、開催された回顧展のなかでも最大のスケールと言える大回顧展となっています。
岡本氏の作品のほぼすべてを所蔵する川崎市岡本太郎美術館と岡本太郎記念館が主催者として名を連ね、両館の全面協力により主要な代表作・重要作が一堂に会するほか、国内各地の美術館からの作品も加え、岡本芸術の全容に迫る規模と内容になっています。
いまなお人々を惹きつけ、世代を超えて共感をひろげる岡本太郎氏。本展は、岡本芸術の特質と本質、さらにはその底流にある“人間・岡本太郎”を、展覧会場の空間体験を通じて、一人ひとりが感じることができる体感型の展覧会となっています。
「展覧会 岡本太郎」は、岡本氏の活動を6つの章で振り返る構成になっています。
1970年にリアルタイムで大阪万博会場の《太陽の塔》をご覧になったような方には、あまりにも身近な存在すぎたので、岡本氏のことを分かっているつもりになっているかも知りませんが、それでもいろいろな再発見・新発見があるでしょう。
岡本氏が生きた時代の空気感を知らない、若い世代の方にとっては“人間・岡本太郎”のエネルギーの源に触れる貴重な機会ではないかと思います。
●第1章:“岡本太郎”誕生 —パリ時代—
1929年、18歳の冬にヨーロッパに渡り、その後単身パリに残って、ピカソの作品と出会い、芸術運動に身を投じ、マルセル・モースに師事して民族学を学び、人間全体として生きる“岡本太郎”が誕生した背景を探ります。
岡本太郎氏のパリ時代(1930年代)に制作した作品は戦災ですべて焼失しましたが、戦後になって岡本氏自身が4点を再制作しています。本展ではこの貴重な4点すべてが紹介されており、“岡本太郎”誕生の時代に想いを馳せることができます。
●第2章:創造の孤独 —日本の文化を挑発する—
戦後、岡本氏は前衛芸術運動を展開する傍ら、新しい芸術思想を提示した著書『今日の芸術』がベストセラーとなります。これをきっかけに岡本氏は芸術のみならず、文化領域全体の牽引者であり、挑発者としての存在感を増していきます。1940〜50年代に描かれた作品とともに、アヴァンギャルドの旗手としての芸術的成果を振り返ります。
●第3章:人間の根源 —呪力の魅惑—
前衛芸術運動を推し進める一方、岡本氏は自らの出自としての日本の文化のありかたにまなざしを投じます。日本各地のほか、韓国やメキシコなどを含めた岡本氏の広大なフィールドワーク(実施調査)に着目し、各地で撮影した写真に込められた民族学的洞察と日本文化への視座を提示します。その後の《太陽の塔》につながる60年代の呪術的な世界観をのぞくことができる、エネルギー溢れる作品群を一望します。
●第4章:大衆の中の芸術
芸術とは生活そのもの。そう考える岡本氏にとって人々の生活のすべてが表現のフィールドでした。地下鉄の通路や旧都庁舎の壁画、屋外彫刻などのパブリックアートをはじめ、植木鉢、新聞広告などから生活用品まで、大衆にダイレクトに語りかけるものへと広がっていきました。絵画や彫刻といった既成のジャンルを軽々と飛び越え、積極的に社会に飛び出していった岡本氏の好奇心と発想力に触れることができます。
●第5章:ふたつの太陽 —《太陽の塔》と《明日の神話》—
人間の太古からの根源的なエネルギーを象徴させた《太陽の塔》。そしてこれと並行して描かれた、現在渋谷駅に設置されている幅30mの巨大壁画《明日の神話》は対をなし、原子爆弾を主題に人類の「進歩」に内在する負の側面を見据え、それを乗り越えていく人類の未来への期待が込められています。この「ふたつの太陽」について、岡本氏が残したドローイングや資料とともにその現代的意味を考えます。
●第6章:黒い眼の深淵 —つき抜けた孤独—
大阪万博を経て岡本氏の存在はより広く大衆に受け入れられるようになりました。CMをはじめ数多くの番組に登場し、日本で最も顔を知られる芸術家となり、最晩年まで自らの芸術をダイナミックに追求し続けていきました。没後も長年にわたり岡本氏の活動を支えた敏子氏の尽力により、その芸術や著作、そして力強い言葉が若い世代にも受け継がれ、人々に生きる勇気を与え続けています。
タイトル | 展覧会 岡本太郎 |
会期 | 2022年10月18日(火)~12月28日(水) |
会場 | 東京都美術館 企画展示室 |
住所 | 〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36 |
Webサイト | https://taro2022.jp/ |
開館時間 | 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで) 金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで) |
休館日 | 月曜日 |
料金 | 一般 1,900円 大学生・専門学校生 1,300円 65歳以上 1,400円 ※高校生以下は無料(日時指定予約が必要です) ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料(日時指定予約は不要です) ※未就学児は日時指定予約不要です ※高校生、大学生・専門学校生、65歳以上の方、各種お手帳をお持ちの方は、いずれも証明できるものをご提示ください |
チケット情報 | チケットの詳細は公式サイトのチケット情報をご覧ください。 ※本展は展示室内の混雑を避けるため、日時指定予約制となっています。 ※オンライン・プレイガイドでの予約が難しい方を対象に当日の入場枠を設けておりますが、ご来場時に予定枚数が終了している場合があります。 |