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戸田沙也加「Monster」 at Gallery10[TOH]

Gallery10[TOH] では、戸田沙也加個展「Monster」が2024年3月21日(木)から4月7日(日)まで開催されます。本展は美しさと表裏一体の醜美をテーマに、写真作品と絵画作品で構成される予定です。そもそも“醜”と“美”は、かなり主観が入るものだと思いますし、それらが各々どのように捉えられているのか、その境目はどうなっているのか。そしてまた、タイトルの「Monster」の意味するところとは?・・・などなど、いろいろ興味は尽きません。あなたもぜひ、ご自分の目で確かめに、訪問してはいかがでしょうか。

絵画作品と、その起点になった写真作品

階段をあがり、ギャラリーのメインスペースに進むと右の壁面に絵画作品が、左の壁面に写真作品が配置されていることに気がつきます。絵画作品は植物がモチーフですが、独特な色遣いで、葉脈や茎の繊維から植物全体にエネルギーがドクドクと送り込まれる音が聞こえそうなほど、圧倒されるような生命感にあふれているように感じます。
「なるほど、これがMonsterかも・・・」と思いながら、作品リストを確認すると、《Monster》(シリーズ)とタイトルされているのは写真作品のほうで、絵画作品は《Artichoke》シリーズとなっています。意外な結末に、「あれ?これはどういうことなんだろう・・・」と考える、楽しい時間が始まります。

静謐さと異質性を保つ世界観

戸田は沙也加は2012年に女子美術大学大学院美術専攻洋画研究領域を修了し、美しさと表裏一体の醜美をテーマに、女性や動植物の形をモチーフとした絵画表現を行っています。2019年からは写真表現も開始し、これまでペインティングのイメージとして習作的に撮り続けてきた花のモチーフを起点に、友人、静物、熱帯植物などを撮影し、静謐さと異質性を保つ世界観を作り上げています。
本展では夜の散歩中にふと出会った、公園に生えていたアーティチョークの姿がフィルムカメラに収められ、その写真作品をもとに絵画作品が描かれているようです。

フィルムカメラならではの楽しさ

写真作品は、フィルムカメラならではの偶然の楽しさを感じさせます。作品の中には、ちょうどフィルムロールの端で、意図せざるところで露光して“余白”ができてしまったようなものも含まれ、それもそのまま組作品として絵画で表現されています。


現在のデジタルカメラであれば写した結果はすぐに見れますが、フィルムカメラは現像して焼き付けるまで結果は分かりません。手ブレしていたり、変なところに光があたり過ぎていたり、その時に感じてシャッターを切った対象物とは別のものが立ち上がってくるようなワクワク感を思い出させてくれます。

「美しさと表裏一体の醜美」とは?

事前にアーティストコメントを読んでいると、戸田が感じた表裏一体となった美と醜はどこにあるのだろう?と作品を観て、探してしまいがちですが、観る私たちとしては違うアプローチもあるかも知れないと思います。
これは個人的な感想に近く、恐らく作家の意図とも少し違うと思いますが、表裏一体となった美と醜とは、けっきょく「あるがまま」ということではないかと感じます。人間にはいろんな価値観や価値判断の“ものさし”がありますが、その中で「美しい、醜い」はもっとも各人の自尊心や自己肯定感に関わるところのひとつです。他人が美男美女と思っても、本人たちは必ず醜いとコンプレックスを抱く部分があるように、“欲”とからめて考えると満足するところがない、無限の広がりがありそうです。しかし“欲”を捨て、美しいも醜いも一体となった、あるがままの自分や他の存在を受け容れるということはどういうことなのだろう・・・と作品の前で考えてしまいます。

この個展には、いろんなことを思い出させ、考える楽しさをくれる作家の思索の軌跡や気づきにあふれているように感じます。あなたも素晴らしい作品と、「Monster」に出会いに、訪れてはいかがでしょうか。

最後に、ギャラリーのWebサイトに掲載されたアーティストコメントを引用で紹介します。

◆◆◆

美と醜は表裏一体であり、醜は美と同等に私を魅了する。
朽ちゆくものには必ず瞬間的な美しさが存在する。
対象の境界線が曖昧になる夜に、
強制的に映し出される異質な怪物に美を超越する崇高さを見出す。

戸田沙也加

◆◆◆

タイトル 戸田沙也加「Monster」
会期 2024年3月21日(木)~ 4月7日(日)
会場 Gallery10[TOH]
住所 151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-20-11 第一シルバービル1B
※JR代々木駅東口を出た目の前の第一シルバービル1Fです。ギャラリーへの扉がタバコ自販機になっているのが目印です。
インスタグラム https://www.instagram.com/gallery10.toh
開廊時間 13:00〜20:00
休廊日 月曜、火曜
観覧料 無料