VOCA展 2024 現代美術の展望-新しい平面の作家たち in 上野の森美術館
上野の森美術館では、『VOCA展 2024 現代美術の展望-新しい平面の作家たち』(The Vision of Contemporary Art/特別協賛:第一生命保険株式会社)が2024年3月14日(木)から3月30日(土)まで開催されています。本展は現代アートにおける“若手作家の登竜門”として、独自の選考システムにより全国各地で活躍する、40歳以下の31名の優れた未知の才能が紹介されます。“平面”といえども、作品のサイズは250cmx400cm以内、厚さは20cm以内という条件なので、立体やインスタレーションに近い作品も多く観られます。毎回、“定点観測”するような気分で訪れると、現代アートのひとつの潮流が感じ取れる、いろんな楽しみ方がある展覧会です。
国際的に通用する若手作家の支援を目的に、1994年より 開催
「VOCA(ヴォーカ)展」は、The Vision of Contemporary Artの頭文字をとってそう呼ばれています。現代アートにおける平面の領域で、国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的に、1994年より毎年開催されている展覧会です。今年は第31回となります。
これまで「VOCA展」に出品した作家は、今回の『VOCA展2024』を含め、延べ1,044人(組)にのぼります。福田美蘭(1994年VOCA賞)、やなぎみわ(1999年VOCA賞)、蜷川実花(2006年大原美術館賞)、清川あさみ(2010年佳作賞)、Nerhol(2020年VOCA賞)、永沢碧衣(2023年VOCA賞)など多方面で活躍している作家たちが出品しています。VOCA展は「平面」という一貫した切り口で若い世代が描く絵画の動向を反映しながら、まさに「今日の美術」を見せてくれる展覧会です。
観る私たちにも楽しみを提供する独自の選考システム
「VOCA展」の大きな特徴は、その選考システムにあります。毎回、約30名の推薦委員が1名ずつ作家を推薦し、推薦された作家は1点ずつ作品を出品。それを5名の選考委員が数回の投票と議論を重ね、受賞者が決定されます。
この推薦委員は日頃から多くの作家をリサーチしている全国各地の美術館学芸員、研究者などで構成されており、いわば日本中のアートシーンの現場である展覧会や個展などで数多くの作品に触れている方々です。したがって、望めば誰でも応募できるコンクールとは違い、一定のレベルの中から作品選考が行われるのです。
他の展覧会と違う、観る側の楽しみとしては推薦委員の方々のコメントがあげられます。そこには委員の方それぞれの現代アートへの視点や作家の創作活動へのまなざしが感じられ、観る側の私たちに作品をより深く楽しむためのガイドになっています。展示キャプションに添えられた推薦委員のコメントと作品を一緒に観ていくと、いろんな学びや気づきが与えられるでしょう。
新進気鋭の作家31名の中からグランプリが選出される
今年もこれからを期待される新進気鋭の作家31名が『VOCA展 2024』 に出品されました。この中から、グランプリとなるVOCA賞には秋田県秋田市在住(愛知県出身)の大東 忍《風景の拍子》が決定した他、VOCA奨励賞には上原 沙也加、片山 真理、VOCA佳作賞には佐々 瞬、笹岡 由梨子の作品が選出されました。
また、大原美術館賞には上原 沙也加さんの作品が、同美術館の選考により選出されました。
●VOCA賞受賞者 大東 忍 《風景の拍子》
●VOCA賞受賞者 大東 忍 氏のコメントのコメント
※プレスリリースより引用
夜の深い影は様々なことを含んでいて、その土地でこれまでにあった、もしくはあったはずの営みを物語っているように感じます。そんな風景の一部に自身がなりながら風景に寄り添い、語りに耳や身体を傾けます。その方法がわたしにとっては歩き、踊り、そして描くことです。 秋田市のひとつの風景を描いた本作ですが、背後には無数の名前のない風景が折り重なっています。そんな作品がたくさんの人に開かれることを嬉しく思います。
推薦者 石倉 敏明 氏(秋田公立美術大学 准教授・人類学者)のコメント(会場用推薦文より)
大東は見知らぬ辺境地を一人で歩き、静かに、暗がりのなかで踊る。それは「風景を踏みならす」実践であり、自身が踊る光景をもとに、木炭画を描くプロセスの一部でもある。木炭の濃淡によって示される世界像は、想像と現実、固有性と匿名性、主体と環境の関係を揺るがし、風景にひそむ未知のリズムを浮かび上がらせる。
●VOCA奨励賞・大原美術館賞 上原 沙也加 《幽霊たちの庭》
●VOCA奨励賞 片山 真理 《「red shoes #003」「red shoes #001」「red shoes #002」》
●VOCA佳作賞 佐々 瞬 《そこに暮らす人々は自らの歴史を記した》
●VOCA佳作賞 笹岡 由梨子 《Animale/ベルリンのマーケットで働くクマ》
タイトル | VOCA展 2024 現代美術の展望-新しい平面の作家たち |
会期 | 2024年3月14日(木) 〜 3月30日(土) |
会場 | 上野の森美術館 |
住所 | 東京都台東区上野公園 1-2 |
Webサイト | https://www.ueno-mori.org/exhibitions/voca/2024/ |
開館時間 | 10:00 〜 17:00 *入場は閉館30分前まで |
休館日 | 会期中無休 |
料金 | 一般:800円(税込) 大学生:400円(税込) 高校生以下無料 *学生の方は、学生証・生徒手帳をご提示ください *障害者手帳をお持ちの方と付添の方1名は無料 (要証明) |