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アピチャッポン・ウィーラセタクン 「Solarium」 at SCAI THE BATHHOUSE

SCAI THE BATHHOUSEでは、アピチャッポン・ウィーラセタクンによる個展「Solarium」が2024年3月16日(土)から5月25日(土)まで開催されています。幼少期に夢中になったホラー映画に着想をえた映像インスタレーションの新作《ソラリウム》(2023年)の他、初めて一般公開されるドローイングや、2分から1年までの時間を凝縮して撮影された52枚の写真が収められた5つのボックスの作品など、彼の着想のはじまりや、ものごとへのまなざしなどがうかがえる興味深い機会となっています。ぜひ、お見逃しなく。

私たちのいる物理空間に息づき始める亡霊

ギャラリーに入ると、奥のスペースが壁で仕切られ、シアターになっています。中に入ると、中央に2枚の大きなガラスパネルが立てられ、ガラスの両面に映し出される2チャンネル映像が映し出されます。備え付けのヘッドフォンを装着すると重低音のノイズが耳を覆いますが、音を聴かなくても映像だけ楽しむこともできます。

映像は、盲目の妻を救うため、患者の眼球を盗んだ狂気の医師(マッドドクター)を描くタイ映画『The Hollow-eyed Ghost』(1981)から着想を得ており、暗闇のなかで自身の眼球を探しさまよう男の姿が映し出されます。しかし、彼はやがて日の出の太陽によって破壊されてしまいます。そして、ホログラム・フィルムが貼られた映写用のガラスパネルに亡霊が浮かび上がり、観ている私たちのいる物理空間に息づき始めます。

亡霊は、映画監督のように、いつも光を体験するための装置を探しています。このタイトルは、この夢のような状態から逃れられず、自ら作り出した日光浴室(ソラリウム)に永遠に閉じ込められ、日の出の暖かな光を待ち望む亡霊を暗示しているのです。(作家談)

SCAI THE BATHHOUSEでの7年ぶり5度目の個展

アピチャッポン・ウィーラセタクンは、1970年にタイ・バンコクに生まれ、タイのコンケーン大学で建築を専攻後、シカゴ美術館付属シカゴ美術学校にて美術・映画製作の修士号を取得しています。1999年には自らの映画製作会社キック・ザ・マシーン(Kick the Machine)を設立。映画監督としてだけでなく、美術作家としても活躍しています。本展は、SCAI THE BATHHOUSEでの7年ぶり5度目の個展となります。

興味深いドローイングと5つのBOX

本展はまた、ウィーラセタクンのドローイングを一般公開する初めての機会となっています。 モノクロームの表現は、夢、スケッチ、ランドスケープやボディースケープを描き出し、作家が影、曖昧さ、映画のフレームといった主題にいかに強い関心を抱いてきたかを物語っています。

あわせて展示されているのは、さまざまな時間の表現を集めた《Boxes of Time》(2024年)です。ギャラリーには5つの箱が置かれ、それぞれの箱には2分から1年までの時間を凝縮して撮影された52枚の写真が収められています。収められた写真は移動と変化の感覚を伝え、各々の箱は時間がどのように体験され知覚されるのかについて、異なる視点を投じています。

 

アピチャッポン・ウィーラセタクンは、タイや韓国、日本などのアジアの他、アメリカ、フランス、オランダ、アラブ首長国連邦で様々な賞を受け、世界的にも評価が高い作家です。これからも一層の活動が期待できる彼の新作や、興味深い彼の発想の一端に触れてみてはいかがでしょうか。

タイトル アピチャッポン・ウィーラセタクン
「Solarium」
会期 2024年3月16日(土)~ 5月25日(土)
会場 SCAI THE BATHHOUSE
住所 〒110-0001 東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡
Webサイト https://www.scaithebathhouse.com
開廊時間 12:00 ~ 18:00
休廊日 日・月・祝日休廊
観覧料 無料