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DOMANI・明日展 2021 文化庁新進芸術家海外研修制度の作家たち in 国立新美術館

国内の美術館で行われる現代アートの“アニュアル展”としては希少な存在である「DOMANI・明日展」。フレッシュな作家たちによる作品を通じて、どのような明日=希望が見えてくるのか?毎年、たいへん楽しみな展覧会です。

フレッシュな作家の作品と出会えるチャンス
「DOMANI・明日展」は一般のアート好きな方にとって、本来は全国各地の美術館を訪ね歩くか、初心者には敷居が高い?現代アート系のギャラリーに行かないと観ることができない、10名ほどのフレッシュな現代アートの作家たちの作品が一堂に会している点が大きな魅力です。毎年、この「DOMANI・明日展」を楽しみにしているファンも多くいることでしょう。
ここに登場する作家は、1967年に始まった「文化庁新進芸術家海外研修制度」に参加された方々で、その成果発表の場として1998年に「DOMANI・明日展」が始まっています。この制度が発足した当初は異文化との出会いや交流の機会として意義がありましたが、これだけグローバリズムや情報ネットワークが発達した現代でも、海外で暮らして創作活動を続けることは自分の本質を見直したり、日本ではなく暮らしている国や街を起点に世界を見るようになるなど、創作の根幹となる部分に刺激を与え、作家を支援する制度であり続けています。
観る側の私たちにとっても、海外研修で得たインスピレーションを作品の中に見つけるのは楽しいことですし、キャリアとしては真に表現したいものを目指す過程や変化の途中である作家さんが多いので、グローバルの舞台での今後の活躍への期待をこめて観ることもできます。

 

今年のサブタイトルは「スペースが生まれる」
2019年度までの「DOMANI・明日展」はフレッシュな作家の個展の集合体のように見えましたが、昨年度はそれに加え、「傷ついた風景の向こうに」というサブタイトルとともに太平洋戦争や平成に起きた大きな自然災害の“傷”に焦点があたり、全体のテーマ性を強く感じました。今年度もその流れを踏襲されているようです。
主催者から以下のようなメッセージが発表されています。

今回は、過去10年間に各国で文化庁新進芸術家海外研修制度の経験を持った7人の新進作家に、それ以前に研修を経て、現在、アートシーンの最前線で活躍する竹村京・鬼頭健吾、袴田京太朗を加え、「2020年代」を迎えた日本のアクチュアル、かつ国際的にひらかれた表現を浮かび上がらせます。サブタイトルを「スペースが生まれる」としました。東日本大震災からまる10年を目前としたいま、いまだ記憶に深い被災によって生じた空間/景観の余白と、コロナ禍のstay homeで体験した時間的余白を経て、あらためてなにがほんとうに大事なのかを考えなおし、次代への扉をひらく時期を迎えているとの願いを込めました。

[出品作家プロフィール]
※以下は主催者発表のプロフィールを要約してご紹介しています。全文をご覧になりたい方はこちらからどうぞ

大田黒 衣美
[現代美術]
2018年度(1年間)・ドイツ/ベルリン
1980年、福岡県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画修了。現在、愛知県を拠点に活動。ベルリン滞在後では写真によって現実とは異なるスケールで表現する手法を展開しており、本展が日本初の公開となる。

 

 

利部 志穂
[現代美術、彫刻]
2006年度(2年間)・イタリア/ミラノ
1981年、神奈川県生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。現在、東京都を拠点に活動。生活のなかで不要となったものや壊れた廃棄物などを解体し、それらによって形を作るのではなく空間配置における自然な瞬間を抽出し、インスタレーション、映像、パフォーマンスなど様々な方法で新たな関係性を生み出す制作を続ける。

 

笹川 治子
[現代美術]
2019年度(短期)・ドイツ/ライプツィヒ、ドレスデン、ベルリン、デュッセルドルフ
1983年、大阪府生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士課程修了。現在、同大学非常勤講師、茨城県を拠点に活動。作戦記録画や戦中プロパガンダにおける虚実について研究するなど、戦時中にアートがどのようにメディアとして扱われ人々に影響を及ぼしたかに注目し、多様な表現で制作と考察を続けている。

 

髙木 大地
[絵画]
2018年度(1年間)・オランダ/ハールレム
1982年、岐阜県生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。現在、神奈川県を拠点に活動。鳥や木、雨、窓などの身近なモチーフそれぞれの質感を色彩の重なりや様々なテクスチャーの筆致で描き、作家の中で「視る」から「描く」へと移行するときに体現化する世界は独自の幻想性に満ちている。本展では新作を交えて構成する。

 

新里 明士
[陶芸]
2011年度(1年間)・アメリカ/ボストン
1977年、千葉県生まれ。多治見市陶磁器意匠研究所修了。現在、岐阜県を拠点に活動。「蛍手(ほたるで)」と呼ばれる技法を用いた現代的なデザインで国内外の注目を集める。本展では白磁ならではの精緻な意匠による作品とともに、制作過程における磁器の大胆な面に注目した作品群も展開する。

 

春木 麻衣子
[現代美術、写真]
2017年度(1年間)・フランス/パリ
1974年、茨城県生まれ。玉川大学文学部芸術学科卒業。現在、フランスを拠点に活動。
極端に露出アンダー又はオーバーに撮影することで黒および白で一面が覆われた抽象的で清閑な写真作品の制作を続ける。

 

山本 篤
[現代美術、映像]
2018年度(1年間)・ベトナム/フエ
1980年、東京都生まれ。多摩美術⼤学絵画学科油画専攻卒業。現在、東京を拠点に活動。現代社会が抱える問題を切り口にしたフィクション作品からごく私的なドキュメンタリー、コント的な実験作品など多彩な映像作品を意欲的に制作する。

 

竹村 京
[現代美術]
2004年度(3年間)・ドイツ/ベルリン
1975年、東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画修了。現在、群馬県を拠点に活動。代表作に写真やドローイングの上に刺繍を施した白布を重ねた平面のインスタレーション、壊れた日用品の破損部分を白い絹糸で縫い直した修復シリーズがある。

 

鬼頭 健吾
[現代美術]
2009年度(2年間)・ドイツ/ベルリン
1977年、愛知県生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了。現在、京都芸術大学大学院教授、群馬県を拠点に活動。アーティストによる自主運営スペース「アートスペースdot」(愛知県)を設立、運営に参加。フラフープ、糸、鏡などの日常にありふれた既製品とモーターなどを使った大規模なインスタレーションや、立体、絵画、写真など多様な表現方法を用いた作品を発表している。

 

袴田 京太朗
[彫刻]
1994年度(1年間)・アメリカ/フィラデルフィア
1963年、静岡県生まれ。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。現在、武蔵野美術大学教授、神奈川県を拠点に活動。近年は彫刻の複製の問題に着目し、時に既製品を含むカラフルなアクリル板を重ね合わせた人型のシリーズを制作、従来の彫刻の概念を覆しつつ、一貫して「彫刻とは何か」を問う。

 

タイトル DOMANI・明日展 2021
文化庁新進芸術家海外研修制度の作家たち
会期 2021年1月30日(土)~3月7日(日)
会場 国立新美術館 企画展示室2E
住所 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
Webサイト https://domani-ten.com/
開館時間 10:00~18:00
※当面の間、夜間開館は行いません。
※入場は閉館の30分前まで
休館日 毎週火曜日休館
※ただし、2月23日(火)は開館、2月24日(水)は休館
料金 1,000円(一般)、500円(大学生)

・高校生、18歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)は入場無料。
・障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。

チケット情報 ※チケット情報およびオンラインチケットに関しては、公式サイトのこちらのページをご参照ください。