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佐藤可士和展 in 国立新美術館

日本を代表するクリエイティブディレクター佐藤可士和(1965年~)の作品と、その卓越したデザイン戦略に直接触れることのできる展覧会が開催されています。佐藤自身のキュレーションによる展示空間を音声ガイドを利用しながら巡っていくと、感性と理性が同時に刺激される、他にないアート体験をあなたにもたらすでしょう。

[見どころ]
2007年に開館した国立新美術館は、「さまざまな美術表現を紹介し、新たな視点を提起する美術館」を活動方針に掲げ、デザインや建築の展覧会を定期的に開催されてきました。本展も、この理念を体現する企画として展開されています。
私たちは、佐藤の作品である広告やロゴ、商品パッケージなどを身の回りのいたるところで目にしており、普段はそれを“情報”として認識しがちです。今回、それらの大きなサイズの作品を美術館の大空間の中で観ると、改めて佐藤の作品にあるクリエイティビティやアート性の高さに気づかされます。

また佐藤の肩書きであるクリエイティブディレクターは広告業界の言葉ですが、その職能は業界だけの特殊なものではありません。佐藤自身が著書『世界が変わる「視点」の見つけ方 未踏領域のデザイン戦略(集英社新書)』で語っているように、①課題、②コンセプト、③ソリューションというプロセスをベースにおいて思考することによって、誰もが「デザインの力」を使って仕事などに活かせる普遍的なものです。
そのような観点から、本展は単にスーパークリエイターの作品として観るのではなく、自分ごととして接すると、あなたなりの気づきなどが生まれるのではないかと思います。

 

積極的に使いたい音声ガイド
近年、音声ガイド付きの展覧会は多く、これを利用するかどうかは観る人の好みによると思います。しかし本展に限って言えば、好き嫌いに関わらず、用意されている無料の音声ガイドを利用するべきでしょう。
その理由は、本展はデザインを観る展覧会なので、なぜそれに落とし込まれたかを知ることが大事だからです。佐藤はすでにデザイン戦略や仕事術などに関する多数の本を出されており、これを読んでよく理解されている方も多いと思いますが、やはりひとつひとつの作品を目の前にして、佐藤自身が語る言葉により“体感”できる機会は貴重でしょう。ただ理解するだけでなく、佐藤の美意識やフィロソフィーを観る人と明確に共有できる場にしてくれている、音声ガイドの力は大きいと思います。

 

音声ガイドには「アイコン」というキーワードがよく出てきます。特に国立新美術館のロゴ開発を解説したパートが「課題⇒コンセプト⇒ソリューション」へと至るプロセスが分かりやすく、アイコン化すべき意味がよく分かります。なぜ、漢字の“新”ひと文字になったのか?など、着眼点の的確さや落とし込みの素晴らしさが伝わってきます。

 

音声ガイドなくしては、これらの見どころを知ることなく、ただ佐藤の美しいデザインを眺めただけで帰ることになるでしょう。

一堂に会す佐藤の作品とデザイン戦略
スケールアップしたビジュアルやオブジェで紹介されるADVERTISING AND BEYONDやTHE LOGOは、アートとしての佐藤の作品の魅力を的確に伝えてくれます。またSMAPのプロジェクトのくだりを解説する音声ガイドを聴くと、独立直後の自由で意欲的な姿勢がよく分かります。

ICONIC BRANDING PROJECTSでのセブン-イレブンのコーナーでは、なぜ手間をかけて店内の全商品のパッケージに統一性を持たせる必要があるのか?が説得力をもって語られます。同時に、私たちの身の回りにデザイン戦略を持つことが、いかに重要かを改めて認識できるでしょう。

また今治タオルのコーナーではクライアントからオリエンテーションを受けて、釈然としないままにタオルを使ってみると「これはいける!」と感じたエピソードが語られます。ここでは自分が感じたことを大切にする重要性を認識させられますし、これは誰でも実践できることだと思います。また自分がなぜ、良いと感じたか?の理由を知ることの大切さを表す、品質テストに関する展示映像も興味深いと思います。

最後のコーナーであるLINES/FLOWでは、佐藤の仕事に流れる根幹の思想や未来につながる哲学を感じさせられます。

 

美術館で佐藤可士和を観る。その意味はあなたにとって想像以上に大きく、深いものになるでしょう。

 

そして、最後にはさらなるお楽しみが。この展覧会のためにデザインされた27種類のUT(Tシャツ)が、それぞれ特別パッケージUT BOXに入って販売されています。様々なテーマが用意されていて、思わずお財布の紐がゆるみます。

タイトル 佐藤可士和展
会期 2021年2月3日(水)~ 5月10日(月)
会場 国立新美術館 企画展示室1E
住所 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
Webサイト https://kashiwasato2020.com/
開館時間 10:00 ~ 18:00
※入場は閉館の30分前まで
※開館時間は変更になる場合がございます
休館日 毎週火曜日
※ただし、2月23日(火・祝)、5月4日(火・祝)は開館、2月24日(水)は休館
料金 一 般 1,700円、大学生 1,200円、高校生 800円
※中学生以下、または障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
チケット情報 混雑緩和のため、事前予約制(日時指定券)を導入されています。
詳しくは、公式サイトのチケット情報をご覧ください。⇒公式サイト「チケット」へ