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ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow @ 東京都現代美術館

寒川裕人氏が日本に拠点を置くアーティストスタジオ「EUGENE STUDIO(ユージーン・スタジオ)」による個展「ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow」が東京都現代美術館で開催されています。東京都現代美術館としては初の平成生まれの作家の個展で、国際的にも評価が高まっている新進気鋭の作家の国内の公立美術館としても初の大規模な個展となります。
自由な発想の幅広い活躍に国際的な注目が集まっていますが、それをそのまま体現するような多彩な表現手法で、観る者の感性や思考を刺激します。

「新しい海」から感じるエネルギー
1989年にアメリカで生まれた寒川氏は、EUGENE STUDIOとして国内外の美術館やギャラリーのみならず、多くの国際映画祭やアメリカを代表する現代SF作家との共同制作など、自由な発想の幅広い活躍を展開し、国際的な注目が集めています。

本展でも平面作品から大型インスタレーション、映像作品、彫刻作品など、観る、あるいは参加する私たちを大いに刺激します。また表現手法は多彩ながらも、これらの作品群からはひとつの共通する作家の想いや姿勢が感じられます。

それは本展のタイトルでも「新しい海」と標榜されている通り、時代の大きな転換点ともいうべき現在、まっすぐに前を見据えて、他者や社会、あるいは時代とともに未来へと漕ぎ出そうとする青年の等身大の精神や問題意識です。あなたはこれを、単に内省的な批判や皮肉などから生まれたものではない、ポジティブなエネルギーとして感じることができるでしょう。

 

根源的な問題について気づきを促す展示構成
本展は、さまざまなことが起こり続ける現実の中で、私たちは何を信じることができるのか。他者と何を共有できる/できないのかなどの根源的な問題について、展示室を巡りながら来場者の気づきを促すように構成されています。

展示は、世界各地で100名ほどの接吻がされたという真っ白なカンバスが置かれている代表作、〈ホワイトペインティング〉シリーズ(2017-)から始まります。一見なにも描いていないように見えますが、実はそこに愛を表す行為が記されていることに深い意味を感じます。

順路に沿ってB2F企画展示室のアトリウムに進むと、大規模な空間の床を水で満たしたインスタレーション《海庭》が登場します。上からは自然光が差し込み、壁面に張り巡らされた鏡に自分が映し出されます。作品タイトル通り、どこかホッとできる空間です。

 

作品のガイドがあり、同時に“自由”で楽しい
この先は、英語タイトルにある「After the rainbow」を体現するような〈レインボーペインティング〉シリーズへと続きます。油彩の、数万個の淡い色の点描でグラデーションが描かれた作品は、入り口で配布されているガイドリーフレットによると、作家はひとつひとつの点を「人」に見立てたと紹介されています。

実は、主な作品の意図や背景はこのガイドリーフレットに詳しく説明されているので、観てから読むか、読んでから観るか、迷うところです。でも、読んでから観たとしても、それに縛られず、それを超えて大いに自分の感性が刺激され、広がっていく“自由”があるところは、本展の楽しさのひとつだと思います。

 

例えばこの〈レインボーペインティング〉シリーズも、作品の前に設けられたベンチに腰掛けて眺めていると、点を「人」と意識して観るのも楽しいですが、それだけでなく海や桜吹雪など、自分の記憶の奥底にあるイメージが勝手に呼び覚まされていくようで、ちょっとした驚きも感じます。こうした“自由”は本展全体に感じられます。

癒しさえ与えてくれる終盤の作品群
この後、《私にはすべて光り輝いて映る》や、映画「2001年宇宙の旅」に触発されて制作された《善悪の荒野》など、比較的スケールの大きな作品が続きます。

 

そして終盤は、暗闇の中で天から金箔や銀箔の粒子が降り注ぐような《ゴールドレイン》や、ヘッドフォン=AKG K240 MKⅡからクリアに聴こえるドビュッシーの「夢想」と映像の中の人の指の動きが心地よくシンクロする《Our dreams | 夢》へと結ばれ、癒しさえ与えてくれるようです。

本展の中盤あたりの《想像》は暗闇の中で約3ヶ月の期間にわたって制作された彫像で、私たちは完全な暗闇の中でこれを鑑賞するので目で見ることはできず、作家自身も完成形を見たことがないという作品です。作家は「この作品は、本展の裏側を一手に担う」と語っており、ここでも私たちの想像力が試され、さらに自由にしてくれそうです。この《想像》は安全上や感染対策から限られた時間に1組しか入室できないため、整理券が配布されています。

海は生命誕生の起源であり、揺籃の場と言われています。EUGENE STUDIOが想い、考え、描こうとしている「新しい海」は、これからの世界のありように影響を及ぼす私たちの意識を高めてくれるでしょう。

 

タイトル ユージーン・スタジオ 新しい海
EUGENE STUDIO After the rainbow
会期 2021年11月20日(土)~ 2022年2月23日(水・祝)
会場 東京都現代美術館 企画展示室 地下2F
住所 〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
Webサイト https://mot-solo-aftertherainbow.the-eugene-studio.com/
開館時間 10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日(2022年1月10日、2月21日は開館)、12月28日-2022年1月1日、1月11日
料金 一般 1,300円 / 大学生・専門学校生・65歳以上 900円 / 中高生 500円 / 小学生以下無料

※予約優先チケットもございます。予約優先チケットはこちら
※本展チケットで、「MOTコレクション」もご覧いただけます。
※小学生以下のお客様は保護者の同伴が必要です。
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳持参者とその付き添いの方(2名まで)は無料です。