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廣瀬智央 「月の裏側」 at 小山登美夫ギャラリー天王洲

小山登美夫ギャラリー天王洲では、廣瀬智央展「月の裏側」が2023年11月18日(土)から12月9日(土)まで開催されています。本展は、2000年にはじめて作品化された「ビーンズ・コスモス」シリーズの新作を中心に、数点の彫刻作品で構成されています。「豆」という食材に出会い、そこに宇宙を感じて以来、豆の存在に愛しささえ感じているという廣瀬の作品は、不可視な、不思議な世界を巡る小さな想像力の旅に私たちを誘うようです。

小さな空間に展開された美しき宇宙

ギャラリーに入ると、最初に目に入ったのはフロアに置かれている、本展のメイン作品になる〈ビーンズ·コスモス〉シリーズの新作《無題(世界の起源)》です。直径1mあまりの楕円のカッラーラの大理石の円盤に、様々な大きさが異なるアクリルの球体が配置され、小さな“宇宙”のようでもあり、食卓のようにも見えます。
壁面には組作品である、くっきりと美しい月の姿が映し出された《無題(ブルームーン)》と、無垢の銅の丸棒で作られた直径19.5 cmの幾何学の正円の彫刻作品《無題 (月の裏側)》が配置されています。
このフロアと壁面に展開された3つの作品を観ていると、この小さな空間に宇宙を感じることができます。

入り口右壁面に設置されている彫刻は、直径10cmの 〈ビーンズ·コスモス (Tama) 〉 で、月に見立てられたローズクオーツが封印された最新作です。
また奥の壁面には《ボヤージュ/ 翠点》と題された未発表の彫刻作品5点が配置されています。“翠点”とは作品の英語訳から考えると、さまざまな物や事柄があつまる場所という意味で、知の巨人・南方熊楠が使い始めた言葉のように受け取れます。

両義性を持つ豆の役割り

2000年にはじめて作品化された「ビーンズ・コスモス」は、現在も少しづつ緩やかに深化しています。廣瀬は豆という食材に出会い、そこに宇宙を感じて以来、豆の存在に愛しささえ感じているといいます。豆は質素な食材ながらお腹もふくれ、栄養豊富で滋味深く「貧しいのに豊か」であり、両義性を持つ役割があると指摘しています。
また、ギャラリーでは「豆のコスモロジー/文化の狭間に生きる。(2008年の「官能の庭」展のためのテキストより抜粋)」を読むことができ、さらに豆にまつわる興味深い話が廣瀬智央自身によって記されています。


そこには、日本に生まれ現在イタリアに暮らす廣瀬自身と豆が重なり、自分の立ち位置が両義的で、異質な文化と文化の狭間にあると語られています。その立ち位置とは、境界を越えて一見異質な物を結びつけること、プライヴェートなものや日常への関心を受け継ぎながら、社会的 なものまで開かれていくような連想のフィールドを呼び起こすこと、両義的で多様な文化のなかに独自の言葉を造ること、 と言えるかもしれないとのことです。

「月の裏側」を見たいという尽きない好奇心

本展でもこの小さな豆を出発点として、不可視な、不思議な世界を巡る小さな想像力の旅に出ています。そして、かつて人類が月を見ながら決して見ることができなかった月の裏側について想いを馳せています。1959年に、旧ソ連の月探査機「ルナ3号」が初めて月の裏側の様子の撮影に成功して以来、月の裏側の表情が明らかになり、その後の探索や研究が進みますが、月の存在そのものはいまだ謎のままだと廣瀬は指摘します。


見ることができなかった「月の裏側」を見たいという好奇心のように、何げない日常性の中に膨大な宇宙と不思議な世界を見出そうとしたりと、廣瀬のアート活動は決して到達点に達することなく、未完のまま深化しています。
あなたも、廣瀬とともに、ひとときの旅を楽しみにギャラリーを訪れてはいかがでしょうか。

タイトル 廣瀬智央 「月の裏側」
会期 2023年11月18日(土)~ 12月9日(土)
会場 小山登美夫ギャラリー天王洲
住所 140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex I 4F
Webサイト http://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/hirose2023/
開廊時間 11:00 ~ 18:00
休廊日 日・月・祝日
観覧料 無料