伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」 in 東京国立博物館 平成館
東京国立博物館 平成館では、伝教大師最澄の1200年の大遠忌を記念して、特別展「最澄と天台宗のすべて」が開催されています。最澄が創建した延暦寺は多くの高僧を輩出し、彼らが説いた多様な教えは日本文化に大きな影響を及ぼしてきました。
本展では、「悟りに至る道は誰にでも開かれている」という平等思想を説いた『法華経』の精神をあらわす文化財を、地域的な特色を踏まえながら鑑賞することができます。特に“東の比叡山”といわれる上野・寛永寺、浅草・浅草寺や調布・深大寺など、東京に暮らす私たちにも馴染みのあるお寺の名宝も特別に公開され、平安時代から連綿と受け継がれてきた万民救済の想いと願いを身近に感じるアート体験となるでしょう。
波乱に満ちた最澄の足跡と日本仏教の母なる山・比叡山
本展の序盤は、伝教大師最澄(767~822)が比叡山延暦寺を創建し、その後中国に渡って研鑽を重ね、帰国後に日本で天台宗が公認されるまでの波乱に満ちた足跡が紹介されます。
最澄にゆかりの深い薬師如来立像の表情や、現存する唯一の最澄自筆の手紙とされる国宝「尺牘(久隔帖)(展示期間:10月12日~10月31日)」の謹直な文字などから最澄の人柄がうかがえます。
また、法然(1133~1212)や親鸞(1173~1263)、日蓮(1222~1282)など鎌倉新仏教の祖師たちも比叡山延暦寺で修行したと紹介されています。現代のネットワーク社会でたやすく情報が広がるのに比べ、ここから何百年もかけて、人のチカラで万民救済の願いが全国に広がっていった迫力には圧倒されます。
寺外初公開を含む、天台ゆかりの秘仏が全国から集結
今回は1200年大遠忌という節目ということもあり、寺外初公開を含む、天台ゆかりの秘仏が全国から集結している点が大きな特長です。中でも展覧会史上初出展となる調布市にある深大寺の「慈恵大師(良源)坐像」は日本最大の肖像彫刻として知られており、本展で205年ぶりの出開帳となります。
この他にも、寺外初公開となる京都・真正極楽寺(真如堂)の「阿弥陀如来立像」、岐阜・願興寺(蟹薬師)の「薬師如来坐像」や京都・法界寺の「薬師如来立像」も見逃せません。
また、現存最古の最澄の肖像画を含む、インド・中国・日本の天台ゆかりの人物たちを描いた大変貴重な平安絵画・国宝「聖徳太子及び天台高僧像」十幅全て鑑賞できるのは東京会場だけとなっています。注:十幅全てが展示されるのは11月2日(火)~11月7日(日)の 6日間限定です。
東京に暮らす私たちも同じ目線で共感できるアート体験
比叡山を拠点に『法華経』の教えを実践し、全国にその功徳をひろく分かち合うために、最澄自身も東国へ教化の旅に出ました。東京国立博物館や上野公園もかつては「東の比叡山」といわれる寛永寺の“境内”でした。私たちの身近なお寺にあり、徳川家の庇護のもと生み出された華麗な江戸天台の名宝も注目です。
また会場内には比叡山延暦寺の総本堂「根本中堂」内陣中央の厨子の一部が再現されており、最澄が灯して以来消えたことのない「不滅の法灯」と参拝者が同じ高さに位置するという、誰もが仏になれるという『法華経』の精神を体感することができます。
すべての人の、生きていく上での悩みや苦しみを救済していくという想いを体現しようする、そうした作り手の想いに触れるアート体験になるのではないでしょうか。
タイトル | 伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」 |
会期 | 2021年10月12日(火) ~ 2021年11月21日(日) ※会期中、一部展示替えあり |
会場 | 東京国立博物館 平成館 |
住所 | 〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9 |
展覧会公式 Webサイト |
https://saicho2021-2022.jp |
開館時間 | 9時30分~17時00分 |
休館日 | 月曜日 |
料金 | 本展は混雑緩和のため、事前予約制(日時指定券)です。入場にあたって、すべてのお客様は日時指定券の予約が必要です。 ※ご予約不要の「当日券」を会場にて若干数ご用意していますが、ご来館時、「当日券」は販売終了している可能性があります。 ※中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料。ただし、「日時指定券」の予約が必要です。入館の際に学生証、障がい者手帳等をご提示ください。詳細は展覧会公式サイトチケットページでご確認ください。【前売日時指定券】 一般 2,100円 大学生 1,300円 高校生 900円 中学生以下 無料【当日券】 一般 2,200円 大学生 1,400円 高校生 1,000円 中学生以下 無料 |